キティー・デイジー&ルイス、ロックンロール3兄弟が振り返るデビュー15年の歩み

 
2nd〜4thアルバムを振り返る、次回作の展望

―1stアルバムの大半がカバーだったのに対し、2ndアルバム『Smoking In Heaven』(2011年)は全てオリジナル曲で、スカやカリプソの要素も入ってきたりしてグッと多様になりました。もっと自分たちの音楽性を広げようと意識してのことだったんですか?

キティー:1stアルバムはそれまで自分たちが聴いてきた音楽を自分たちなりの解釈でやったものだった。それはあのアルバムで十分やりきれたと感じたし、同じことを繰り返すのもつまらないから、2ndアルバムでそれまで自分たちが書き溜めてきた曲を表に出すのはいいチャンスだと思ったの。それで、それまでギグでやってきたことをスタジオに持ち込むような感じで録音した。あのアルバムにはそれぞれがいろんなところで受けた音楽的な影響がたくさん詰まっている。R&Bやブルーズだけじゃなくて、ジャマイカの音楽とかもね。ある意味、3人の個性が最も濃く出た作品とも言えるかも。

デイジー:3人3様のバイブスがうまくミックスされたレコードだよね。でもそれは自然にそうなった感じで、初めから3人のバイブスを混ぜようと話してそうなったわけではなかった。





―続く3rdアルバム『The Third』(2015年)は、ミック・ジョーンズ(ザ・クラッシュ~ビッグ・オーディオ・ダイナマイト)をプロデューサーに迎えて作られたものでした。彼と一緒に作った経験を、いまはどう捉えていますか?

キティー:ミックは2カ月くらい毎日私たちのスタジオに来てくれて、レコーディングが始まる前からまるで一緒に住んでいるみたいに親しくなった。彼は私たちのアルバムで演奏するわけでもないのに、ギターコードや歌を覚えたいと言って、一緒にプレイして楽しい時間を過ごしたの。だからレコーディングが始まるときには私たちの曲を熟知していた。一緒にいろんな話をしたなぁ。多方面に詳しい人だから、映画の話、本の話、あと陰謀論についてとかいろいろ話してくれたりして(笑)。音楽の話はほとんどしなかった。一緒に近所に買い物に行ったときには、彼が大好物のパイとブルーベリーを買って、「ブルーベリーは脳にいいんだよ」って教えてくれたり。本当に楽しい時間だった。

デイジー:ミックはすごくポジティブなエネルギーを持った人なので、作品にもそれが反映されていると思う。自分たちと違う彼の耳があって、客観的な視点がそこに加わったのもよかった。





―そして現段階では最新作となる4作目『Superscope』(2017年)でセルフ・プロデュースに戻しました。戻したというか、家族もまったく関与しなかった初めての完全セルフ・プロデュース作だったわけですよね。音像・音響的な面も含め、相当進化したなぁという印象を受けたものでしたが。

デイジー:自分たちで新しいことにどんどん挑戦していかないと進歩しないし、同じようなアルバムを繰り返し作ってもしょうがないから。あのアルバムで新しいサウンドに挑戦したという意識はかなりある。実験的なことをいろいろやったアルバムだった。とはいえ、やっぱり一番大切なのは初期衝動であって、さっきルイスが言ったように、そのときのエネルギーをキャプチャーしてレコードに封じ込めるっていうところは変わってないし、これからもそこは変わらないと思う。

キティー:ソングライティングに関してもだいぶ進歩が感じられるアルバムだったかな。私自身は、あの当時の出来事を曲に込めていて、聴くと当時の自分を思い出したりもする。まあそれはあのアルバムに限ったことではないけど。振り返ると、1作1作にそのときならではの感覚や経験がリアルに反映されているなって。だから次のアルバムもまったく違うものになりそう。





―次のアルバムはもう考えているんですか?

デイジー:今年のライブがひと段落したら曲作りに入ろうと思っているの。私たちは基本的にひとりひとりが曲を書いて、それを持ち寄って3人で練っていくというやり方をいつもしているので、まずは各自で書くことから始めることになるんだけど。

ルイス:なるべく来年の、そんなに遅くない時期のリリースを目指したいね。

Translated by Tomomi Hasegawa

 
 
 
 

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