デンゼル・カリーが語る、強さの理由「何者かになるために自分を失ってはいけない」

マーシャルアーツと音楽はとても近い存在

ーニューシングルにはスリー・6・マフィアのジューシー・Jが参加していますね。彼はあなたにとってどんな存在で、今回はどういった経緯で共演したんですか?

デンゼル:ジューシー・Jは偉大な存在、ラップをするきっかけになったのも彼の影響なんだ。彼はスリー・6・マフィアの創設者で、好きなラッパーの一人でもあるロード・インファマス、DJポールとともにスリー・6・マフィアを結成した。まさにシーンの中心人物、ビートのパイオニアだ。ジューシー・Jのラップはいつもヤバくて、10歳の頃からずっとファンなんだ。

ーコラボすることになったきっかけは何だったんでしょうか。

デンゼル:彼はレイダー・クランのファンだったらしく俺のことを知っていた。それから「Ultimate」で彼を呼んだんだ。その後『Rubba Band Business』に収録された、ジューシー・Jとウィズ・カリファとのコラボ曲「Too Many」を作った。なんとなく交流は続いていたけど「BLOOD ON MY NIKEZ」を誰とやるか真剣に考えるまで、また彼と一緒にすることになるとは思ってもなかった。それも、ムエタイのトレーニングのために1カ月半タイにいた時に決めたんだ、トレーニングの期間は彼の音楽を毎日聴いてたから。メッセージを送ったら翌日に返事をくれたよ。



ームエタイをやっている時にクリエイティブなインスピレーションが湧いてくることって、結構ありますか?

デンゼル:ああ。マーシャルアーツと音楽はとても近い存在だ。基礎があって、テクニックを学んで、自分のスタイルを見つける、そのことに熱をもって取り組む...... 両方ともルールと根本的なアイデアは同じだと思う。

ーあなたには「Ultimate」という代表曲もありますが、究極(Ultimate)のラッパーを挙げるとすれば?

デンゼル:アンドレ・3000かな。彼に出会ってなかったら、俺は「Ultimate」を作っていないから。

ーちなみに、あなたにとって究極(Ultimate)のファイターは誰でしょうか。

デンゼル:それは両親だね。

ー好きな格闘家はいますか?

デンゼル:タイ出身のタワンチャイ(・PK・センチャイ)、ロッタン(・ジットムアンノン)、ブアカーオ(・ポー.プラムック)、ノンオー(・ガイヤーンハーダオ)が好きだよ。

ーあなたはライブパフォーマンスの能力がずば抜けていますし、ステージ演出にも力を入れている印象です。自分のライブではどんなところを特にこだわっていますか?

デンゼル:オーディエンスとのつながりかな。

ーオーディエンスとうまくエンゲージするために心がけていることはありますか。

デンゼル:オーディエンスをショーに巻き込んで、エネルギーを共有することだね。

ーとはいえ、最初の頃はうまくいかなかったり、難しいと感じた経験はあったりするのでしょうか。

デンゼル:最初はもちろん緊張したけど、毎晩ステージに立つんだって考えたら緊張している場合じゃないって気づいたんだ。

ー自身のライブパフォーマンスにおいて、ターニングポイントになったステージはありますか。

デンゼル:オランダのWOO HAH!フェスティバル。すべてが一貫して完璧だった。最高のショーだったことを覚えてるよ。

ーその感覚はステージに立った瞬間に分かるものなのでしょうか。

デンゼル:ああ、エネルギーを感じるんだ。そのエネルギーを求めてパフォーマンスをしてる。だから、エネルギーを感じられないショーはやる意味がないと思ってる。

ー海外と比較すると、日本のオーディエンスは「おとなしい」と感じる人も多いと思いますが、その点はいかがでしょうか。

デンゼル:「静かさ」にアーティストへのリスペクトがあることは感じてるよ。そうだな、パフォーマンスの前にいくつか日本語を覚えるよ。それがオーディエンスと繋がるきっかけになると思う。俺の言いたいことをジェスチャーから感じ取ってくれる人もいると思うけど、言葉で理解してもらうのが簡単だから。

ー最後の質問ですが、あなたが自分でフェスを主催するとしたら、どんなものにしたいですか。

デンゼル:やっぱりビッグネームのビヨンセ、ジェイ・Zは欠かせないな。あとはテーム・インパラや、リル・ウージー・ヴァート、プレイボーイ・カーティ、ザ・ウィークエンド、フィーバー333、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン……いろんなジャンルのアーティストを一つのフェスティバルに呼びたい。それから、複数のライブを同時開催しない、一組ずつパフォーマンスするスケジュールを組むよ。あとは……ボクシングの試合もやろう、音楽に疲れたらボクシングの試合も観に行ける。そんなフェスがあったら最高じゃないか。


Photo by Kana Tarumi

FUJI ROCK FESTIVAL ’23
2023年7月28日(金)29日(土)30日(日):新潟県 湯沢町 苗場スキー場
公式サイト:https://www.fujirockfestival.com/

Tlansted by Miho Haraguchi, Natsumi Ueda

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE