【フジロック大トリ】リゾの知っておくべき名曲TOP20

PHOTO ILLUSTRATION BY MATTHEW COOLEY FOR ROLLING STONE. PHOTOGRAPHS IN ILLUSTRATION BY JOHN PARRA/GETTY IMAGES; STEVE GRANITZ/WIREIMAGE; TIM MOSENFELDER/GETTY IMAGES

7月28日から30日にかけて新潟・苗場スキー場で行われる「FUJI ROCK FESTIVAL '23」。3日目・日曜のヘッドライナーを務めるのは第65回グラミー賞で年間最優秀レコードに輝き、今回が初来日となるリゾ(Lizzo)。ソウルフルなセルフラブ讃歌からトゥワークを誘うフロアキラーまで、彼女の名曲20選をカウントダウン形式で紹介する。


過去10年間で、リゾはありとあらゆることを経験した。国民的スターになる前のメリッサ・ジェファーソンは、ミネアポリスのシーンで下積みを重ねるいちローカルアーティストに過ぎなかった。当初はリゾ&ラーヴァ・インクというエレクトリックなソウルポップのグループを率いていたが、その後はR&Bラップの3人組チャリスのメンバーとして活動。その後ソロに転向した彼女は、2013年に初のスタジオアルバム『Lizzobangers』をリリースし、2年後には『Big Grrrl Small World』を発表。スリーター・キニーの前座にも抜擢された彼女は、その後Atlantic Recordsと契約を交わす。

彼女はファンを着実に増やしていったが、発表から2年後にヒットしたセルフラブ讃歌「Truth Hurts」で一気にブレイクする。TikTokを席巻し、Netflixのコメディ『サムワン・グレート 〜輝く人に〜』にも起用された同曲は、ありとあらゆるラジオ局でプレイされた。陽気なキャラクター、見事なフルートのソロ、そして圧倒的な歌唱力という、スターとしての資質を備えていた彼女は、そこから一気にスターダムを駆け上がった。またシェイプウェアブランドのYittyのローンチや、バックダンサーを務める人材を発掘するAmazonの『Watch Out for the Big Grrls』など、近年では活動の幅をさらに広げている。

推し曲はファンによって異なるに違いないが、最新作『Special』を含む彼女のカタログの中から本誌が選出した以下の20曲を聴けば、リゾのユニークでディープな魅力に触れられるはずだ。




20位「Phone」(2016年)

リゾは「共感」のクイーンであり続けている。クラブでのハジける一夜を歌ったフロアキラー「Phone」で、彼女はケータイを紛失してしまう。「私のケータイはどこ?」と繰り返し問うも、実はその手に握りしめていたというオチは、ADHDを疑ったことのあるリスナーなら誰もが共感できるはずだ。




19位「Fitness」(2018年)

「Fitness」はリゾの曲としてはミニマルなものの一つだが、それはパワーに欠けるという意味ではない。ジムでのワークアウトについて歌っているこの曲は、実はセックス讃歌でもある。どちらにおいても、主導権を握るのは彼女だ。”bootyvicious”なリゾは誰からの指図も受け付けない(彼女が誘うことはあったとしても)。




18位「Better in Color」(2019年)

「レインボーカラーやら何やら」に満ちた、LGBTQと黒人のコミュニティに捧げたジャズ調のラブソング、「Better in Color」の魅力はめくるめくハーモニーだ。リゾの恋のターゲットとなった人物は、誰であれ覚悟したほうがいい。彼女はこう挑発する。「私の恋人にしてあげてもいいわよ/愛はカラーの方が映えるんだから」



17位「Everybody’s Gay」(2022年)

本当の自分とセクシュアリティを祝福する全米のナイトクラブで、クィアの人々から圧倒的な支持を集めたクラブアンセム「Everybody’s Gay」は、かつてのStudio 54を彷彿させる。ディスコ全盛期の輝きを放つこのアップテンポなダンストラックは、クィアの人々が不本意にも自分のアイデンティティをうやむやにしながら生きていることを強調すると同時に、そのマスクを脱ぎ捨てることの喜びを歌っている。「今夜、私は他人のふりをするのをやめる(本当の自分になる)/このコスチュームはリアルすぎて、自分でも怖くなっちゃうから」



16位「Soulmate」(2019年)

リゾは誰かに救ってもらおうとはしない。なぜなら、彼女自身が自分の「ソウルメイト」だからだ。どんな時でも自分自身を信じること、それがこの曲に込められたメッセージだ。気の向いた時にだけエクササイズすることや、毎週日曜日に自分に花を贈るという習慣まで、このアンセムは誰もを笑顔にする喜びに満ちている。自分自身にゾッコンで「いつか自分と結婚するの」と歌う彼女に、誰にも異論はないはずだ。


Translated by Masaaki Yoshida

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE