甲田まひるが語る、「CHERRY PIE」で見つけたソングライティングの真髄

甲田まひる

シンガー・ソングライターの甲田まひるが、4th Digital Single「CHERRY PIE」をリリースした。テレビ東京系ドラマ24「今夜すきやきだよ」の番組オープニングテーマとして書き下ろされた同曲。甲田が好きなK-POPやヒップホップのマナーをちりばめつつ、うっすらと哀愁漂うところがポイントだ。

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作詞に関しても「一つのテーマを広げていく作業が、だんだんできるようになってきた」と語るように、サウンドのクオリティのみならす「歌」から広がるイメージも多彩になってきた印象。成長著しい甲田に2023年、初インタビューを実施した。

—1年前のデビュー当初はまだ「ジャズ・ピアニストでファッション系インフルエンサー」というイメージだったのですが、作品を重ねるごとに「アーティスト」になってきたなと感じます。2023年を迎えた今、どんな心境ですか?

甲田:あらためて1年と言われると、確かにそれぐらい経ったなって感じです。去年は割と続けてリリースができて、そのなかでいろいろ吸収できたこととか、前作の『Snowdome』でも新しいプロデューサーさんと一緒に曲を作れたので、音楽的にはすごく充実してました。

—「CHERRY PIE」では、デジタルEP三部作をつくってきた成果がちゃんとフィードバックされているように思いました。

甲田:計算してたわけじゃないんですけど、「CHERRY PIE」は完成した時に、やりたいことが前作からちゃんと繋がってるなと思いました。いい具合にポップス感があってメッセージ性も強いので、すごくしっくり来ていますね。ドラマ「今夜すきやきだよ」は原作がマンガなので、曲をつくるにあたって作品を読み込んで、内容を寄せてる部分も多くあります。食べ物をテーマに、恋愛でもなく、友達でもない、みたいな特別な関係性を描ければいいなと思って書きました。

—メロディも作品からインスピレーションを受けたんですか?

甲田:メロディはピアノでガッと作ったんですよ。ピアノっぽい細かい動きが面白いなと思って。メロディが詰め込まれてるようなちょっと難易度が高い曲って、若い子は聴き慣れてたりするじゃないですか。そういう意味でも旬だなと思って、どう刺さるか楽しみなところなんですけど、歌詞だけじゃなく、サビに行く時の盛り上がりとか、セリフが入るところは、ドラマを意識して考えましたね。

—ピアノからつくっていく作業は初めてですか?

甲田:「夢うらら」のAメロとかはピアノで作りましたね。でもこの曲はかなりピアノで作ってます。もともと私はデモの時のサウンドが好きなので、アレンジを仕上げる時も、常にデモからできるだけ離れないようにしてます。ピアノで作ったものが、その時一番良かった最初のアイデアだと思うので。



—まずはピアノで核の部分をつくると。

甲田:そうですね。やっぱり早いので、最初はピアノから触り始めることが多いです。

—サビの“咲いた花びらが舞うたびに〜”からの一連の流れは、ピアノ伴奏の奥行きがあって、響きもいいなと思いました。だから今、ピアノからこの曲が生まれたと聞いてすごく納得しました。

甲田:王道の、ピアノとストリングスが鳴ってるサウンドですね。

—歌詞が“咲いた花びらが舞うたびに/私の心も揺れ動く”なのに、曲のタイトルが「CHERRY PIE」っていうギャップも面白いなと思って。普通ならもうちょっとエモめな曲名になりそうなのに。

甲田:しかもドラマは“すき焼き”ですからね(笑)この曲は最初から「CHERRY PIE」というタイトルでした。サビの歌詞も、最初からほぼこれでした。「CHERRY PIE」なのに、なぜかこのサビで、自分でもその辺の思考回路がどうなってるかはわからないですけど……(笑)。でも“オーブンから焦げた香り”は、作品を読み込むなかで思いつきました。最初は好きなことを追いかける2人にフォーカスして、ほほが赤くなるみたいなイメージで“チェリー”だったんです。そこから2人の、友情を超えた関係をどう書こうかなと思って、“(料理を)作るのが失敗したとしても、それでもいいよって食べてくれる人がいる”って方向に持っていくようにしました。

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