She Her Her HersとThe fin.が語る、アジアでの音楽活動、静かな監視社会で感じたこと

「国外での活動を日本の人にも知ってほしいし、ほかのバンドにも続いてほしい」

―これまでは中国やアジアを意識していたわけではなくて、どちらかと言えば、欧米の音楽から影響を受けて自分たちの音楽を作ってきたと思うんですけど、これから先でさっきの二胡の話みたいに、中国やアジアをより意識して曲を作る可能性もあると思いますか? 例えば、とまそんくんが中国語で歌詞を書いてみるとか。

とまそん:書いてはみたいけど……でも歌うのはヒロヤスなので(笑)。

タカハシ:中国のMandarinっていうアーティストが好きで、「朝」っていう曲は日本語で歌ってるんですね。それは本人が曲を作ったときに、日本語が合うのを感じて、日本語が書ける友達に書いてもらったそうなんです。そういう柔軟な考え方はめちゃくちゃいいなと思うんですけど、曲自体に関しては、どこに向けて作ろうみたいなのは正直そんなに変えないようにはしたくて。「聴かれるところにライブをしに行く」みたいな感覚がめちゃくちゃ大事だなと思ってるので、下手に自分がイメージして、「ここに響くだろう」みたいに作って、そうじゃなかったときに気持ちがついてこない気もするし。今は中国にたくさん聴いてくれてる人がいるんですけど、12月からのツアーはもうちょっとアジア全体に広げてやるので、曲は好きに作って、それが響いたところにライブをしに行くっていう、そのスタンスは今後も変えないと思います。



―では最後に改めて、それぞれのバンドの今後の展望について聞かせてください。まずはThe fin.から。

Yuto:俺は今ずっと新作を作ってるんですけど、自分の音楽人生がどんどん広がっていく感覚というか、こんな感覚は自分の音楽人生の中でも初めての感覚で。前作の『Outer Ego』でもともとThe fin.でやりたかったことはもう結構やったなっていうのがあって。そこからもっといろんなことしたいなと思い出して、今年は音楽的にすごい充実したスタジオ生活を送っていて。なので、来年はそれをみんなに聴いてもらえるんじゃないかなと思います。12月13日にも新曲「Swans」が出るので楽しみにしていてください。


「Swans」
The fin.
FRIENDSHIP.
12月13日配信
https://Thefin.lnk.to/Swans

Nakazawa:自分はライブの人間なので、ライブのことばっかりになっちゃうんですけど、ライブの考え方の大前提としては、やっぱり必要とされる、呼ばれるところに行ってやるっていうのがあるので、それがどんどん増えていったらいいなって。そのために自分ができること、ライブのクオリティを上げて、来年も進んでいけたらいいなと思います。


The fin.(Photo by renzo / レンゾ)

―シーハーズはすぐにアジアツアーが控えているわけですが、それも含めてここから先の展望を聞かせてください。

タカハシ:まだどうなるかはわからないですけど、自分たちで会社を作る予定で、だからここからより一つギアが入るというか。来年も海外でちょこちょこイベントが決まりつつあるし、自分が想像してなかった人生に突入していってる感じがするんですけど、楽しんでやっていけば、この先もワクワクする人生が待ってる気がしていて。そのためにも今はとにかく自分のやれることをやるべきだと思っていて、それが自分にとっては曲を作ること。アルバムができて、今はまた新しい曲を作り始めてるんですけど、早くそれを形にして、またたくさんの人に届けられるような活動をしていきたいです。

とまそん:中国はきっかけだと思っていて、そこからアジア圏全体で活躍していけるようにしていきたいです。あとは国外に出ると日本のことも客観的に見えるというか、やっぱり日本の人にも聴いてもらいたいし、国外での活動を日本の人にも知ってほしいし、ほかのバンドにも続いてほしい。自分たちは自分たちとしてやってるけど、それがシーンだったりムーブメントだったり、そういうものになっていったら一番いいなって。自分たちが経験したことで人に提供できるノウハウみたいなものもあるし、それがこの先5年とか10年に繋がっていくのかなと、今漠然と思ってるところですね。

松浦:俺らは1回日本のレーベルに所属して、でもそことは馬が合わずに、自分たちのやりたい音楽やるために泥水飲んででも進む覚悟があるかを考えて、それでこの3人が残ったんです。それから3〜4年やって自分たちの自信がある5曲ができて、その先に2019年の『location』があって、そこから中国での活動に繋がっていったんですよね。それまでは苦しい思いをしてきたけど、今ガッと上がってきて、多分ずっと続けられるバンドだと思うから、これからもツアーをいっぱい回って、一緒に遊びたい。今日本にはかっこいい音楽を作ってる人が上にも下にも腐るほどいるから、そういう人たちが「俺も!」ってなるためにも、俺らはただ未来を走ることが大事だと思うので、とりあえずは12月からのツアーを全力で楽しもうと思います。


She Her Her Hers(©BUBBLING BOILING MUSIC ARTS FES)

<INFORMATION>


『Diffusion of Responsibility』
She Her Her Hers
Conditioner Label
発売中

"Diffusion of Responsibility" Asia Tour 2023-2024

2023/12/10 (sun) Xiamen·WOKESHOW
2023/12/14 (thu) Shanghai·VAS SHANGHAI
2023/12/15 (fri) Shanghai·VAS SHANGHAI
2023/12/16 (sat) Hangzhou·MAO Live House
2023/12/17 (sun) Nanjing·1701 Live House Max
2023/12/19 (tue) Wuhan·VOX Livehouse
2023/12/20 (wed) Changsha·VOX Livehouse
2023/12/22 (fri) Chengdu·AFLAME ART CENTER Hall 1
2023/12/23 (sat) Beijing·LOCAL ACE LIVE
2024/1/5 (fri) Bangkok·Mr.Fox Livehouse
2024/1/7 (sun) Hong Kong·Studio Duplex, Soho House
2024/1/12 (fri) Taipei·THE WALL
2024/1/14 (sun) Seoul·West Bridge Live Hall
2024/1/27 (sat) Tokyo·Daikanyama UNIT

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