ミコラスが語る、YouTube発ヒット曲「Lalalalalalalalalala」の制作舞台裏

ミコラス(Photo by Harriet Marshal)

2018年、母国チェコ代表としてユーロビジョン・ソング・コンテストに出場し、6位入賞を果たし、一躍脚光を浴びたシンガーソングライター/プロデューサー、ミコラス。2023年夏、ラテンやEDM等、様々なジャンルがミックスされた楽曲「Deliah」が3000万ストリーミングに迫る勢いでヒット。ここ日本では、一般リスナーがYouTubeにアップした「Lalalalalalalalalala」の日本語訳動画がが約2年前からバズり、日本での1年間のストリーミング再生が500万回再生を超えた。瞬時に歌えるキャッチーなコーラスや失恋を痛快なほど強気に綴ったリリック等、いくつものフックがある「Lalala~」の異国でのヒットに対し、ミコラスは「これが魔法でないとしたら、何が魔法のなのかわからない」とコメントしている。日本のメディアとして初めてのインタビューを掲載する。

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ーYouTubeの日本語訳動画をきっかけに、「Lalala~」が約2年前から日本でバズっています。この曲はどんな風に生まれたのでしょう?

ミコラス:まず、日本でヒットしたことに対して感謝の気持ちがいっぱいです。僕は日本に行ったことがないのですが、こうやって初めて日本のメディアに取材してもらえてすごく嬉しいです。「Lalala~」は2019年に約3カ月間かけて作った曲です。ポップなのかトラップなのか、未だに自分でも何のジャンルかわからない曲です。当時は恋人と感情的な時期で、その時の僕の気持ちがサウンドに表われてると思います。



ーどの部分に苦労したんでしょう?

ミコラス:いつもはコーラスが序盤にできることが多いんですが、「Lalala~」はコーラスがなかなか決まらなかった。「リリースできないんじゃないか」って思って、しばらく放置していました。2ヶ月ぐらい経ってたまたま他の曲のメロディを作っている時に、今の音源に入ってるコーラスが浮かんだんです。スタッフに聞かせたら「これだね!」と言ってもらえました。つまり、結果的にたくさんの人を惹きつけてくれたコーラス部分が一番苦労したんですよね。でも、本当にこんなにヒットするとは思いませんでした。シングルとしてリリースすることも想定していなかったので、プレッシャーもなくかなり自由に作りました。それで、私生活の出来事で生まれた感情をそのまま曲にぶつけた。僕にとって曲作りはセラピーとしての意味合いもあります。

ー未練を感じさせながらも、「もうどうでもいいよ」という強気なリリックもあります。どんな感情を描いた曲だと思っていますか?

ミコラス:自分の気持ちを相手に直接電話で伝える方法もありましたが、僕は全部曲にすることを選びました。だからとてもストレートな歌詞になっていますよね。「Lalala~」はアコースティックバージョンもあるんですが、オリジナルバージョンと比べてじわじわと悲しみがにじみ出ているように聞こえます。でもオリジナルは「うんざりだ」とか「どうでもいい」っていう気持ちが前面に出ている。バージョンによって醸し出される感情が違うのが、人間の感情の多面性を表してる気がして面白いと思っています。

ー様々な国でヒットしたことをどう分析していますか?

ミコラス:作り手側にとっても、その曲がどう受け取られるかわからないところが音楽の興味深さでもあり、怖い点でもあります。だから本当になぜヒットしたかわからないんです(笑)。「Lalala~」は最初イタリアでヒットしました。全く予想してなかったので、その時点で満足感はありました。その直後に世界的なパンデミックになり、クラブも営業が停止し、音楽シーンは止まってしまいました。プロモーションもできなくなり、すごく悲しかった。でもその後、なぜか日本でヒットしました。近いうちに日本でライブがしたいです。


Photo by Harriet Marshal

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