女子大生が自分のディープフェイクポルノを発見、犯人は罪に問われず 米

別のディープフェイク動画が出てくると――今度の被害者は1学年の時にルーメイトだったジュリアさん(同じく仮名)――タイラーさんは彼女に連絡して警告し、こんな仕打ちをした張本人を一緒に突き止めることにした。だがあいにく、すんなりとはいかなかった。2人は男子100人に対して女子はたった4人という工学部の学生で、日ごろから男子学生からさんざん嫌がらせを受けていた。ちなみに男子のほとんどはインセル(非モテ童貞男子)だった。

2人が最初に疑ったのはボビー(仮名)だった。1学年からのクラスメートで、ある日突然山のような変態動画や「カルト風動画」をメインのSNSに挙げ始めていた。自分は「世紀末の神がテーマ」の「ある種のTVゲームの世界にいる」と思い込み、「人類に上から目線で話しかけていた」という(なかなかの逸材だ)。2人はさらに4chanを調べると、1人のユーザーがクラスの女子の画像をいくつも投稿していた。しかも女子全員が「マイク(仮名)」――同じく1学年の時からの友人――と知り合いだった。タイラーさんとジュリアさんもマイクと友達で、親しくしていた時期もあった。タイラーさんは1年生と2年生の時に同じ寮で生活し、最初のころは「大学生活を心地よくしてくれた」と語っている――彼がむちゃぶりするまでは。

「すごくいい友達だったのに、突然そうじゃなくなりました。基本的に、彼にとって私は専属セラピストのような存在だった。それで付き合いきれなくなったんです」とタイラーさんは振り返る。2人とも同じような経験をし、結局距離をおいた。「彼は私の話には聞く耳を持たず、自分の問題ばっかり話したがりました」とジュリアさんも言う。

そしてついに尻尾を掴んだ。1年生の時にジュリアさんがマイクと撮った写真を、先の4chanユーザーが投稿したのだ。その頃タイラーさんも4chanで、マイクと疎遠になった時期に作成された自分のディープフェイクポルノを発見した。

「たぶん彼は、私たちから関心や支援を受ける権利があると感じていたのかもしれません。私たちが壁を作ったために、復讐心に火が付いたんでしょう」とタイラーさんは分析し、こう付け加えた。「彼の頭の中では、自分を“不当に扱った”私たちへの仕返しのつもりなんだと思います」

タイラーさんはマイクの4chanと同じハンドルネームを、ディープフェイクポルノで有名なMrDeepFake.comというサイトで見つけた。ちなみにサイトのロゴには、何を隠そうドナルド・トランプ氏の顔が使われている。このハンドルネームが作成した大量のディープフェイクポルノには、460万人の購読者をかかえるユーチューバーGibi ASMRのものもあった。マイクのディープフェイクポルノのアカウントは100万回以上も閲覧され、132本のディープフェイクポルノが投稿されていた。

「ごくごく身近なレベルの知人だったなんて――彼が私たちも知らない裏の顔を持っていたなんて、とても信じられません」とタイラーさん。

タイラーさんとジュリアさんはGibi ASMRに連絡し、状況を説明した。コンテンツクリエイターはただちに自身のSNSに動画を投稿し、胸糞悪いディープフェイクポルノの風潮を糾弾し、責任追及を求めた。投稿はたちまち拡散した。

Akiko Kato

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