「売春婦養成コース」で女性たちを洗脳、極右インフルエンサーの人身売買手口 英

メッセージをさらに辿っていくと、テイトは女性を誘いこみ、自分の下で性的コンテンツを作成させた経緯を詳しく振り返っている。スレッドに投稿された携帯メールと思しきスクリーンショットを見ると、女性は性的画像を送ったり、webカムやOnlyFansをやったりすることに抵抗している。「私の身体はプライベートなものだから、結婚相手しか触れたり見たりできないの」。

テイトはこれを明らかに同意が欠如した例として、また仲間たちへの挑戦および教訓としてWar Roomのメンバーに示している。「この仕事で経験する最大の難題がこれだ」とテイト。「お前たちさえよければ、俺のやり方を手取り足取り教えてやってもいい」。その後テイトはWar Roomのメンバーから意見を募り、自分ならパートナーをどう説得して風俗をやらせるか、と尋ねた――「僕なら良い警官と悪い警官の策を使う」と言うユーザーもいた。「断られてすごく傷ついたふりをする。拒絶を逆手にとって、彼女に申し訳ないと感じさせて泣かせる」――するとテイトも、女性にwebカムをやらせるために「今夜試してみる」と言った。

「(ブカレストに)越してきてから、あいつは食い物には困っていない。だがそれだけだ」とテイト。「あいつは一文無しだ。故郷にも帰れない。家を出ることもできない。ちくしょう、まるで俺が悪者みたいじゃないか。でも違う。俺は迷える羊を導く羊飼いだ。俺の後をついていけば人生上々だってことに、あいつはまだ気づいていない」。

その後テイトは、女性が金をせびるのを逆手にとってwebカムを共同作業だと思い込ませた経緯を語り、他の男性がパートナーにwebカムをやらせる際の雛形として紹介している。「俺たちは一緒に世界を旅するんだ。俺は携帯で仕事をする。俺たちはチームだから、俺の言うことを聞くんだ」と言うよう、テイトはメンバーに指示した。それでも女性が従わない場合、「一文無しにして頭を冷やさせろ。数日経っても拒んでいるようなら、計画は失敗だ。女を追い出せ」。

これに対してWar Roomのユーザーは、「了解、なかなかいい手だ」と返信している(Polaris Projectでは搾取の流れをこう説明している。「人身売買業者が被害者の搾取に着手する方法は、必ずしも明確ではありません。まずは時間をかけて、被害者がやりたがらないことを強要し」、風俗が「共通の目標を達成するための手段」だと納得させるケースもあります)。

さらにテイトは、アシスタント兼「稼ぎ頭」のジョルジーナ・ネイゲルとの会話をでっち上げて女性にwebカムをするよう説き伏せるという、巧妙な策略も披露している。ちなみにネイゲルも犯罪組織を形成して女性たちを搾取していた容疑で、他1名の女性とともにルーマニア当局から捜査を受けている(ネイゲルは容疑を否定し、ローリングストーン誌のコメント取材の要請にも返答はなかった)。本人の弁によれば、虚偽のやりとりをでっち上げるのは、webカムをやるよう圧力をかけられているのではないかという女性の疑念を取り除きつつ、自分のために一肌脱ぐようもう一押しするのが目的だという。

偽のやり取りのスクリーンショットで、ネイゲルは女性について疑問を呈している。「大金を稼げるのに、なぜその子は私とOnlyFansをやらないの?」。

「それ目当てで彼女をブカレストに呼んだと思われたくない」とテイトが返信する。

「何それ。あなたは金持ちなんだから、金稼ぎのために彼女が必要なわけないじゃない?」。ネイゲルはスマイル絵文字付きでこう返信。「私と組めば月3000稼げて、ブカレストであなたと暮らせるのにね……いつも写真ばっかり撮ってるくせに稼ぎがゼロだなんて。写真を売ればいいのにね?」。

War Roomのチャット記録を見ると、テイトはこうした芝居の目的およびフォロワーに逐一説明する理由について、こう語っている。「価値があると思ったら、俺はどの女にもこの手を使う」と本人。「お前らも稼ぎ頭を使って、ポン引き仕事をやらせるがいい」 その後チャットに投稿されたネイゲルとのやりとりのスクリーンショットには、その女性にOnlyFansをやらせろとネイゲルにはっきり指示する内容が示されていた。

「あいつ(名前は伏せ字)にOnlyFans用の写真を撮らせて、俺に見せろ」とテイト。

「OK」とネイゲルが返信。

「OnlyFansに載せろ。あいつには稼いでもらいたい」とテイト。「茶番をしている暇はない」。

「今日からコンテンツ作成に取りかかるわ」とネイゲル。

テイトと親しかった情報筋はこのメッセージを見て、女性に風俗をやらせることに関するテイトの主張――自分は金持ちなので、女性に稼いでもらう必要はない――は、過去にも本人の口から何度も聞かされたと述べた。「どの女性についても、(テイトの)理屈はまさしく100%こうです」と、その情報筋はローリングストーン誌に語った。「正直どの女性にも、真の意味で感情や敬意はまったく感じていなかったと思います」。

ローリングストーン誌が入手した裁判所記録によると、テイトは2021年5月に女性をブカレストへ連れていき、ポルノコンテンツを無理矢理作成させようとした件でルーマニア検察から捜査を受けている。その女性はソーシャルメディアで、テイト兄弟の被害者ではないと強く否定している。「汚職にはもううんざり。みんな目を覚まして!」と、その女性は1月23日に投稿した。「私は被害者じゃない。テイトの件では被害者は誰もいない」。

ローリングストーン誌が入手した2023年2月付の裁判所記録で、検察はこの女性がテイトと近しい別の女性とドバイへ連れていかれ、テイト兄弟を擁護するコンテンツを作るよう指示を受けていたと主張している。女性のInstagramのアカウントに最近投稿された画像には、別の女性(ドバイ在住で、テイトが運営する複数の企業と関りがある)と一緒にトリスタン・テイトと仲睦まじくしている様子が映っている。

7月18日、ルーマニアの裁判所は捜査が継続中であることを理由に、テイトの自宅軟禁を30日間延長する裁定を下した。テイトは容疑について、自分の口封じを図る壮大な陰謀論の延長だと再三にわたって主張している。18日にも、「政界の各方面にマトリックスのエージェントが散らばっている」とツィートした。

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from Rolling Stone US

Rolling Stone Japan 編集部

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