怒髪天、鶯谷ダンスホール新世紀公演で魅せた何度も立ち上がる姿勢


photo by 西槇太一

ハワイアンとブルースを掛け合わせた「救いの丘」(1995年発表)、ヒゲダンスとミュージカルを強引につなげる「タイムリッチマン」(2020年発表)、カフカの小説から物語が始まるロックナンバー「むしけらブンブン」(2005年発表)などが違和感なく並んでいる。プレイリストをシャッフルするように自分たちの歴史を面白がれるし、隠すものなど何もない。キャリアに対する自信が今や真似できないオリジナルなのだ。MCタイムを除けばかなりストイックに続くプレイも、改めて記しておきたい魅力である。

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999年の名曲「サムライブルー」でグッと泣かせたあと、目下最新曲の「100万1回ヤロウ」へ。〈ゴワサンデ ネガイマシテハ〉と歌うサビは、そろばんを学校で習った昭和世代にはお馴染みだが、今はすっかり聞かれなくなったもの。フロアをよく見れば絶対にそろばんに縁がなさそうな若者も2割くらい紛れている。それでも全員が歌うこと歌うこと。すべてがチャラになっても諦めない、へこたれない、何度でも立ち上がる。そんな怒髪天の姿勢が詰まった〈ゴワサンデ〜〉は、この時代の新鮮な合言葉のようにも響いていた。

ラストはサンバ調の「セバ・ナ・セバーナ」。赤いハッピ姿の増子はサブステージのバルコニーで破顔する。ただただ楽しい。しかし曲の中に〈ちゃんと生きてろ 約束だぜ〉なんて力強いメッセージがあるのが怒髪天だ。生きてなきゃ笑えない。最後の最後は「聴かせてくれ!」と増子が主導し、あくまでガイドラインに則った会話レベルの、小さいけれど確かな〈ラーラーラー〉の歌声が響くシーンもあった。「ほんとありがとう、待った甲斐があった」「一緒に歌いたい曲、まだいっぱいある」と涙ぐんで笑う増子の姿に、50代の頼もしい希望が溢れていた。

Text by 石井恵梨子
photo by 西槇太一



<ライブ情報>

「響都ノ宴 祝!15周年」

12月1日(木)・3日(土)・4日(日)・5日(月)京都 磔磔
1日:怒髪天ワンマン
3日:怒髪天/子供ばんど/四星球
4日:怒髪天ワンマン
5日:怒髪天トークイベント(生配信有・詳細後日)

「歳末ライブ "暮れの元気なご挨拶 ’22"」

2022年12月7日(水)福岡BEAT STATION
2022年12月9日(金)高松DIME

「長野闘気オレリンピック 2022 "叫んでみるか?"」

2022年12月29日(木)・30日(金) 長野CLUB JUNK BOX
29日:怒髪天ワンマン
30日:怒髪天/亜無亜危異

「怒髪天 新春爆音ヒットパレード ’23 〜100万転び100万1回起き野郎〜」

2023年1月13日(金)大阪・千日前ユニバース
2023年1月15日(日)東京・Zepp Haneda

<リリース情報>

怒髪天
「100万1回ヤロウ」
各配信サイトにて配信中

怒髪天 オフィシャルサイト:http://dohatsuten.jp/

Rolling Stone Japan 編集部

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