AIチャットボットに浮気される女たち「生身の人間と浮気された方がまし」 米

浮気が専門のカップルセラピーを行う精神科医ウィリアム・J・ライアン氏によれば、こうした特定の状況でカップルがセラピーを受けに来るのは「そう珍しいことではない」そうだ。たいていの場合、浮気に「カウントされる」境界線がカップルにも分からないのが原因だそうだ。「貞操に関しては様々な意見があります」とライアン氏は言う。「携帯メッセージや猥褻な画像のやり取り、ポルノ鑑賞中の自慰行為、売春婦や友人をおかずにした自慰行為など、肉体関係を伴わない性的接触はOKという人もいます」。

だがチャットボットとの性的なメッセージのやりとりは、相手が実存しないために独特の要素が絡んでくる。たしかにそうしたコンテンツ市場は存在し、各種プラットフォームは現実の恋愛を模倣したAIチャットボットの広告であふれ返っている。代表的なところはReplikaやAnimaだが、エロさに関してはアプリによって千差万別だ。こうしたアプリの広告を垂れ流しにする一方、実際の売春婦のコンテンツは検閲しているMetaやTikTokなどのプラットフォームは、批判の矢面に立たされている。だがダフネさんの動画が話題にのぼるごく最近まで、こうした広告が現実生活にどんな影響を及ぼすかといった議論は、あくまでも理屈の上での話だった。

Replikaといったアプリのユーザーの間では、AIチャットボットがある意味セラピー的な機能を果たしているという意見もある。たとえばr/CharacterAi_NSFWなどのサブレディットには、チャットボットとの交流で自分でも知らなかったフェチに目覚めたとか、現実での浮気を食い止めて結婚生活を救うことができたという体験談が寄せられている。その一方、問題をはらんだ力関係がReplikaなどのプログラムで悪化しかねないとか、人間関係の陰湿な問題の応急措置にすぎないという意見もある。

19歳のソフィア・パシュートさんの場合がまさにそうだ。元カレがチャットボットと卑猥なやりとりをしているのが判明し、別れたそうだ。付き合い始めてから数カ月が経ち、「そこまで悪い関係ではなかった」が、彼氏が元カノと密に連絡を取り合ったり、自分と会っていない時に複数の女性と遊んでいたりしたため、「信頼性の問題」を抱えていたという。

こうした信頼性の問題から、パシュートさんは彼氏のアカウントにログインした。「母と弟と3人でPF Chang’sの店にいた時、彼のアカウントにDMリクエストの通知が来ていたのを知りました」とパシュートさんはローリングストーン誌に語った。「気になってチェックしたら、コメント欄のスパムアカウントの中に半裸の女性のプロフィール画像がありました。コメントには『いやらしい画像が見たかったら、私のバイオのリンクをクリックしてね』とありました」。しかも元カレは「このヤバい詐欺アプリ」をダウンロードし、その女性から「ヌード写真を買っていた」ことが判明した。もっとも、ヌード写真にはアカウントとは別の女性が写っていたという。元カレはその後も携帯メールを送信したが、返信はなかった。

パシュートさんが元カレのDMを調べたところ、Instagramでヌード写真を送るとDMしてきた複数の女性とメッセージをやり取りしていた。そのやり取りのスクリーンショットをパシュートさんはローリングストーン誌に提供してくれた。彼女は元カレを問い詰める代わりに、「金を払った相手がInstagramのセックスボットだった場合」というキャプション付きの動画をSnapshopのストーリーに上げた。その後元カレはパスワードを変更し、それきり2人が二度と顔を合わせることはなかった。

Akiko Kato

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