RADWIMPS、熱狂の初北米ツアーファイナル NY公演現地レポート

RADWIMPS(Photo by Takeshi Yao)

RADWIMPSが、北米ツアー「North American Tour 2023」のファイナルとなるニューヨーク公演を、現地時間4月29日と4月30日の2日間にわたりPalladium Times Squareにて開催した。同公演のオフィシャルレポートを掲載する。

【ライブ写真を見る】完全ソールドアウトとなった北米ツアー(全23枚)

「1年半くらい前かな? このツアーを計画したときはこんなに多くのオーディエンスが来てくれるなんて想像もしていませんでした。たとえ会場に50人、100人くらいの人しかいなくてもベストを尽くそうと信じてこの北米ツアーを決めたんです。それが、結果的にこんなに素晴らしい光景をみんなが実現してくれました。初めてなのに完全ソールドアウトの北米ツアー。本当に信じられないよ」

ステージ上で野田洋次郎は噛みしめるようにそう言った。RADWIMPSが現地時間4月29日と4月30日の2日間にわたり自身初となる北米ツアーのファイナルとしてニューヨーク公演を開催した。この北米ツアーは日本を代表するロックバンドが、掛け値なしに世界規模で自らの音楽を響かせるという夢が現実のものとなった物語の第一章であり、未来を生きる日本人アーティストたちがそれを叶える可能性と間口をも広げる旅だった。

まず、記憶を2020年に巻き戻そう。本来、RADWIMPSはデビュー15周年を迎えたこの年に初のドーム公演を含む国内ツアーや北米を皮切りにワールドツアーを開催するはずだった。しかし、言うに及ばず新型コロナウイルスによるパンデミックが全世界を覆い尽くし、その全公演が中止となった。それでもバンドは折れることなく前進することを選び、間断なく新曲を発表し続け、2021年11月には10枚目のフルアルバムとなる『FOREVER DAZE』をリリースした。そして、2016年8月公開の『君の名は。』、2019年7月公開の『天気の子』に続き、2022年11月に公開された新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』のサウンドトラックも手掛けた。その後、同作は199もの国と地域で公開され、3月下旬に封切られた中国本土での興行収入は日本を上回る8億元(157億円)を突破するなど、世界中を席巻している。映画はメキシコで4月13日、北米では4月14日に公開初日を迎えた。4月16日にカリフォルニア州サンノゼからスタートしたRADWIMPSの北米ツアーはまさに絶好のタイミングで開催されたことになる。ちなみにこの北米ツアー中に出た全米映画ランキングで『すずめの戸締まり』は7位にランクイン。約1年半前から北米ツアーのスケジュールが組まれたことを思えば、このタイミングの重なりもまた奇跡的と言っていい。

RADWIMPSの北米ツアーは、前出のサンノゼを皮切りに4月18日にロサンゼルス、22日にメキシコ、24日にシカゴ、26・27日にカナダのトロントと、タイトなスケジュールで進行し、そして29日と30日のニューヨーク公演へたどり着いた。特筆すべきは初の北米ツアーにして上記の全公演がソールドアウトになったこと。ほとんどが3000~4000人収容の会場で、中でもロサンゼルス公演の会場となったYouTube Theatreは約6000人キャパを誇るのだから、これは間違いなく快挙だ。さらにニューヨーク公演も当初は29日のみの開催予定だったが、早いタイミングでのソールドアウトを受けて、急遽30日も追加されたのである。

もちろん、この快挙の理由として一連の新海誠監督作品がもたらした影響の大きさは計り知れない。ただ、RADWIMPSが今回の北米ツアーで自らに課したこと、そして達成したことは新海誠作品という巨大な扉から入ってきた現地のオーディエンスたちをその独立した音楽力をもって引き込み、またいつか絶対に彼らのライブを体感したいと思わせた点にある。筆者がニューヨーク公演で目撃した熱狂は、その揺るぎない証左でもあった。両公演を観たうえ、この稿では主に2日目の模様を記していきたい。

Rolling Stone Japan 編集部

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