never young beach安部勇磨が語る『ありがとう』の意味、ビートルズからの影響

安部:あと、ビートルズのドキュメンタリー『Get Back』を観たのも大きかったですね。あれを観ると、メンバーはガンガンに声を張り上げてるし、どっかんどっかんやってるし、でも、めちゃくちゃかっこよくて。ああ、バンドってこういうものだよなって。僕、ビートルズって聴いてこなかったんです。でも映画を観たら、一気にバンドの持ってる衝動みたいなものに打ちのめされちゃって。やっぱりバンドやりたいなとか思って。僕らの新しいアルバムに入っている「Hey Hey My My」もビートルズの影響を受けた曲なんです。まさに「ゲット・バック」の最初のあのイントロの感じみたいな曲やりたいんだって話をしたら、拓郎くんも下中も「いいじゃんいいじゃん、やろうよ」ってノリになって。そこからどんどん進んでいってできたんです。そんな感じで、彼らと出会ってなければ僕はたぶんバンド続けらんなかっただろうなって思うし、僕を含めメンバー3人ともみんな彼らと仲良くなれて、今はバンドの雰囲気はすごくいいですね。ツアーも楽しいですよ。今回のアルバムはそういうプロセスがそのまま出ているような作品だと思います。



─「Hey Hey My My」はニール・ヤングに同名の曲がありますよね。ニール・ヤングがパンク・ロックに共感を受けて作ったと言われていますが、「ヘイ・ヘイ・マイ・マイ」というタイトル自体には言葉としてほとんど意味がない。でも、確実にパンクに刺激を受けた今の自分自身に手応えがある、ということが感じられる曲です。それと同じ感覚がネバヤンの今回の『ありがとう』にも感じられるように思うんです。歌詞そのものには意味がないものが多いじゃないですか。お天気だったら楽しいとか、気持ちが上がるとかか、洗い物がはかどるか。でも、その言葉の背後には充実した空気や漲る気力のようなものが確実にあって、外部からの刺激や影響がそうさせている、というような。

安部:そうですね。9年間バンドをやって、いろいろ経験したことがうまくまとまったかなと思います。下手なりに転がってたことが繋がってきたなって。だからタイトルも『ありがとう』。メンバーやサポートのみんなだけじゃなく、スタッフの方々にも「ありがとう」って。事務所の社長やマネージャーにも「もうバンドやめたいです」とかこぼしちゃっていたんです。「まあまあまあまあ」ってっくり話を聞いてくれたんです。感謝ですね。あの時に辞めてたらこのアルバム作れなかったし。

─岡田さんがネバヤンのサポートすごく楽しいって言ってました。同い年なんですよね。

安部:そうかあ、拓郎くん、楽しんでくれているんだ……嬉しいなあ! ライブなくてもメンバーみんなLINEでわちゃわちゃしてますよ。ヤフオクにこんなギターが出てるとか、他愛のない話ばかり。気を遣わないんです。バンドとソロとどう分けるか、みたいなところで悩んでたときに拓郎くんに相談したら「大丈夫だよー」って言ってもらえて凄い安心したな。大好きです。

─まあ、確かにソロにもバンドのサポートにも岡田さんいますから。

安部:(笑)。そうそう。そこがなんかもうわけわかんなくなってきてるんですけど。楽しいからいいかって。今回のアルバムも、やっぱり、今話していた「Hey Hey My My」が最初にできたことがすごく大きくて。そこから波に乗ったら、どんどん曲もできていった感じなんですよね。で、カントリーっぽい曲を作りたくなって、そういう感じのデモを持っていったら、岡田くんが「これはスライドギター要るよね~」とかって言い出してすぐその場で弾いてくれて。「うわ~、はいはい、もうやっぱもうそれですね!」みたいな感じ。下中もすぐアイデア出してくれて乗っかってくれて。だからすごい速さで、3、4曲はすぐにスタジオで作った感じでした。「帰ろう」とか、もうレコーディングが始まってから作ったんですよ。スパスパスパってなんかできる気がしたので、あんまり作りこみすぎないで、その場のノリで。ただ、フレーズを引き出すためにイメージの共有をどうできるか? みたいなことはちょっと気にしました。でも、本当にすぐできて、「ああ、気持ちよかった!」みたいな感じで(笑)。



Rolling Stone Japan 編集部

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