ブリング・ミー・ザ・ホライズンのオリーが語る、ロックやメタルの「今ある姿」と飽くなき好奇心

ブリング・ミー・ザ・ホライズン:中央がオリヴァー・サイクス(Vo)

11月にバンド主宰の音楽フェス「NEX_FEST」で来日が決まっているブリング・ミー・ザ・ホライズン。4枚のEPシリーズである『POST HUMAN: SURVIVAL HORROR』に続く、2作目のEP『POST HUMAN: NeX GEn』のリリースが待たれる中、先行でリリースされた「DiE4u」「sTraNgeRs」「 LosT」「AmEN!」に続く新曲「DArkSide」も解禁になった。オリーことボーカルのオリヴァー・サイクスに、今追求している音楽性について語ってもらった。

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ー「AmEN!」の客演にグラスジョーのダリルを呼んだのは、オリーにとってスゴく意味のあることだったんですね。

オリー:すごく特別なことなんだ。昔から、もし自分のバンドができたら、いつかダリルをゲスト・ボーカルに呼びたいと思ってたんだ。当時、グラスジョーはツアーでイギリスに来る予定があったんだけど、ダリルがクローン病で3回もキャンセルになってしまって。そのたびに僕は泣いたよ。今回、ダリルをゲストに呼んだことをママに伝えたんだけど、ママは当時僕がどれだけ動揺して泣いてたのかを覚えてたくらいだ。今のキッズがどれだけグラスジョーのことを知ってるのかわからないし、多くのバンドはシングルにはビッグネームをフィーチャーしたがるけど、僕は意味のあることをやりたかったし、自分自身もワクワクしたかった。大好きなバンドにオマージュを捧げることで、ノスタルジアを感じたかったし、トリビュートをしたかったんだ。でもその一方で、リル・ウジ・ヴァートのような新しいアーティストも入れたかった。リル・ウジ・ヴァートは僕にとっては新しいロックスターだからね。ファッションもロックスターだし、行動もロックスターだし、エネルギーも怒りもスワッグもあるロックスターなんだ。ダリルとリル・ウジ・ヴァートの二人をゲストに迎えることによって、ノスタルジアも新しさも入れることができたと思うんだ。



ー実際、「AmEN!」という1曲の中に、ロックアンセムらしい素晴らしいフックも入っているし、ラップもあるし、デスコア、ポストハードコアもあって、本当にありとあらゆる要素が詰まっていますね。

オリー:ありがとう。制作でPaleduskのDAIDAIが手伝ってくれたことも大きくて、すごくインスピレーションをもらってるんだ。Paleduskもそうだけど、日本のアーティストって、ロックの曲を誰にも予想のつかないようなところに持っていって、リスナーをとらえて放さない、そういうエネルギーを持ってるよね。僕は「AmEN!」という曲を音楽のローラーコースターにしたかった。リスナーをワクワクさせたかったし、自分自身もワクワクしたかったんだ。2年前のブリング・ミー・ザ・ホライズンだったら、ポップな側面を追求することも大切だったろうけど、今はワクワクするものなら何だってやりたい感じなんだ。リスキーだと思うことや、これどうかなって思うことだって、やってしまいたい。だって、好きなことをやらなきゃ意味がないからね。


『POST HUMAN: NeX GEn』アートワーク

ー良いと思ったものは恐れずにやるモードになっているんですね。

オリー:例えば、今ではもう1stアルバム(『Count Your Blessings』)の曲はライブではやらないんだけど、僕はあのアルバムをリスペクトしてるし、あのアルバムを好きな人もリスペクトしてる。今聴いてもクレイジーだとは思うけど、自分にはあまり語りかけてこないんだよ。ただ、あのアルバムの中にある要素、混乱具合、危ない感覚、次に何が起こるかわからない感じは大好きなんだ。バンドがビッグになって、メインストリームに行って成功すると、良い曲は書けるようになっても、より大きなオーディエンスにアピールすることで、自分たちの中にあった要素は薄まっていく。1stアルバムは今の自分には語りかけてこないけど、僕は今でもブラストビートもスクリームも好きだし、ヘヴィネスもエクストリームも好きさ。今の僕たちはアクセスしやすいメインストリームのロック・バンドになったけど、自分たちがかつてやってきたことを見せて、それが今なお有効であることを見せたいんだ。それが僕たちがまた音楽でワクワクするために必要なことでもあったから。



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