RADWIMPS、ロックバンドとしての本質に立ち返った8年ぶり国内ライブハウスツアー

RADWIMPS(Photo by Takeshi Yao)

RADWIMPSが、約8年ぶりの国内ライブハウスツアーのファイナルを7月12日(水)福岡・Zepp Fukuoka公演で迎え、全国5箇所10公演が大盛況のうちに終了した。7月5日(水)東京・Zepp Haneda公演のオフィシャルライブレポートを掲載する。

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ライブは、文字を入れ替えると“カコノコロナ”となる「ココロノナカ」から幕を開けた。ライブハウスに巻き起こる大歓声に制限は、ない。そう、「とうとう来たなこのとき!」がという高揚感が、ステージとフロアから湧き上がり、行き交っていた。

全会場がソールドアウトを記録した北米、ヨーロッパ、アジアを回る海外ツアーに挟まれる形で実現したRADWIMPSにとって実に8年ぶりとなる国内ライブハウスツアー『BACK TO THE LIVE HOUSE TOUR 2023』。ここでレポートするのは、野田洋次郎が38歳になる誕生日でもあった7月5日のZepp Hanedaの模様だ。

冒頭に記した通り、オーディエンスの熱狂は徹頭徹尾すさまじく、ヴォーカル&ギター&ピアノの洋次郎、ギターの桑原彰、ベースの武田祐介、ツインドラム担う森瑞希とエノマサフミの5人編成によるバンドも、あきらかに海外ツアーからのポジティブなフィードバックを感じさせるエモーショナルなパフォーマンスでそれに応えた。あまつさえ、セットリストの内容も興味深いレアなものだった。日本と海の向こうを行き来するタイトなスケジュールを鑑みれば、海外ツアーのメニューをトレースしてセットリストを組み立てる選択もあっただろう。しかし、RADWIMPSという愚直なまでに音楽制作やライブ、そしてオーディエンス(リスナー)と真摯に向き合ってきたロックバンドはそれをよしとしなかった。そのセットリストは8年ぶりの国内ライブハウスツアーにして、さらにはパンデミックを経て約3年ぶりにオーディエンスの密や声に制限のない状態で迎える生のコミュニケーションを一層引き立て、あるいはロックバンドとして原点回帰するような趣さえあった。



2曲目「なんちって」のイントロのドラムフィルが鳴った瞬間にオーディエンスは驚きと歓喜の声を思いっきり上げた。洋次郎も積極的に最前列にいる人たちが伸ばす手に触れていく。縦横無尽に躍動していくバンドのグルーヴは「ソクラティックラブ」、「ます。」、「ハイパーベンチレーション」と楽曲を重ねていくごとにその強度を増していく。「指切りげんまん」や「me me she」などのミディアムナンバーでもオーディエンスとのシンガロングが実現。それは多幸感に彩られた福音のように会場を包み込んでいた。

「そっけない」におけるピアノの弾き語り部分で洋次郎がミスタッチした際にもフロアは大喜び。「いやぁ誕生日つってもろくなこと起きねぇな(笑)。1分だけ記憶を消してください」という彼の言葉にも優しい拍手が送られる。トライバルやアフロなフィーリングもまぶされたファンクネスが最高に気持ちいい「ヒキコモリロリン」では各パートのソロプレイをフィーチャーしたジャムセッションが展開され、「遠恋」の間奏で繰り広げられた桑原と武田の“竿バトル”も熱かった。

「オーダーメイド」もまた印象深かった。人間の形になる前の主人公が町を、ビル街を走っていく映像が映し出され、緊張感と集中力に富んだバンドアンサンブルと洋次郎のヴォーカルを、オーディエンスは息を呑むようにして聴き入っていた。

Rolling Stone Japan 編集部

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