女子大生が自分のディープフェイクポルノを発見、犯人は罪に問われず 米

一方その頃、女子大生2人は警察を説得してマイクの家に向かわせた。何度か軽くたしなめた後――ディープフェイクポルノについてマイクは否定も肯定もしなかったが、二度とこういうことはしないと謝罪した――それで事件は幕を閉じた。

もちろん、タイラーさんにとっては終わりではなかった。

「彼は今でも私の友達全員と仲良しです。辛いのは、みんなに何も言えないこと。友達の1人に打ち明けたら、彼が犯人だと信じてくれませんでした」とタイラーさんは言い、さらにこう続けた。「警察が何もしてくれないので、私が彼を悪く言っているみたいな感じがします……みんなに嫌われたり、みんなを敵に回すようなことになるんじゃないかとビクビクしています。本来なら彼が負うべき責任を、私が全部しょい込んでるみたいな気分です」。

タイラーさんは結局、友人グループと距離を置かなくてはならなくなった。彼女の物語はその他大勢の女性たちにも共通する。Twitchの人気者QTCinderellaもその1人だ。ニューヨークポスト紙の報道によると、彼女は2月、涙ながらの動画でディープフェイクポルノの攻撃を受けたと告発し、「他の女性Twitchユーザーを使った偽動画2本を購入して、ディープフェイクポルノのサイトでトラフィックを稼いだ」ストリーマー仲間のAtriocを非難した(Atriocはその後、謝罪動画を公開した)。

「標的にされた人はネットの世界にいられなくなる。人生の窓が閉じられてしまうんです」と、マイアミ大学法学部のマリーアン・フランクス教授は『Another Body』の中でこう説明する。「この手のディープフェイクには懲罰的効果があります。成功することもできない、ジャーナリストの世界にも、政界にも入れない。背筋も凍るようなおそろしい効果です」 。しかもこうした犯罪の加害者は、ほとんどお咎めを受けずに済んでいる。

「今回、実質的にまんまと逃げおおせたので」とタイラーさんは言う。「マイクはきっとこの先も、周りの女性たちに同じことを繰り返すと思います」。

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from Rolling Stone US

Akiko Kato

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