今市隆二が語る、母との記憶、キャリアの伴走者に伝えたいこと

ツアーのおかげで「マインド的にもレベルが高い状態でいられた」

—アルバムの冒頭を飾る「Don’t Give Up」は、今市さんからファンに向けたメッセージでもあるのかなと思いました。前作に収録されていた「星屑のメモリーズ」もファンに向けた楽曲でしたよね。

今市:「星屑のメモリーズ」は、ファンの皆さんに向けて書いた曲です。星のようにあなたたちは美しく光輝いてるよということを伝えたくて書きました。「Don’t Give Up」は、自分の生き様を改めて伝えている感覚の方が強いかもしれないです。それに加えて、T.Kuraさんとmichicoさんっていう、三代目と密接な関係で、(三代目の)ライブのオープニング曲とか、キーになるポイントで一緒に制作していた方と今回ご一緒できたことが大きかったです。これまでスーパーボーカリストであるmichicoさんのデモを聴いて歌ったり、ディレクションしてもらったりするなかで鍛えられてきた部分があって。千本ノックじゃないですけど、EXILE ATSUSHIさん含め、LDHの歴史的にもそれで成長してきたボーカリストは多いと思います。そんななかで、今回ソロとしては初めてこのコンビと一緒にやることができた。T.KuraさんとJAY’EDさんという組み合わせはあったのですが、T.Kuraさんとmichicoさんは初だったんです。michicoさんの歌詞も独特で、初めて歌詞を見させてもらった時に、michicoさんから俺へのメッセージにも思えて、心が奮い立たされましたし、これからもここぞって時に歌っていきたい曲だなと思います。



—歌詞には力強さがありつつ、曲はすごく美メロで、そのギャップもいいですよね。

今市:そうですね。R&Bには「Don’t Give Up」ってテーマはあまりないので、面白いかなと思います。

—ライブでの刺激が曲作りに役立つこともあると思いますが、「RILY’S NIGHT」のツアーをこれまで駆け抜けてきた感想は?

今市:今年の6月からやっていて12月までやるので36公演あるんですが、本当に充実しています。ホール規模で細かく全国を回るツアーは元々自分のやりたかったことですし、コロナ禍でいろいろあったなかで、直接会うことの大切さとか、ライブがいかにパワーを持っているかを伝えたくてやっていて、実際にそれができている。自分自身も改めてライブや音楽って最高だよなって実感してます。3日に1回のペースでライブをやったり、大変な部分もありますが、お客さんもそれぞれの想いを持って集まってきてくれるから、特別なエネルギーの交換が生まれるんです。そうやって何千人の方と向き合わせてもらって、自分のマインド的にもレベルが高い状態でいられた。そのなかで並行してアルバムの制作ができたということは、クリエイティブ的にもいいことしかなかったです。

—ボーカリストとしてはどんな点でレベルアップしたと思いますか?

今市:3日に1回ペースだったので、コンディションの調整が少し難しくて、人間だからツアー中にも波があるじゃないですか。でもお客さんはそういうところは全く知らないし、知らなくてもいい。今日はちょっと体力的にきついかもなと思った時でも、そのなかでベストを尽くす、想いを届けることが、今回はこれまで以上にできたかなと思います。そこはレベルアップというか、表現者としてよかったところかなって。今回の「RILY’S NIGHT」は、元々自分がやりたかったことだったんです。キャリア12周年を迎えたなかで、皆さんへの感謝の気持ちがめちゃくちゃ強くなっていて、デビューから12年経って自分を応援してくださる人がいることは、本当に感謝していますし、それを伝えられたツアーでもあったと思います。さらに自然体でもいられた。だからこそ、どんな状況でも想いを届けられたのかなって思います。12年やってきた結果かもしれないです。

—そういう流れを経てのアルバムだから、今回のアルバムはある種集大成的なものになっているのかもしれないですね。

今市:自分の好きなものや伝えたいメッセージを今回のアルバムには入れられたので、満足いく形になってます。

—R&Bのマナー的には「LOVE=愛」が本作の大事な要素にもなっていて、だからこそ聴いていると平和な気持ちになります。

今市:今回のツアーのMCでも言っていたんですけど、愛を伝えることは自分のアーティストとしての大きなテーマで。自分自身、生きていくなかで愛が一番重要だと思いますし、それを感じてもらえてるんだったら最高です。


Photo by Mitsuru Nishimura

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