ヤング・サグが1年以上勾留、ラップに対する人種差別的偏見が妨げに 米

ミリオンセラーのラッパーであるウィリアムズは保釈に関して、一般的な被告よりも複雑な事情に直面している。ラップに対する人種差別的な偏見が、推定無罪の妨げになっているのだ。検察はラップの歌詞を証拠として採用し、有罪の動かぬ証拠だとして裁判所で読み上げた。

YSL裁判をメディアがこぞって取り上げたことも、公平な陪審員集めに苦労している原因だとシンプソン氏は主張する。ウィリス検事はかねてより、YSLとYFNのギャング抗争が「アトランタ市史上例を見ない暴力事件を引き起こした」とし、起訴された28人の被告は「コミュニティを混乱に陥れている」と主張した。「こうした状況から陪審員(候補)を守ることはできません」とシンプソン氏は言う。「判事がTVで(ウィリアムズを)社会の脅威と呼んでいるのに、どうやって陪審を見つけろというんです? すでに有罪だと決めつけられているんですよ。うがった見方が広まっているのに、味方になる陪審を見つけられますか?」

シンプソン氏と一緒にBarred Businessで働くシャティーシャ・グリフィン氏も、同じ思いだ。検察はウィリアムズがギャングのリーダーだという考えを広めているが、アトランタ市に対する彼の貢献を十分考慮していない、と2人は感じている。グリフィン氏はウィリアムズを「コミュニティの癒し」と呼ぶ。彼はストリートの生活から足を洗うよう促すだけでなく、そのための手段も与え、数えきれないほどアトランタの若者の人生を変えようとした。

「彼は私の知人でもある少年に金を渡し、『おい、だめだ、だめだ。ストリートから足を洗え。今日の予定は? 今日はこれだけ金をやるから、スタジオに行ってレコーディングしてこい。お前には才能があるんだから』と言いました」とグリフィン氏。「彼の持つ力と(プラスの)影響力がどれだけすごかったか。それが彼のやろうとしていたことです……『あいつらを卒業させてやれるだろうか? ストリートから足を洗って有権者にさせてやれるだろうか?』 だからこそ、彼の家族が気の毒でなりません」

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from Rolling Stone US

Akiko Kato

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