未完成ブレイブ始動、14歳のYUが見る「箱庭」の世界と鮮烈なボーカル

未完成ブレイブ

「大人でもない子どもでもない未完成な年代」とシンクロする未完成なクリエイターの「今」をそのまま届けるプロジェクト、未完成プロジェクト。2021年4月、その第一弾アーティストである当時12歳のときのはなが率いる未完成モノローグが始動。4thシングル「カルメン」のMVがYouTubeで90万再生を突破する等、確実に足跡を残し続けている。

その未完成プロジェクト第二弾アーティスト、YU率いる未完成ブレイブが10月27日に始動した。

YUは現在中学2年生の14歳。10月20日に公開された1stシングル「DOKU」のティザーは、「私がいた世界は惑いの世界だった。」というYUのポエトリーから始まる。ノイズの中、「傷つくことも、1人になることも、自由を手に入れることも怖い」とYUは告白する。最後、どこか怒りと覚悟と畏怖を感じさる声で、「私たちの世界は 箱庭みたいだ。」と吐露。世界と真っ向から対峙することを宣言したような、鮮烈に未完成ブレイブの始まりを感じさせるプロローグだった。ティザーとフードをかぶったYUのアイコンは人気イラストレーター・BALANCEが手がけ、映像はSO-SOの「Higher」のMV等を手掛けたnoixyによるものだ。



そこから一週間後、「DOKU」がリリースされた。作詞作曲はずっと真夜中でいいのに。や「ウマ娘 プリティーダービー」やあんさんぶるスターズ!の楽曲を手がける新田目 駿。編曲は新田目とずとまよの「ばかじゃないのに」を共編曲したり、駒形友梨やSideMアルテの楽曲に携わる矢野達也だ。

リズミカルなシンセが和の旋律を刻むボカロ直系のダークで不穏なトラック。そこに乗るYUの低めの歌声は強い芯を感じさせつつも、時折あどけなさが浮遊するまさに“未完成”な歌声だ。Aメロで“ああ 端っこの世代で それなりの視界で 誰かのメーデー 見送ったせいで”と、巧みに韻を踏みながら、自らの世代を憂う。サビで一気にキャッチーに開けるJポップの王道を感じさせる展開。メロディアスな鍵盤の音色がセンチメンタルを高める中、おまじないのように何度も繰り返される“DOKU DOKU”というフレーズは、YUが広い世界に飛び出していく際の高鳴る鼓動にも、大人になっていくことに対しての抵抗感と緊張感にも聴こえる。



自らが愛する音楽の世界に閉じこもることもできる。でも、イヤホンを外して言葉を交わすことで、より広い世界と接続できる。しかし、その他者がいる世界に足を踏み入れることで傷つくことは避けられない。晒されるし、愛され、牙を剥くこともある。それでもYUは勇気を持って世界に踏み出すことを選んだようだ。サビの“傷つくことがないことはないさ 晒されて愛されて また牙を剥く 大人になって背中を向き合うことが 正しさと呼べるのかな”というラインは、最後に“僕らを変えてしまうのかな”という一文が加わる。そして、また“DOKU DOKU”のリフレインへ突入し、「DOKU」は幕を閉じる。

「DOKU」のメッセージの軸にあるのは、自分の周りの小さな世界で起きていることへの苦悩と葛藤、そこから夢と希望を抱き、「今を変えたい」「世の中を変えたい」という思いだ。YUはInstagramで「DOKU」がリリースされるタイミングで「箱庭みたいだ」というフレーズをアップしている。大人になるということは、ある種箱庭的な世界から抜け出すことでもあると言えるが、14歳のYUには今、世界は箱庭に見えている。

まずは、1年以内のワンマンライブを目指しているという。TikTokにあげられている安田レイの「Not the End」のカバー動画の歌声からも、YUの強い芯と伸びしろが感じられる。この未完成な才能はどんな成長を見せ、自らの目に映る景色を変えていくのだろうか。

@mikansei_brave Not the End/安田レイ #歌ってみた #nottheend #安田レイ #MIKANSEI_Project #未完成ブレイブ ♬ オリジナル楽曲 - 未完成ブレイブ


<INFORAMATION>


未完成ブレイブ
1st Digital Single「DOKU」
配信中
https://mikanseibrave.lnk.to/doku

Lyrics & Music _ Shun Aratame
Arranged _ Tatsuya Yano
Label _ asistobe

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