今市隆二が語る、母との記憶、キャリアの伴走者に伝えたいこと

「古き良き未来」の真意

—メッセージ性の部分で言うと、最後に収録されている「Star Seeker」も、今市さんが今思うことが投影されているんですよね。

今市:はい。コロナ禍や戦争なんて、誰も想像していなかったじゃないですか。それでも日本はありがたいことにまだ平和を実感できる国だと思いますし、当たり前の日常を大切にしていきたいと感じたので、その気持ちを歌にしました。誕生日、クリスマス、ライブもそうかもしれないですけど、年に数回しかないイベントを楽しめるのは、日常があるからだと想うんです。歌詞にも書いたんですが、大きな夢を達成しても、大切な人が幸せじゃなきゃ意味がないと思うんです。よくあるじゃないですか。仕事を成し得るために家族を犠牲にして……みたいな話が。それが悪いわけではないんですけど、かけがえのない平凡な日常を大切にしてほしいなって想いがすごくあります。



—曲の前にスキット(「Good Future Skit」)で語りを入れているのもいいですよね。

今市:スキットがあることで、よりメッセージが届くと思うんです。「Song For Mama」で自分が小さい頃の思い出を入れているので、バランス的にもいいかなと。過去、現在、未来の自分を表すという意味で(スキットを)入れさせてもらいました。あと、R&Bのアルバムってインタールードが結構多いじゃないですか。電話のダイヤル音や呼び出し音とか、喋ってる声とか、そういうのも入れたかったんですけど、結果的にこういう形になりました。インタールードって配信がメインになってから必要性が薄れてしまった感じはありましたけど、自分はアルバム一つで作品だと思ってるので、曲に入る前の序章でコーラスワークがあったりピアノがあったりして、その間にインタールードがあるようなものが好きです。最近だとトレイ・ソングスも、そういうアプローチで作品を出したりしていて、シンプルにいいなと思います。

—アルバムの流れという意味で言うと、「華金」「辛」「星屑のメモリーズ」の3曲が、この場所に入っているのはすごく収まりがいいですよね。

今市:80’sリバイバルの曲なので難しい部分はあるのかなと思ったんですけど、意外とハマったのでよかったです。







—アルバム・タイトルの『GOOD OLD FUTURE』にはどういう意味がありますか?

今市:これは造語なんですけど、「古き良き未来」っていう意味で、現在の今市隆二にハマるなと思っている言葉です。元々自分はオールドスクールなものに惹かれるタイプではあったし、時代の流れ的にも、新しいものを生み出すには過去のリバイバルしかないなって前から思っていて、それは音楽のみならずファッションも含めて。だからこそ今回、R&Bの原点に立ち返った部分もあります。「RILY’S NIGHT」のツアーも、自分から全国に出向いて会いに行くってテーマでやっているので、そこはめちゃくちゃアナログですよね。今だったらZOOMやライブ配信という方法もあるけど、便利さだけじゃないものを大事にしたいなと。例えば、自分と同じくらいの世代の人からすると、新譜のCDが発売される前からうずうずして、実際にお店に買いに行って手に取って、封を開けるのも大切にやっていたし、歌詞カードやライナーノーツを見ながら聴いたり……。便利になった分、そういったものが失われてる気もするんです。だからこそ「古き良き未来」ってタイトルは、一度過去に立ち返ることで、より進化した未来に繋がるんじゃないかなって想いを込めてつけました。

—今市さんの描く曲の世界観って、パーソナルな一方で、今の時代を見て自分がどう感じるかってことも曲に反映されていますよね。

今市:12年もアーティスト活動をしていると、ファンの方やライブに来てくださる方たちの人生に関わらせてもらっているので、世の中で起きてることに対して、どう感じているのかを伝えるのは自然なことだと思いますし、アーティストとしてやるべきことをやってる感覚です。自分のライブで言うと、病気がちだった人がライブに来て元気になりましたとか、そういうことができるのってすごいと思いますし、やりがいしかないです。アーティストだからやれることを、という意識で今は活動してます。

—残りの「RILY’S NIGHT」はどういうツアーにしたいですか?

今市:それこそ一昨日、アルバムリリース前なのに新曲を3曲ほど披露しました。第2章となるので、『GOOD OLD FUTURE』の曲をやります。

—ライブで新曲をやってみて、手応えはどうでしたか?

今市:いいです。「RILY’S NIGHT」第1章はどちらかというとファンク/ソウルの雰囲気だったんですが、今回はR&Bなので。ありがたいことに36公演のなかで、ここでがっつりマイナーチェンジできることは、1ツアーのあとにもう1回別のツアーをやるぐらいのモチベーションでいられる。ダンスリーダーのタイチがいるんですけど、タイチにも無理言って、すごい短い期間で振りを作ってもらったんです。で、またその振りが良くて。ライブでのパフォーマンスって、歌とダンスが交わったり、アルバムでは出せない部分を表現できると思うんですけど、こないだのステージはそういう意味でもめちゃくちゃ楽しかったです。今までのLDHだと一つのツアーのなかでマイナーチェンジするといったら、1曲か2曲ぐらいだったのでそんなに変えられなかったんです。アリーナやドームだと映像込みの作り込んだエンターテインメントなので。でも今回はホールで映像がないから、そういう意味では物理的にも自由に動けました。

—2022年、現場でたたき上げてきた成果がここに。

今市:ほんとに(笑)。現役はやれるまでやりたいという気持ちもあるので。ライブを常にやってることは、自分のあるべき姿なのかなって思います。

【関連記事】今市隆二が語る、心に寄り添う「歌」を

<INFORMATION>


ALBUM
『GOOD OLD FUTURE』
今市隆二
発売中

01. Don’t Give Up
02. ROMEO + JULIET
03. CASTLE OF SAND
04. Song For Mama
05. Good Old Skit
06. 華金
07. 辛
08. 星屑のメモリーズ
09. Good Future Skit
10. Star Seeker

配信リンク
https://ryujiimaichi.lnk.to/20221102_gof_digital



DVD&Blu-ray
『RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2022 "RILY’S NIGHT" & "RILY’S NIGHT"〜Rock With You〜』
今市隆二
2023年3月1日発売

RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2022 "RILY’S NIGHT”

11月26日(土)沖縄・沖縄コンベンションセンター劇場
キョードー西日本
TEL:0570-09-2424(11:00~17:00 / 日曜日、祝日休み)

11月30日(水)長野・ホクト文化ホール(長野県県民文化会館)
キョードー北陸チケットセンター
TEL:025-245-5100
(火~金曜 12:00~16:00/土曜 10:00~15:00)

12月5日(月)岡山・倉敷市民会館
YUMEBANCHI(岡山)
TEL:086-231-3531(平日 12:00~17:00)

12月7日(水)神奈川・神奈川県民ホール 大ホール
DISK GARAGE
https://info.diskgarage.com/
TEL:050-5533-0888(平日 12:00~15:00)

12月22日(木)兵庫・神戸国際会館こくさいホール
サウンドクリエーター
TEL:06-6357-4400(平日 12:00~15:00 ※祝日を除く)
https://www.ldh-liveschedule.jp/sys/tour/14249/

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