マネスキン新曲「Honey(Are U Coming?)」最速レビュー、「瞬速完売」来日公演の展望

マネスキン(Photo by Francis Delacroix)

 
最新アルバム『RUSH!』の世界同時リリースから7カ月、現在進行中のキャリア最大規模のワールド・ツアーのちょうど折り返し地点に立っているマネスキンが、ニューシングル「HONEY!(Are u coming?)」をリリースした。

8月初めから予告されていたこの曲、バンドは『RUSH!』のレコーディングに向けて50曲近くを用意していたというから、収録に至らなかった曲のひとつを仕上げたのか? クレジットによると参加スタッフは「TIMEZONE」や「GASOLINE」を手掛けたチームとほぼ同じで、ソングライターとしては4人のメンバーのほかに、お馴染みのジャスティン・トランター(マイリー・サイラス、イマジン・ドラゴンズ)、ラミ・ヤコブ(レディー・ガガ、キム・ペトラス)、スライことシルヴェスター・シヴェルトセン(ショーン・メンデス、デュア・リパ)、ユッシ・カルヴィネン(ケシャ、ビービー・レクサ)の名前がある。このうちラミとスライがプロデュースを担当しており、イタリア人、スウェーデン人、デンマーク人、フィンランド人、アメリカ人という実にインターナショナルな顔ぶれ。とにかく出自は定かではないのだが、種々雑多なスタイルを網羅していた『RUSH!』にもない、マネスキンらしいメロドラマティズムを満々と湛えたニューウェイブ・チューンとなった。



そう、いきなりキリング・ジョーク辺りを思わせるギターリフに乗せたサビからスタートし、メロウなAメロに移行して、ダミアーノが美しいファルセットを聞かせるウェットなブリッジでテンションを上げてから、サビにカムバック。次いでセカンド・ヴァースはリズム隊オンリーのバッキングで、ダミアーノは喋りモードにボーカル・スタイルを変えて、ブリッジのあとにストップ&スタートを挿んでからもう一度サビ……と、1秒も無駄にせずに2分47秒にうま味をパンパンに詰め込んでいる。

影響源として、聴いていて真っ先に思い当たったのはキラーズだ。思えばマネスキンは2017年のEP『Chosen』で「Somebody Told Me」をカバーしていたから、ファンであることは間違いないし、今回のケースはキラーズを介してポストパンクの匂いを継承したと言うほうが、正しいのかもしれない。

 *

(CHORUS)
Meet me there
Where it never closes
Meet me there
Where it’s never hopeless
All is fair in love ooohhh
Honey are u coming?

 *

その歌詞の内容は、早い話が欲情型ラブソングであり、“イタリアのアモールを教えてやるよ”とダミアーノは熱く誘惑しているのだが、注目したいのはサビ。というのも、ここだけを聴いて、“Honey”をよりニュートラルな言葉で置き換えると、途端に、普遍的な愛と団結のアンセムになるのである。さあみんな、寛容さ(“Where it never closes”)と希望(‟Where it‘s never hopeless“)があふれる場所で会おうじゃないか――と訴えるアンセムに。極めつけは、ちょっと古めかしい“All is fair in love”というフレーズで、これはもとを正せば16世紀英国の劇作家ジョン・リリーの言葉だとされる、“All‘s fair in love and war(恋愛と戦争において人は手段を選ばない)”という諺の一部を切り取ったもの。つまり、 “愛のためならルールを無視しても構わない”とのメッセージに転化し、“Are u coming?(ついてくるかい?)”と同意を求めているわけだ。

 
 
 
 

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