RADWIMPS、熱狂の初北米ツアーファイナル NY公演現地レポート

─今日のニューヨーク公演を観てもあきらかですが、間違いなく今回の北米ツアーに特別な手応えを覚えていると思います。ライブ直後ですが、その思いから聞かせてください。

野田:最初から最後まで想像を超える体験でしたね。全公演ソールドアウトしたことも最初は信じられなかったし、今日もお客さんの期待にちゃんと応えたいなと思いながらステージに立ってました。

武田:ニューヨーク公演も当初は1DAYの予定だったのが、チケットがすぐにソールドアウトして2DAYSやることができて。これだけ僕らを迎えてくれる人たちがいて、実際のその人たちを目の前にしてあれだけの熱量を浴びると、本当にグッとくるものがありましたね。

桑原:本当に最初に予想していた形とは180度違う反応があって。こんなに温かく迎えてもらえるとは思ってなくて、演奏する側としてもものすごくテンションが上がりましたし、本当にまた来たいなと思います。

─昨日と今日のニューヨーク公演はいろんな人種のオーディエンスが集まっていましたね。やはり各地でお客さんの層や反応に違いはありましたか?

野田:ニューヨークはやっぱり大都市なんだなって。今回の北米ツアーの中で日本人も含めて一番アジア系の人がいて、ヒスパニック系の人も多かったという印象です。逆にメキシコ公演はほとんどメキシカンのお客さんで。シカゴもアジア系の人もいたけど、8割は地元の人だったと思います。各地でそれぞれ異なる空気感があって、どのライブも印象的でしたね。

─ツアー初日のサンノゼ公演はどうでしたか?

野田:前情報がなかった分、サンノゼが一番感動したかも。いきなりお客さんの熱量がすごかったから。

武田:サンノゼは野性的というと違うかもしれないけど、ダイレクトに「待ってました!」という反応を感じられて。そのあとのロス公演はまた都会的なお客さんだったという印象で、その違いも面白かったです。

野田:ロス公演はキャパが6000人というアリーナ級に広い会場だったから、余計に俺らも探りながらライブをしてる感じはありましたね。

─本来であれば2020年7月に開催されるはずだった北米ツアーが、パンデミックを経て3年後の今、さらには『すずめの戸締まり』の北米公開タイミングと並走するように実現したことにも不思議な巡り合わせを感じていると思います。

野田:本当に。狙ってもできないタイミングだし、「そうか、こういうことだったんだな」と感じるところもあります。

武田:サンノゼに到着してからみんなで『すずめの戸締まり』を観に行ってね(笑)。

桑原:英語吹き替え版のほうをね(笑)。

野田:ライブのお客さんのリアクションからもすごいタイミングでツアーができてるなと思いましたね。あとは、バンドとしても映画から派生した以外の部分をしっかり見せたいという思いは今回のセットリストを作るときからあって。

─それはすごく感じました。RADWIMPSというロックバンドのダイナミズムを体現するという気概を持ったセットリストだなと。

野田:アフターで会った関係者やロスだったらポーター・ロビンソンも来てくれたんですけど、いかに俺たちがフィジカルなバンドとして面白かったかということを伝えてくれて。今日も現地でインタビューしてくれた人が言ってくれたけど、アニメファンの人たちが知らなかったRADWIMPSの部分を出せて伝わったという手応えがあったし、それはすごくうれしかったですね。

─今日もセキュリティーの人が音に反応してましたよ。

野田:受付の人も「めっちゃいいバンドだね」って言ってくれてたみたいで。

武田:うれしいなぁ。

─ここから海外はヨーロッパ、アジアツアーと続いていきますが、この北米ツアーで得たものをどうアウトプットしていきたいですか。

野田:ヨーロッパとアジアはさらに映画の熱がものすごいことになっているし、アジアツアーはほぼ全会場、2、3時間で即完しているので。ライブを観られない人のほうが多い状況だから、北米とはまた違う熱量で迎えられると思うんです。そこでもしっかり次に広げる種を植えられるようなライブをやりたいですね。

武田:ライブでヨーロッパに行くのは8年ぶりで。だいぶご無沙汰してますけど、『君の名は。』以降でRADWIMPSの存在を知ってずっと待ってくれていた人たちもいっぱいいると思うので。ようやく来れましたという思いをしっかり届けたいですね。

