アジカン後藤正文のフジロック談義2023 音楽仲間と注目アクトを語る

つやちゃん・矢島・小熊のおすすめ

後藤:みなさんが注目している出演者は?

小熊:フジロックの伝統的な魅力の一つとして、FIELD OF HEAVENでジャム・バンドやオーガニックな音楽を楽しめるというのがありますよね。今年はファンク系のラインナップも充実していて、個人的にはコリー・ウォンが楽しみです。ヴルフペックの一員にして現代屈指の人気ギタリスト。今年リリースされたライブ盤『The Power Station Tour』が大変かっこよかったのですが、フジでもホーン隊を含む8人編成で出演するらしく、これは間違いないだろうと。あとは元スナーキー・パピーのオルガン奏者、コリー・ヘンリーも実力者ですね。「メインステージもいいけど奥地も楽しいよ」というのは強調しておきたいです。



矢島:「盛り上がること間違いなし」でいうと、私が楽しみなのはルイス・コール。彼も13人編成のビッグバンドで出演する予定で、昨年の来日公演に続いて、ホーン隊は日本人のミュージシャンを起用するみたいです。映画『BLUE GIANT』にて主人公・宮本大のサックスを演奏したことでフィーチャーされている馬場智章さん、King Gnuやmillennuim paradeでも活躍するMELRAWさん、石若駿さん率いるAnswer To Rememberなどにも参加する佐瀬悠輔さん、星野源さんなどのライブでおなじみの武嶋聡さんといった凄腕メンバーとのコラボも楽しみですし、ルイス自身が超絶テクのドラマーでありつつエンターテイナーなので、笑えて踊れるハッピーなライブになると思います。



つや:私は100 gecsとキャロライン・ポラチェックですね。100 gecsはハイパーポップの文脈で語られることが多い2人組で、ポラチェックもその周辺人脈と繋がっていて。チープでふざけた感じもありつつ、最終的にはポップに聴かせるのが上手い2組。エクストリームな音像をライブでどういうふうに表現してくれるのか楽しみです。100 gecsは去年のコーチェラではふざけた格好でふざけた演出のライブをしていたので、フジロックでもそういう感じのステージだったらいいなと(笑)。




つや:それと、今年のフジはUKのクラブミュージック系も充実していますよね。1stアルバム『Good Lies』が出たばかりのOvermono、フランク・オーシャンの楽曲プロデュースでも知られるVegyn(ヴィーガン)、爽やかで軽快なダンスチューンが特長のTSHAというふうに、改めてレイブ・カルチャーが盛り上がってきている中でダンスミュージックのホットなラインを揃えていてワクワクするなと。

小熊:Vegynは昨年来日したとき観に行って、どれだけ先鋭的なDJをするんだろうと思ったら、ケミカル・ブラザーズやダフト・パンクの超ド定番をかけていたので「いいヤツじゃん!」と思いました(笑)。深夜のRED MARQUEEにそういった海外勢がブッキングされているのも久しぶりだし、「夜の名物スポット」THE PALACE OF WONDERの4年ぶり復活も嬉しいですよね。サーカスやポールダンスもあって賑やかだし、移動式テントのCRYSTAL PALACEでは、国境やジャンルを超えて良質な音楽が楽しめる。多様性を追求してきたフジロックの精神を体現するような空間というか。





後藤:いろんな国の音楽と出会うことができるのもフジロックの醍醐味だもんね。

小熊:今年もスペインはカタルーニャ出身のItaca Band(イタカ・バンド)、インド発のJATAYU(ジャターユ)から、タイのマルチプレイヤー・The TOYSと、本誌vol.22の特集「世界で活躍する日本のアーティスト10組」でも取り上げた凄腕ギタリスト・Ichika Nitoさんの共演まで、国際色豊かなアーティストが揃っています。





後藤:その一方で、近年のフジロックは日本の若い人たちの出演が増えていますよね。昔はよくも悪くも門戸が狭かった印象ですが、今年はVaundy、Saucy Dogなど勢いのある若手もしっかり入っていて、ミュージシャンの立場からするとヘルシーでいい傾向だなと。そういうふうに開いていったほうが日本の音楽も風通しがよくなると思います。

矢島:何年か経ってからもっと有名になったとき、「あの年のフジロックに出てたんだ」みたいに振り返られるケースも多いですよね。

後藤:アジカンも初出演(2003年)は深夜のROOKIE A GO-GO、『ソルファ』を出したとき(2004年)はRED MARQUEEでした。あとは個人的に、「誰が出てても行きたい」と思うフェスであり続けてほしいですね。

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