原田知世×伊藤ゴロー対談 音楽で結ばれた絆、高橋幸宏への想い、常に変化し続ける姿勢

原田知世(Photo by Nico Perez)、伊藤ゴロー

 
原田知世によるカバーアルバム第4弾『恋愛小説4〜音楽飛行』がリリースされた。昨年のデビュー40周年を経て制作された本作は、シリーズ第1弾『恋愛小説』(2015年)以来、8年ぶりとなる洋楽カバー集。ビートルズやカーペンターズ、ジョニ・ミッチェルなど主に60〜70年代の名曲が並んでおり、プロデューサーの伊藤ゴローが信頼するミュージシャンとともに作り上げたオーガニックなアンサンブルと、優しく包み込むような原田の歌声がどこまでも心地よい。シンプルかつオーソドックスなようで、随所に遊び心を忍ばせたサウンドスケープは聴くたびに新しい発見があり、長く愛聴したくなる一枚だ。

2005年に共演して以来、およそ15年もの間タッグを組み続けている原田知世と伊藤ゴロー。長く良好なパートナーシップを築くコツはどこにあるのだろう。本作を紐解きながら、ビートルズへの愛情、二人とゆかりの深かった高橋幸宏への想いなどたっぷりと語ってもらった。


─本作を聴いて特に印象的だったのは、「In My Life」のカバーです。「Mother Nature's Son」や「Happiness Is a Warm Gun」などビートルズの他の楽曲のフレーズがふんだんに盛り込まれたアレンジには、遊び心を感じました。ビートルズの楽曲を知っていれば知っているだけ楽しめますよね。

伊藤:そんなふうに聴いてもらえたのなら嬉しいです。カバーして気づいたのですが、「In My Life」はボーカルのアプローチが非常に難しい。タイトルや歌詞の内容から、どうしても感傷的なニュアンスが強くなってしまいがちなんですよ。原曲は、ジョン・レノンの若さあふれる元気いっぱいの歌声と、思いのほか速いテンポによってそう感じないのですが、カバーするとノスタルジックな方向へ引っ張られそうになる。

原田:そう。私たちの年齢的にも「人生を振り返りながらしみじみ歌う」みたいな感じにはしたくなくて。

伊藤:「黄昏っぽくなってないよね?」と二人で確認しながらレコーディングを進めていきましたね(笑)。

─もう1曲、ビートルズの「Here Comes The Sun」をカバーしていますが、こちらはジャジーなリハーモナイズがされていますね。

伊藤:この曲は、知世ちゃんが歌っているイメージが最初からすんなり浮かんできたので、やると決めた時からうまくいくと確信していました。アレンジに関してもそこまで悩まなかったし、リハーモナイズも楽しくできました。サブスクの再生回数など調べてみると、ビートルズのレパートリーの中で最も聴かれている楽曲じゃないですか。シンプルですが味わい深く、いまの若い世代にも人気がある理由はカバーしてみて実感できました。



─知世さんは、ビートルズはどのくらいお好きなんですか?

原田:ゴローさんのように掘り下げて聴いているわけではないのですが、ビートルズの音楽は気づいた時には自分の中にありました。私には甥っ子と姪っ子がいるのですが、彼らが中学生の頃の英語の授業などでビートルズが取り上げられ、そこから聴き始めて好きになったりしているのを見ていると、本当に世代関係なく受け入れられているのだなと思います。

伊藤:知世ちゃんの甥っ子と一緒にポール・マッカートニー観に行ったよね?

原田:そうそう。「行きたい!」というから連れて行ったのですが、ものすごく感動していました。ビートルズ時代ではなくて、今のポールがプリントされたTシャツを買っていましたからね(笑)。すごいことだなと思います。

 
 
 
 

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