過激信仰で娘・息子・夫を殺害、残された子供の無念「母はただの人殺し」米

我が子2人が殺害された事件で裁きにかけられているロリ・ヴァロウ・デイベル被告(TONY BLAKESLEE/EAST IDAHO NEWS VIA AP, POOL, FILE)

2人の我が子(タイリー・ライアンさんとJ.J.ヴァロウ君)を、母親のロリ・ヴァロウ被告が現在の夫チャド・デイベル被告と共謀して殺害したとされる事件。その殺害の動機として、被告のカルト信仰が浮かび上がっており、被告の知人らが数日にわたり証言を行ってきたが、成人した息子コルビー・ライアン氏が米アイダホ州の陪審の前で証言した。 

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現地時間4月、27歳のライアン氏がボイシ裁判所に入廷すると、49歳のヴァロウ被告は声に出さずに「あんたって子は」と口を動かしたそうだ。イーストアイダホニュース紙のネイト・イートン記者によると、被告が鋭い視線を送る中、ライアン氏は証言中ほとんど母親と目を合わせなかったという。

ヴァロウ被告は2人の我が子(タイリーさんは当時16歳、J.J.君は当時7歳)の殺人罪、殺人共謀罪、殺人に伴う重窃盗罪で無罪を主張している。2019年末に2人が行方不明と断定されると、事件に注目が集まり始めた。最終的に翌年6月、警察はアイダホ州レクスバーグにあるデイベル被告の敷地で2人の遺体を発見した。検察いわく、末日聖徒イエス・キリスト教会の信者だったヴァロウ被告とデイベル被告は、交際が進むにつれて奇妙な過激信仰を抱くようになり、互いの伴侶とヴァロウ被告の子どもを「悪霊に取り憑かれたゾンビ」とみなしてお粗末な殺害計画を実行したという(報道によると、デイベル氏は2019年に教会から破門されている。ヴァロウ被告と教会との現在の関係は不明)。

弟と妹を指し示すよう尋ねられると、ライアン氏は涙を流した(ライアン氏はタイリーさんの父親ジョセフ・ライアン氏(故人)に養子として正式に引き取られた。J.J.君はロリ被告と4番目の夫チャールズ・ヴァロウ氏(同じく故人)の間に養子として引き取られた)。ライアン氏はその後、2019年に養父チャールズ氏が心臓発作で死んだことを母親から聞かされたと証言した――だが実際は、母親の兄アレックス・コックスによって射殺されていた。アレックス・コックスはのちに老衰で他界した。

さらにライアン氏は証言を続けた。2019年11月には、タイリーさんとJ.J.君を捜索中の警察から連絡を受けたという。ちょうどその頃ライアン氏はタイリーさんと携帯メールをやり取りしていたが、「ふだんのタイリーの話し方や言葉遣いとは違っていた」と当時を振り返った。ライアン氏の話では、弟妹の行方やチャド・デイベル被告と突然結婚したいきさつについて、母親から答えを引き出すことはできなかったそうだ。

反対尋問では、人間が悪霊に取りつかれて「闇に落ちる」、あるいは「ゾンビ化する」という信仰を母親がライアン氏に一度も説明しなかったことが明らかになった(先週にはヴァロウ被告の旧友メラニー・ギブさんが出廷し、被告がタイリーさん、J.J.君、チャールズ・ヴァロウ氏を「ゾンビ」と呼んでいたと証言している)。被告弁護団は、ライアン氏が別居中の妻から昨年9月にレイプ容疑で訴えられていることは持ち出さなかったものの――この件での刑事起訴は1週間後に取り下げられた――鬱や自殺思考の過去について質問した。スティーヴン・ボイス判事はこの質問に対する異議を認めた。

被告弁護士のジム・アーチボルト氏が母親を愛しているかと尋ねると、ライアン氏はイエスと答えた。母親から愛されているかという質問に対しては、「そうだと思います」と答えた。

Translated by Akiko Kato

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