メイジー・ピーターズ、「新世代の代弁者」が明かす作曲術とエド・シーランからの学び

メイジー・ピーターズ(Photo by Yukitaka Amemiya)

 
所属レーベル「Gingerbread Man Records」を主宰するエド・シーランから、「イギリスの新世代の代弁者」と太鼓判を押されたメイジー・ピーターズ(Maisie Peters)が、今年6月にリリースされた2ndアルバム「The Good Witch」を引っ提げ、サマーソニックで約5カ月ぶりの再来日を果たす。失恋をはじめ、自らの実体験をモチーフにしたキャッチーなポップソングを作り続ける理由とは? そして、初来日ライブ、2ndアルバムでの変化にも迫った。


ネバーランドのような魔法の世界

ー今年3月にWWW Xで2日間行われた初の来日公演はいかがでしたか? メイジーさんへのメッセージ付きの日の丸をファンからプレゼントされていて、とてもフレンドリーな雰囲気でしたね。

メイジー:とても楽しかったです! イギリスから遠く離れた日本であんなにたくさん私のことを歓迎してくれるオーディエンスがいるなんて、シュールな感覚はしましたが、忘れられないショウになりました。日本のオーディエンスは世界中、どこの国と比べても違うなって思いました。すごく敬意をもって接してくれるし、とても熱心。特に2日目の追加公演のライブはそう感じました。東京の滞在中にミュージックビデオの撮影をしたりしたこともあって、計画していたことができなかったところもあったんですが、とても楽しめた滞在になりました。

ー8月にはサマソニでの再来日が予定されていますね。

メイジー:私にとって初めてのアジアでのフェスなのですごく楽しみにしています。東京から大阪は新幹線に乗って移動するみたいですが、バンドをやっている友達から日本の新幹線の話をいろいろ聞いているので、初めて乗れると思うとそれも楽しみです。


Photo by Yukitaka Amemiya

ー2ndアルバム『The Good Witch』がリリースされたばかりです。どんな作品になりましたか?

メイジー:16曲収録されているんですが、ここ1年の別れも含めて経験したこと、出会った人のことが描かれていて、音楽的にもとても幅広いアルバムになったと思います。いろんなものを詰め込んだので、楽しんで聞いてもらいたいですね。

ータイトルの『The Good Witch』は意味深ですが、どんな思いが込められてるんでしょう?

メイジー:直訳すると“良い魔女”という意味ですが、パワーがあってカオティックで、ネバーランドのような魔法の世界を持っているようなイメージです。アルバムに収録されている曲で、宇宙を支配していて、すべての運命を握っている“グッド・ウィッチ”が登場する曲があるんです。それは私が自分のアートと向き合う際の姿勢にも重なるので、このタイトルが相応しいと思いました。


「Lost The Breakup」MVは東京で撮影

ー先行配信された「Lost The Breakup」は実話なのか妄想なのか謎めきながらも、失恋から立ち直る姿が描かれていました。どんなところにこだわりましたか?

メイジー:スウェーデンに滞在して、プロデューサーのオスカル・ゲレスと一緒に書いた曲なんだけども、実体験を踏まえた曲ですね。生きていれば当然落ち込むことはあるけれど、そこから喜びを取り戻すことを歌っています。

ーこの曲は、“振った彼を見返してやろう、私は最高の女”と言い切る力強さと肯定感が痛快ですが、このエネルギーはどこから生まれてくるのでしょう?

メイジー:自分ではよくわからないんだけれど、おそらく「今は踏ん張って前に進もう」という気持ちの表れじゃないのかな。「こうありたい」という希望が込められているんだと思います。



ーその前に配信された「Body Better」は恋愛におけるドン底の状態でしたが、「Lost The Breakup」がそこから這い上がった曲になっているのはご自身の願いが込められているのでしょうか?

メイジー:最悪な状況が「Body Better」だとすると、真ん中あたりまで立ち直ってきているのが「Lost The Break up」だと思います。両方の曲があることによって、聞き手にも希望が感じられるんじゃないかなって。

ーアルバムには「Lost The Breakup」より気持ちが上向きの曲は収録されているのでしょうか?

メイジー:いや、「Lost The Breakup」が一番這い上がっている時の気持ちを歌った曲だと思う(笑)。ということは、その先の気持ちを歌った曲も今後できるんじゃないかなって思っています。


Photo by Yukitaka Amemiya

ー「Lost The Breakup」はしっとりした始まりから、どんどんテンポがアップし、キャッチーになっていきますが、サウンド面で意識したことはありますか?

メイジー:ノートに書き溜めている自分が経験した失恋についてのモチーフをもとに、オスカルと一緒に作っていったらあっという間にできてしまいました。特に、私が気に入っている、みんなと一緒に歌いたいなと思ったコーラスパートは早かったですね。曲ができた翌日、スタジオに入ってレコーディングしました。

ーオスカル・ゲレスとのコラボレーションはどんな学びがありましたか?

メイジー:好奇心を持っていろんなことに取り組む姿勢ですね。世界でいちばん売れている曲が一番いい曲とは限らないじゃないですか? でもオスカルのチームは一番良いと思う曲を一番売れる曲にしようという意気込みで制作に向き合っています。その姿勢はとても刺激になりました。

Editor = Hiroo Nishizawa

 
 
 
 

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