indigo la Endが語る、「大衆性」と「哀愁性」を備えたバンドの現在地

バンド初期のセルフトリビュート感

―「名前は片想い」がバイラルヒットをしたことによって、アルバムとしてのフォーカスが定まったと言えますか?

川谷:もともと「邦画」を作ったときに(2021年11月)、「こういうおしゃれな感覚の大衆的なものを作ろう」みたいな方向性があったんです。でも「名前は片想い」ができたことで、ちょっと方向転換したみたいなところはあったから、そのきっかけにはなったというか。


Photo by Mitsuru Nishimura

―「名前は片想い」の後に出た「瞳のアドリブ」はある種のセルフトリビュート感があって、インディゴは初期から大衆性と哀愁性を併せ持つバンドだったことを改めて思ったりもしました。曲調はもちろん、歌詞にも「瞳」「雨」「花」「はなればなれ」とか、インディゴらしいワードが意図的に使われていたイメージで。

川谷:それはちょっとありますね。「パロディ」って曲もあったり、演劇としてパロディ的な要素があるのがいいかなっていうのもあったし、「アドリブ」も演技で行われることだから、わりとテーマ性を持って作ってます。今までの13年の歴史みたいなものを1回ここでまとめた部分もあったというか。だからこの後はまた全然違うものにしたいなとは思ってます。



―1曲目の「カンナ」も初期っぽいイメージがあって、「カンナ」と「名前は片想い」の冒頭2曲が、このアルバムの持っている「大衆性」を象徴してるように感じたんですけど、「カンナ」はどれくらいのタイミングでできた曲なんですか?

川谷:一番最後です。1曲目がないなっていうので最後に作った感じですね。最近2人のアルペジオで始まる曲ってあんまりなかったんですよ。というか、過去を見ても実はそんなにないんですけど、でも今回若干変わったアルペジオができて、これなら普通にはならないし、1曲目の幕開け感もあったので、やってみようかなって。

―武道館公演の1曲目が『夜に魔法をかけられて』の1曲目の「sweet spider」で、あの曲も2人のアルペジオで始まるから、それを連想したりもしました。

長田:「カンナ」は2000年初期ぐらいの、僕らが一番インディーズのロックバンドみたいなのを聴いてたころの曲っぽくて、作ってるときもそういうイメージで、これをアレンジしてるときはすごい若い気持ちだったんですよ。「瞳のアドリブ」とも違う若さがあって、「カンナ」が1曲目でよかったなっていう気持ちですね。

後鳥:こうやってアルバムで聴くとすごく1曲目らしいというか、今回ほぼバンドだけでやってる曲ばっかりなので、「バンドサウンドでやってるアルバムですよ」っていうのを象徴してる感じがいいなと思います。

佐藤:長田くんが言ってた2000年初頭の青春感みたいなのを僕も感じてて、僕の中のリファレンスはザ・キラーズの「Mr. Brightside」なんですよね。




―今回のアルバムには初期のインディゴ感があると思うし、メトロノミーやザ・キラーズとかは当時聴いてただろうから、そこにリンクを感じるんですけど、それはたまたま?

佐藤:今やるならそのあたりが一番いいのかなって。リファレンスの選択はやっぱりセンスが出るなと思ってて、DJをやってると一番古く感じるのが5年ぐらい前の曲なんですよね。逆に10年経つとめちゃくちゃ新しくなる。そういうのを考えると、取捨選択するのであれば、10年前とか20年前のものが一番楽しいですし、自然に選べるというか。それがメンバーの中でリンクするとより嬉しいですしね。

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