アジカン後藤正文のフジロック談義2023 音楽仲間と注目アクトを語る

後藤正文、フジロック(Photo by 宇宙大使☆スター)

後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)がホストを務めるSpotifyのポッドキャスト番組『APPLE VINEGAR -Music+Talk-』では、つやちゃん、矢島由佳子、小熊俊哉(本誌編集)というレギュラー陣に、ときにはゲストも交えながら、ユニークな視点で音楽トピックや楽曲を紹介している。昨年に引き続き同番組との連動企画で、2大洋楽フェスをテーマに音楽談義。注目すべき出演アーティストなどについて4人で語り合った。こちらはフジロック編。



後藤:いよいよライブでもお客さんの声出しが解禁になって、春に開催されたフェスはとても盛り上がっていました。かつての風景が取り戻されつつあることを実感する日々です。ライブをする側としても嬉しいかぎりだし、コロナ禍のなかで作った曲を一緒に歌ってほしいという気持ちを、多くのミュージシャンが抱いているんじゃないかな。そういうポジティブなムードのなか開催される今年のフジロック、僕はヘッドライナーのリゾが楽しみです。

矢島:私もめっちゃ楽しみ!

後藤:GREEN STAGEが合いそうだよね。特に「Good As Hell」という曲が好きなんだけど、あの曲でメチャクチャ踊りたい。踊るの下手なんだけどね(笑)。でも、リゾって「下手な人でも踊っていい」みたいな音楽でもあるでしょ。あらゆる人をエンパワーメントするアーティストだと思うし、僕も開放されたい。彼女自身が多様性の象徴といった面もあるし、すごく素敵な存在だと思っています。



つや:去年のサマソニが顕著でしたが、近年、フェスでの出来事や現地で撮られた写真がSNSで拡散される傾向が強まっていますよね。現地に行かない人にまで、フェスのシーンが届けられる状況になっている。その点、リゾはどんな衣装で歌うのか、観客にどうレポートされるのか、といったところも楽しみです。去年のリナ・サワヤマ然り、そういう切り口から世間の価値観が更新されていくこともあると思うんです。あと、去年はミーガン・ジー・スタリオンがサマソニでセーラームーンの衣装で歌っていましたが、リゾも同様のコスプレをしたことがあるので、もしかしたら日本のフェスで2年連続セーラームーンが見られるかもしれない(笑)。

その話でいうと、デンゼル・カリーというラッパーも出演するんですけど、彼も日本のカルチャーが大好きで、リリックに「椿三十郎」や「座頭市」といったワードを盛り込んでいます。

小熊:本誌WEBでつやちゃんに取材してもらったときも、『カウボーイビバップ』や松田優作の魅力について「そこまで語るか!」というくらい熱弁していました(笑)。



後藤:こないだもコーチェラの中継で、とあるアーティストが日本のアニメをバックの映像に使っていたのを見かけました。YOASOBIなんかにも通じる感覚や表現だなと思ったし、世界的な流れでもあるんでしょうね。やっぱりアニメってすごいカルチャーだと思います。

つや:海外のアーティストにとっても「来日したい」「日本でライブがしたい」と思う動機のひとつになっていますよね。

後藤:それに、日本のアニメは世界中のティーンエイジャーを救っているはず。「アニメのおかげで青春時代を乗り切れた」みたいな人が海外にもたくさんいる。そういう人がミュージシャンになり、日本に来たいと思ってくれているんだったら素敵な話ですね。

小熊:アジカンとも縁の深いフー・ファイターズについてはいかがでしょう?

後藤:もちろん観たいですよ。悲しい別れを乗り越えてのライブですしね。2日目はフー・ファイターズの前に、ELLEGARDEN、アラニス・モリセットが出るのもいい流れだなと。

小熊:テイラー・ホーキンス急逝という悲劇を経てのライブは見逃せないですし、彼はもともとアラニスのバンドで叩いていたわけで、そこにもドラマが感じられますよね。




小熊:3日目に出演するウィーザーも思い入れが深いのでは?

後藤:過去に何度も観てますが、一生好きなバンドであることは間違いないです。あとはダニエル・シーザーも気になる。「沁みるなー」ってゆらゆらしながら聴きたい。



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