YOSHIKIが語る、THE LAST ROCKSTARSに込めた「想い」と「願い」

ロックスターは未知の存在

ー5年後、アメリカの「ロックの殿堂(Rock and Roll Hall of Fam)」にTHE LAST ROCKSTARSの名前が刻まれたりしたら、すごくうれしいなとロックファンの1人として思います。

YOSHIKI 僕らが今やっているのは、あまり前例のないことだと思うんですよ。日本発ということもそうだし、ロックスターが一堂に会する、団結するということもあまりなかったと思うし。年齢的にも“え、今から世界狙うの?”っていうのもあると思います。そういった要素がいろいろあるというのが、僕は楽しくて。ロックって予定調和をいかにぶち壊すかじゃないですか。たまたま今回(表紙用に)鉄道のレールのようなところで撮影して、おそらく“夢に向かう道”というイメージだったと思うんです。そこで僕が感じたのは“別にレールなんて要らない。俺が勝手につくるから”って(笑)。素晴らしいフォトグラファーの方だったし、そういうことをここで言うのもなと思って控えたんですけど(笑)。別に道なんてなくてもいいんです。崖だろうが何だろうが全部崩して自分で道をつくるから。

ージャンルとかレールとか、最近ではコンプライアンスだとか、いろんなものがタイトになっていくなかで、そういうものからはみ出しているのが、実はロックの一番の本質なのかなと思いますね。

YOSHIKI そうですね。僕がドラムを始めた時、メジャーデビューする時、アメリカに最初に来た時の過程でも“普通はこうしてこうするものだ”ということをさんざん周りから言われたんですね。それに対して、僕はすべてに牙を剥いてきたんです。“別に今までがそうだったからって、これからがこうなるとは限らないんじゃない?”って。生意気なヤツがいるなと思われたかもしれない。でもそれを一つずつ覆してきたので、まだまだ出来るなと思ってます。

ー年齢が上がってくると、レールにちょっとは乗っかりたくなる自分というのがいるんじゃないかと思うんです。YOSHIKIさんはなぜそこまで道なき道を進めるんですか?

YOSHIKI 自分で思っている道のゴールがレールの上にあったなら、それはそれでいいと思うんです。でも、僕らロックスターって未知の存在だと思うんですよ。例えばクラシックだったら200年以上前にベートーヴェンがいたとかありますよね。だけど、僕らの大先輩には今まだ活動している方たちも大勢いる状況で、ロックスターがどういった結末を迎えるのか分からない。一体僕らは何をやり遂げるんだろう?という。そういう分からない未来に向かって飛び立ちたいという想いがあるんです。

ー何十年後かにロックの歴史書を振り返った時、「こんなことをやっているバンドがいて、こんなところまで行ったんだよ」と語り継がれたい?

YOSHIKI そうですね。何かの歴史を変えるかもしれないし、何も変えないまま普通の王道をいくのかもしれないですけどね。

ー最近の音楽シーンで言うと、バンドよりもソロアーティストの方が目立ってきている気がしていて、1人でも活動出来るし、部屋でPCで曲も作れるじゃないですか。そんななかでバンドを続ける意味って何なのでしょうか?

YOSHIKI バンドを続ける意味……何だろうな。やはり、1+1+1+1=4じゃないということですかね。合わさると100にもそれ以上にもなる。それが面白いんでしょうね。それが尊敬し合う仲間であれば、なお面白い。

ーなるほど。

YOSHIKI まあでもバンドって難しいですよね。僕はけっして理想のリーダー像というわけではないと思うけど、じゃあ何をもって理想と言うのか? これはこのメンバーに対してたまに話しているのですが、「順調にすべてが進んだからといって、日本のミュージシャンが本当の意味で世界の壁をぶち破った例ってなくない? 何が正しいのかまだ分からなくない?」って。自分がめちゃくちゃだからそう言っているわけではなく、仮にめちゃくちゃだったとしても、その結果何かを残せたら、それはそれで正しかったのかもしれないと思うんです。例えばみんながこの曲納得だよねと言うものは、逆に良くないかもしれない。賛否両論を巻き起こすのが面白いですよね。

ー本当にそう思います。さて、2023年はここからどんな動きをしていく予定ですか?

YOSHIKI いろんなお話をバンドでも個人でもたくさんもらっているので、自分としては普通に無謀なペースで行こうかな、と(笑)。ここ数カ月は異常に無謀なペースで来ていたので、もうちょっと普通な感じの無謀で(笑)。もし1年後に“頑張ったな、生きていたな”と思えればいいし、生きていないかも……というのはネガティブかな(笑)。でも、僕にとってはそういう言葉ってあまりネガティブなものじゃないんですよ。結局人って、明日のために今の自分を犠牲にしていると思うんです。明日何かがある、1カ月後に何かがあるから今は思いきり生きられないというのは、ちょっと違うんじゃないかなと。1カ月後はないと思って今を生きると、密度が凄いんですよね。そういう言葉でいたずらに周りを不安にさせてはいけないとは思いますけど、そのくらいの気持ちで生きているということです。

ーライブで披露された新曲の音源化、アルバムのリリースも期待してしまうのですが、その辺はメンバーで話し合ったりしているのでしょうか。

YOSHIKI 話し合っていますよ。ただ、今は自分の頭がライブに完全にシフトしてしまっていて、楽曲のプロモーションとかそういったところには正直まだ向いていなくて。だから、これからですね。もちろん、日本だけではなくアメリカや世界に楽曲が浸透してほしいという気持ちは大きいので、おのずと次はそこに向かっていくと思います。



ーTHE LAST ROCKSTARSのアルバムのリリースはいつくらいになりそうですか?

YOSHIKI まあ、僕の言葉は世界一アテにならないと自分でも思っていますが(笑)。遠い将来じゃないと思いますよ……って、俺が言ってもなぁ(笑)。

ー楽しみに待っています(笑)。では最後に、THE LAST ROCKSTARSのライブを支えてくれたファンの皆さんにメッセージをお願いします。

YOSHIKI 本当に、感謝の気持ちしかないです。アメリカ公演でも言いましたが、僕らがこういうふうにやっていられるのは、ファンがそれぞれのメンバーを支えてくれたからです。みんなが今まで応援してくれたその気持ちは無駄にしないぜ、と。賛否はあるけど、僕らが見ている夢というのはみんなの夢の一つであると思いたい。そして、一緒にもっと夢を見たいですね。


YOSHIKI Photo by @ogata_photo, Styling by Yasuhiro Watanabe (7B), Hair and Make-up by Takaki Toshihiro (SEED&beauty)
ジャケット ¥669,900 (Rick Owens/EASTLAND TEL:03-6231-2970)、その他私物





THE LAST ROCKSTARS The 2nd Tour 2023“PSYCHO LOVE”
11月21日(火)、22日(水)、23日(木):東京・有明アリーナ
https://udo.jp/concert/THELASTROCKSTARS23A

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