ノエル・ギャラガーが語る『Council Skies』誕生秘話、ツアーの展望、春にこだわる理由

 
占星術と春の高揚感

―「Pretty Boy」という曲のドラムはiPadで録音されたそうですが、そういったモダン・テクノロジーを嫌っているのではありませんでしたか?

ノエル:いや、まあ、iPadにはFunkBoxという最高のものがあって(アプリのことを指している)、それはあらゆる種類のドラムマシンを模したものでね。誰かが教えてくれたから買ってみたんだ。アルバムではもちろん本物のドラムを入れてるんだけど、曲の冒頭ではまだiPadの音が聞こえるんだ。こういったテクノロジーは、マジでファッキン斬新なんだ。でも、そういうテクノロジーを何のために使ってるかちゃんと理解した上で使わないとね。俺は何のためらいもなく使っちゃう。だから俺にとって、iPadはアイデアを持ち運ぶのに適しているだけで、それで十分なんだ。



―この曲には“星座を変えたいんだ/俺に似合わないから”という歌詞もあります。確か、ノエルさんは1967年5月29日生まれで、双子座ですよね。12星座占いを本気で信じますか?

ノエル:占星術はあまり信じていないけど、双子座の想定される特徴は知っている。ある人との会話から知ったんだ、なんかジェンダーにまつわる話だったな。俺は、その話題に関して全く意見がなくて、ただ傍観していた。俺が「なぜ星座を変えることができないのか?」と言ったら、相手は「そんなの無理だ」と否定した。そこで俺は、「いや、性別が変えられるなら、星座も変えられるだろ? ほら、たった今、俺は射手座になったぜ! これで6カ月若返るだろ? なぜダメなんだ?」と返した。

―でも、ノエルさんは文字通りの典型的な双子座なんじゃないんですか?

ノエル:否定できないな。占星術にのめり込んでいるヤツをたくさん知っているし、占いの一部がどれほどドンピシャな真実であるかを知る瞬間は、ほんと恐ろしいくらいだ。だけど、俺は占いで自分の人生を決めるようなことはしない。ましてや、新聞に載ってる星座占いなど、もってのほかだ。「今日は変化に満ちた一日になるでしょう」とか、マジでつまらん! ただ、春先に生まれたことは自分の性格形成に間違いなく影響していると思う。この話はもう何度もしたよな?

―いいえ、初めてですね。

ノエル:じゃあ、面白いことを教えてあげよう。目がくらむから覚悟しろよ。俺は、ほとんどすべての曲を春に作ってきたんだ。夏や冬に作った曲もいくつかあるが、よく知られた曲の9割は、時間変更後に制作してきたからね(編注:イギリスのサマータイムは3月最終日曜日から始まる)。時計の針が進んだ途端、何かが起きて止まらなくなる。クレイジーだろ。そして2020年はなんと、サマータイムへの移行とコロナ禍の始まりがほぼ一致したんだ……その直後から9カ月間で、全部の曲を作り上げた。すべて。今後10年間でリリースする曲をぜーんぶだぜ。

俺の曲がとても楽観的なのは春とも関係があると思う。春は静かで楽観的だから。日本でインタビューされると、いつも哲学的なことを聞かれるんだ。「ノエルさんを季節に例えるなら、いつですか?」とかね。迷わず春だ。なぜなら、改革の季節だし、花が咲き、暖かくなり、何でもかんでも少しずつ楽しくなってくるからだ。人間もそうだ。


Photo by Matt Crockett

―意図的に楽観的な曲に仕上げているのですか、それとも偶然ですか?

ノエル:意図的ではない。もちろん、今は楽観的だと自覚してるけど、それでも毎年そうなってしまう。今回は特に簡単だった。もしある曲から制作を始めて、それがあまりにもオアシスに似ていると感じたら、大抵すぐにやめちゃうんだ。例えば、「Supersonic」に似てたら、おそらくそれは「Supersonic」ほど良い曲には仕上がらないから、意味がない。でも、例えば「Easy Now」なんかは「Little By Little」よりもいい曲だと思ったし、軽々しくは言えないけど。

Translated by Jennifer Duermeier

 
 
 
 

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