スロウダイヴが語る、シューゲイザー・レジェンドの実験精神と歳月を重ねて深まる絆

スロウダイヴ、、フジロック’23にて(Photo by Yuta Kato)

マイ・ブラッディ・ヴァレンタインやライドとともに、90年代にシューゲイザー/ドリームポップの代表格として活躍した英国はレディング出身のスロウダイヴ(Slowdive)。1995年に一度は解散するも、2014年に再結成を果たし以降は精力的にライブ活動を行い、2017年に22年ぶりとなる4枚目のアルバム『Slowdive』をリリースした彼らが、およそ6年ぶりの新作『everything is alive』を完成させた。

もともとは中心メンバーのニール・ハルステッド(Vo, Gt)が、モジュラーシンセを用いたデモをコロナ禍で制作。それをもとにエレクトリックなアルバムを作る予定だったが、スタジオでセッションを重ねていくうちに彼らの真骨頂であるフィードバックをレイヤーしたサウンドへと移行。結果的に、ブライアン・イーノを迎えて制作された「最高傑作」との呼び声高いアンビエントな2nd『Souvlaki』(1993年)の延長線上にあるような、エレクトロシューゲイズな内容に仕上がっている。

それにしても、再結成はしたものの全盛期に匹敵する新作をなかなか出せずにいるバンドが多い中、スロウダイブがこうしてクオリティの高いアルバムを2枚も出すことができているのは何故なのか。今年で3度目となるフジロック出演を果たした彼ら。ライブの翌日、フェス現地でレイチェル・ゴスウェル(Vo, Key, Gt)、ニック・チャップリン(Ba)の2人に話を聞いた。

【写真ギャラリー】スロウダイヴ フジロックでのライブ写真まとめ(全23点)




─昨日のライブはどうでしたか?

レイチェル:最高だった! フジロックでの過去2回(2014年、2017年)は確かRED MARQUEEで昼頃のパフォーマンスだったの。今回はメインだったし、夕方、暗くなってからの雰囲気はやっぱり良かったな。

ニック:自分たちの出番のあと、少しだけ会場を回る時間があったからフー・ファイターズのライブも観たよ。ロケーションも最高で楽しかったし、また次回も来られたらいいな。


レイチェル・ゴスウェル、フジロック’23にて(Photo by Yuta Kato)

─昔の曲はもちろんとして、再結成以降のニューアルバムの曲がすごく盛り上がっている印象がありました。

ニック:そうだね、みんな新曲を好んでくれていると思った。特に反応が大きかったのは、先日リリースしたばかりの「kisses」だったし。きっと若いファンが見にきてくれたのだろうね。

レイチェル:どうかな。『Souvlaki』がきっかけで聴きに来てくれたファンが多いのだと思うけど。「Souvlaki Space Station」の反応も良かったから。

ニック:確かに。「When the Sun Hits」と「Alison」はやっぱり際立っていたしね。


ニック・チャップリン、フジロック’23にて(Photo by Yuta Kato)

─再結成後、単独公演も含めて何度か日本を訪れているみなさんですが、どんな印象ですか?

レイチェル:日本は大好き! ここ(苗場)以外は東京と大阪だけ行ったことがあって。なんだっけ、あの……速い電車に乗ったよね?

ニック:新幹線でしょ。

レイチェル:そうそう。どこから乗ったかは忘れちゃったけど、すごく楽しかった。また戻ってきていろんな場所を旅行したいな。私はガーデニングが趣味で植物が大好きだから、日本の植物や庭園に行きたい!

ニック:90年代は、ライドやラッシュが日本に来てファンベースを確立していたじゃない? 僕らは当時、なかなか機会がなくて再結成後の2014年が日本での初ライブだったんだ。とても新鮮な感覚だったね。日本とイギリスは全く違うって感じた。

─それは、例えば?

ニック:例えば車で移動してサービスエリアに立ち寄っても、何が書いてあるのか、どんな食べ物があるのか、マシンはどうやって使ったらいいのか全然わからないし……しかもロボットが注文を取りに来るでしょ? まるで映画のセットの中にいるみたいだったよ(笑)。君たちにとっては当たり前のことかもしれないけど、退屈な田舎育ちの僕らからすれば、「一体何なんだ!?」って感じだったんだよ。

レイチェル:そういえば、私は東京で猫カフェに行ったわ。猫好きだから経験としてね。

─東京にはチンチラのカフェとかもあるらしいですね。

レイチェル:嘘でしょ? どんな感じなの?

─行ったことはないんですが……想像できないですよね(笑)。

レイチェル:チンチラって夜行性でしょ? 一度スティーヴ(夫)と飼おうか検討したことがあるんだけど、世話がすごく難しいって知って、ツアーのことも考えて諦めたの。

ニック:まあとにかく、また絶対に戻ってきてゆっくり過ごしたい。レイチェルが庭園に行けるくらいね。

レイチェル:次は桜を見てみたいわ!

ニック:僕は冬に訪れて、スノボーとかやりたいな。

Translated by Miho Haraguchi, Natsumi Ueda

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