桑原:ヨーロッパツアーはまだ行ったことのないスペインでのライブもあるし今からすごくワクワクしてます。

─今後は日本と両軸で海外のオーディエンスと向き合う時間が増えていくと思います。そのうえでRADWIMPSとして実現したいことを最後に聞かせてもらえたら。

野田:「日本のバンドがここまでの規模で北米ツアーをやるのは奇跡的なことだよ」と現地の人が口々に言ってくれて。いろんなきっかけが重なって実現したツアーだったけど、こういうきっかけが繋がっていけば日本の音楽があたりまえに伝わっていくと思うし、それはものすごく大きなチャンスだと思うんですね。俺らはもう20代ではないし、40代に近づいていて。だから、RADWIMPSがどうこうというよりは、日本の音楽、日本の文化が持っている面白さをちゃんとした方法で提示すれば伝わるという前例になれたらいいなと思うんです。今はRADWIMPSがその役割の一端を担っているけど、ここから次々、ドバドバと日本のアーティストが世界に開いていくきっかけに確実になりたいし、そういう気持ちでこのツアーに臨んでますね。「日本を知ってくれてありがとう。ちょっと引っ込み思案で口下手だけど(笑)、面白い音楽やその他の文化がいっぱいありますよ」という感覚です。

─バンドやシンガー、ラッパーも含めて海外のオーディエンスに紹介したい日本のアーティストもたくさんいるだろうし。

野田:本当にそうで。「RADWIMPSが好きだったら、このアーティストもどう?」という思いがめちゃめちゃある。そういうことを実現したいですね。

─希望の間口が大きく広がる北米ツアーだった。

野田:うん。きっと「RADWIMPSができるなら、俺らも」って思ってくれる日本のアーティストはいっぱいいるだろうし、それってめちゃめちゃポジティブなことで。もしそのアーティストが20代とか、ましてや18歳くらいだったら俺はたまらなくうれしいです。20年前の自分が今のRADWIMPSの状況を見たら羨ましいと思うだろうし。だからみんなもどんどんチャレンジしてほしいし、俺らが伝えられることは全部伝えたいです。

Text by 三宅正一



<ライブ情報>

RADWIMPS「BACK TO THE LIVE HOUSE TOUR 2023」
2023年6月13日(火)愛知県・Zepp Nagoya Open 18:00 / Start 19:00
2023年6月14日(水)愛知県・Zepp Nagoya Open 18:00 / Start 19:00
2023年6月21日(水)神奈川県・KT Zepp Yokohama Open 18:00 / Start 19:00
2023年6月22日(木)神奈川県・KT Zepp Yokohama Open 18:00 / Start 19:00
2023年6月26日(月)大阪府・Zepp Osaka Bayside Open 18:00 / Start 19:00
2023年6月27日(火)大阪府・Zepp Osaka Bayside Open 18:00 / Start 19:00
2023年7月4日(火)東京都・Zepp Haneda(TOKYO) Open 18:00 / Start 19:00
2023年7月5日(水)東京都・Zepp Haneda(TOKYO) Open 18:00 / Start 19:00
2023年7月11日(火)福岡県・Zepp Fukuoka Open 18:00 / Start 19:00
2023年7月12日(水)福岡県・Zepp Fukuoka Open 18:00 / Start 19:00

BACK TO THE LIVE HOUSE TOUR 2023 特設ページ https://radwimps.jp/backtothelivehouse/

「RADWIMPS European Tour 2023」
5.21 / London / Roundhouse
5.24 / Barcelona / Paral·lel 62
5.26 / Cologne / Palladium
5.28 / Paris / Salle Pleyel
5.30 / Berlin / Columbiahalle
詳細はこちら https://radwimps.jp/live/14169/

「RADWIMPS Asian Tour 2023」
2023年7月21日(金)韓国・ソウル / YES24 Livehall
2023年7月23日(日)台湾・台北 / Zepp New Taipei
2023年7月25日(火)マレーシア・クアラルンプール / Zepp Kuala Lumpur
2023年7月27日(木)タイ・バンコク / Union Hall
2023年7月30日(日)インドネシア・ジャカルタ / Basket Hall Senayan GBK
詳細はこちら https://radwimps.jp/live/14289/

RADWIMPS Official HP https://radwimps.jp/

Rolling Stone Japan 編集部

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