LOW IQ 01の青春時代「俺的に歴史的一枚を出せた年、つらいことの方が多かった1996年」

ー1996年に創刊ですね。

創刊したのがすごいうれしかったな。表紙とかもかっこいいんだよ、海外のアーティストとか。分かりやすく言うとFineからwarpになったって感じかな。

ー大野(俊也)さんが編集長ですよね。

そうそう、まさしく。ストリートカルチャーはwarpかなって思うな。もちろんFineとかもあったけど、warpで徹底的にもろストリートになったというか。96年に『warp Magazine Japan Tour』に出演したんだよね。あれは楽しかった。出ているメンツがSocial Distortion、SICK OF IT ALL、Dog Eat Dog、Murphy's Law、Blink-182、Hi-STANDARD、COCOBAT、SUPER STUPIDが出演してて。ブリンク(Blink-182)がまだ、そんなに有名じゃなくて、KEN(横山健)に紹介してもらったのを覚えている。確か、トップバッターがブリンク(Blink-182)だったんじゃないかな。



あとその時BACK DROP BOMBのマサ(小島真史)が最前列で観ていたのを覚えている。それと後日、人から聞いた話なんだけど、Social Distortionはカリフォルニア出身で、SICK OF IT ALLやMurphy's Lawは、ニューヨークのバンドだったのもあり、共演者とあまり絡んでいなかったみたいで、最初は楽屋から出てこなかったみたいね。ただ、ツアーファイナルの名古屋で他の共演者と打ち解けたみたいよ。



それと、俺、前年の95年にMurphy's Lawの初来日公演で対バンしていたんだけど、そのときにMurphy's Lawの曲にゲストで、サックスを1曲演奏していたのね。で、その翌年のこの『warp Magazine Japan Tour』でMurphy's Lawのギターのトッド・ユースに「今日は、サックスを持ってこなかったのか?」って、言われたのがすごく嬉しかったのを覚えている。俺のこと覚えてくれてたんだって。



ーfineはファッション寄りで、warpはカルチャー・音楽に寄ったイメージがありましたね。

そうそう。パンク、ヒップホップ、レゲエとかが一冊に載っている感じ。もちろん、ヒップホップはヒップホップ、パンクはパンクで専門誌はあったけど、その中でも一番カルチャーの紹介の仕方がかっこよかったんだよね。今でも本物だなと思っているのはwarpマガジンかな。時代的にはストリートミュージックのカルチャーがよりマスのものになって、もっと言うとコギャルとかじゃない? ルーズソックス、安室ちゃんだよね。1996年にすごく売れている曲ってフージーズなんだよね。フージーズってなると、ローリン・ヒル。高校生とかも金のでかいイヤリングみたいなのして、黒い口紅を塗って、バーバリーみたいな柄のミニスカートを履いていて。この頃ってセンター街がそういう感じになってきて。女の子は完璧にコギャル。男の子たちはスケーター、B-boyみたいなファッションがスタンダードになってきた感じだよね。あと、すげー覚えているのはピストルズ(Sex Pistols)が来日したんだよ。

ー僕も観に行ってます。

クラブチッタでもやってるんだよね。俺は武道館観に行ったんだけど、あまりにも演奏が遅くて。ポール・クックがグルーヴ出しすぎちゃって、曲がちょっと遅くなってて。リズム隊はいいんだよ、グレン・マトロックとポール・クックだから。ジョン・ライドンは訳分からん格好していて。PILでもないし、ピストルズでもないなと思って。一応初来日ということだったからどんなものかなと思って観たけども、途中で、つまらないと思って、まあしょうがないんだよね。自分がバンドやっているから、バンドマン目線で見ちゃうっていうか。ちょっとピストルズはがっかりしたのを覚えてる。



ー僕は武道館でピストルズ観てもダメだろうと思って、チッタだから観に行ったみたいなところがあります。

そうだよね。俺の友だちがピストルズを武道館の通路みたいなところで観てたらセキュリティと揉めて普通に出て行っちゃってた。お金払ってるんだけど、つまらなかったみたいで。俺は一番いいときのPILを観てるから、ピストルズはこれでいいかなって感じがすごいしたかな。グリーン・デイとかも来てるんだよね。

ーこの年の1月にグリーン・デイが来日して、そのオープニング・アクトをHi-STANDARDがやっているんですね。

そうそう。次の新しい世代が出てきて、グリーン・デイとかの感じだったよね。

ーちなみにラモーンズの最後のツアーも1996年ですね。(※編集部注釈:最後の来日ツアーは1995年)

最後の来日ツアーって、クラブチッタでやってる?

ーやってます。

この時代の海外のライブって大体チッタだったよね。

ーあのクラスでスタンディングできるのがチッタしかなかったですもんね。

1500~1600でちょうどいいからね。



ー大きめなところでいくとマイケル・ジャクソンが来てます。3月にはマライア・キャリーが来ていたりしますね。

そのころの来日って、東京ドームクラスとかなんだよね。でも、アメリカのパンク・バンドがやっと日本に来る感じになってきたんだよね。1996年の代表的なイメージって、たまごっちじゃない?

Rolling Stone Japan 編集部

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