歌舞伎町に集った若者たちの退廃的な革命、ヒップホップフェス「BADASSVIBES presents TOKYO KIDS」総括

ブチ切れて爆発した数百人の凄まじい熱

総勢60組以上の出演者の中でも、特に印象に残ったステージを挙げていこう。まずは、Young Coco。つい先日のフェス「THE HOPE」で観たばかりだったが、全く違う盛り上げ方に驚いた。派手な機材トラブルで10分程度の中断からスタートするというディスアドバンテージの中だったが、バラクラバをかぶって堂々と現れた彼は、タガが外れたかのような狂騒へとフロアを導く。元々は適度な音圧で作られているはずの楽曲が、熱狂によってレイジビートのごとくデフォルメされた重低音へと変化を遂げたかのような錯覚を感じる。そのうち彼はステージからダイブし、モッシュピットを作るよう扇動し、狂乱の渦へと会場を巻き込んでいった。「Osaka to Kobe」や「No Pressure!!!」といった曲でブチ切れて爆発した数百人の感情は、言わばXXXテンタシオンのライブに見られるスリルとプレイボーイ・カーティのライブに見られるデカダンスを彷彿とさせる。一体、この凄まじい熱は何なのだろうか。


Young Coco





そして、STARKIDS。圧倒的な人気である。華のある6人に全観客の視線は釘づけ、皆がスマホで彼らを録画しその一挙手一投足を追いかける。一曲目「POP」をしっかり歌い終わった後にSpace Boyが「マイクの電源入ってなかった!」と告白するのだが、もはやフロアで騒ぐ者たちにとってそんなことはどうでも良いのだ。二曲目の「STAR ISLAND」では「君らが見た事ない場所へ/聞こえる空から星の声/立ちはだかる前高い壁/俺達は変わるよ星の子へ」というリリックを皆が合唱し、歓喜のボルテージは最高潮へ。その流れのまま最後は「FLASH」へ雪崩れ込み、メンバーも観客も暴れまくった末にステージは幕を閉じた。


STARKIDS

Rolling Stone Japan 編集部

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