フジロック×サマソニ運営対談2023 新時代に突入する2大洋楽フェス

左からフジロック、サマーソニックのメインビジュアル(Photo by 宇宙大使☆スター / ©︎SUMMER SONIC All Rights Reserved.)

本誌の人気企画、フジロック/サマーソニック両運営による対談インタビューが3度目の実現。洋楽文化の衰退に立ち向かうべくエールを送り合った2019年、ライブ市場に大打撃を与えたコロナ禍の苦悩、洋楽フェス復活への思いを赤裸々に語った昨年を経て、日本のフェスカルチャーを牽引してきたスタッフたちは今、何を思うのか。前年度の総括、来日公演にまつわるシビアな問題、今年のラインナップの見どころまで、スマッシュの宣伝/ブッキング担当・高崎亮さん、クリエイティブマン宣伝部・安藤竜平さんに話を伺った。


2022年の手応えを振り返る

―まずは昨年の話から。「特別なフジロックから、いつものフジロックへ」というのが2022年のテーマでしたが、改めていかがだったでしょうか?

高崎:世の中の雰囲気も、昨年はまだコロナを引っ張っていたところがあり、いつものフジロックを目指すところまでだったと思います。状況がどうなるか読めない、収容人数も戻せるかわからないというなかで、できる限りコロナ前のフジロックに近づけることに注力しました。

例えば、最終的には連日朝5時まで遊べるタイムテーブルになったんですけど、5月末までの時点では午前2時くらいで終わる予定だったんです。でも、僕は夜中のブッキングを担当しているので、「ソニックマニアは朝までやると言ってるのにいつまで様子を見るんですか? 朝2時に終わったらお客さんはそのあとどうすればいいんですか?」と社内の会議で言いまくったんですよ。そういう議論が4〜5月の時点で繰り広げられていたことからもわかるように、昨年はまだ(フェス開催の)ハードルが高かった。声出しについても難しい時期でしたよね。

―海外では昨年春の時点で声出しが当たり前になっていたので、来日アクトもコール&レスポンスを促したりするものの、日本のオーディエンスはどう対応すべきか悩ましい、みたいな。

高崎:そうそう。会場にいる人のなかには「もういいんじゃない?」というノリもあったりしつつ、まだ日本では規制されているという微妙な空気感で。そのなかで夏の口火を切ったのがフジロックだったのかなと。

―高崎さんは前回の対談で、2021年のフジロックを「四面楚歌だった」と辛そうに振り返っていましたが、昨年はポジティブな反応が多かった印象です。

高崎:2021年は楽しんじゃいけない……とまではいかないにせよ、なんとなく圧迫感がありました。でも、昨年はお客さんも楽しんでいる雰囲気が伝わってきましたし、「フジロックってこういう感じだったよね」っていうのを思い出す一年になりましたね。昨年の時点にできるベストは尽くしつつ、終わったあとにいろいろと考えさせられたというか。そこから「来年こそは!」という意気込みで進めてきたという感じです。

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―2020年(コロナ禍で中止)と2021年のスーパーソニックを経て、昨年が3年ぶりの開催だったサマソニは、東阪共にソールドアウトとなりました。

安藤:昨年はすごい勢いでしたね。マネスキン、リナ・サワヤマといった新鋭たちが話題をかっさらっていったところもサマソニらしいなと。ブッキングに関しても例年通り、ほとんどコロナの影響を受けることなく来日させることができました。

高崎:僕の私感としては「サマソニ、本当にそこまでやるの?」っていう感じのブッキングでしたね。そこの慎重さに関してはスタンスが違ったような気がします。

安藤:もちろんサマソニも、行政や会場との調整を経て、コロナ対策を徹底したうえで招聘していきました。でもたしかに、海外アーティストの招聘に関しては考え方が違ったのかもしれないですね。

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高崎:そこは清水社長(クリエイティブマン代表・清水直樹氏)の覚悟をすごくリアルに感じました。IPAJ(インターナショナル・プロモーターズ・アライアンス・ジャパン:招聘プロモーター10社による協力組織)の代表もされているので、(洋楽フェスを)絶対に復活させるという腹の括り方がブッキングからも伝わってきたというか。

安藤:おっしゃる通り、IPAJや業界内のみなさんの努力があってこその成果ですし、コロナ禍の2021年からスーパーソニックやキング・クリムゾンの来日公演を開催したり、いろいろとトライしながら実現させてきたことで会社的にも自信が生まれ、現場もそれを信じていたから実現できたんだと思います。

そして、昨年のサマソニを終えてからも大型公演が続き、今年に入ってからは来日公演に関しても通常に戻った感じなので、もう気持ちとしては振り返ってる場合じゃないというか。今も昨年の話をしながら「どうだったっけ?」みたいな感覚です(笑)。

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