カルト的人気を誇るシンガー・ソングライター、メラニー・マルティネスが語る死と再生

アーティストとしても、人としても、成長して新しいことをトライするのが好き

ー『PORTALS』の制作プロセスはどのようなものでしたか? 新しいキャラクター、音楽性、リリック、ビジュアルをどのように考え、結びつけましたか?

このアルバムは私にとっての再生だと思っています。今回はギターで曲作りをするという、初期の作曲スタイルに戻しました。多くの曲をギターで作曲した後、前の2枚のアルバムで行っていたストーリーテリングをこのアルバムにも結びつけて、ちゃんとつながりのある三部作にしようと思いました。ビジュアルに関しては、すでに自分の頭の中で完全なビジュアルを描いてから曲を作るので、簡単に出てきますね。タイトルについては、あらかじめリストにたくさん書き出しているので、曲作りの時にその日に取り組んでいるメロディやコードのエネルギーに合ったものを選びます。そこから、タイトルと曲のテーマに対して二重の意味を考えて、同時に多くの異なるレイヤーを持たせるようにしています。ソングライターとして、1曲の中に複数の意味を見い出すのは、チャレンジになりますね。でも、コードを解読できた時は大きな充実感を覚えるのです。



ー制作のプロセスにおいて、カタルシスや浄化のようなものは感じますか? あなたの音楽に救われたファンも多いと思いますが、そういうリスナーのことは意識しますか?

私はオンライン上でみなさんに、私にどういう曲を書いてほしいのかを尋ねるんですよ。彼らが何を経験してきたのか、私が音楽を通じてどのように彼らをサポートできるのかを知りたいからです。自分のオーディエンスを知ること、自分自身をどう表現するのかということ、その二つの間のバランスだと思うんです。私も最初はオーディエンスがいない状態で音楽を始めたわけで、彼らが私の音楽を見つけて共感してくれたのです。だからこそ、私は自分の表現を最優先にして、他人が私に期待することを考えすぎないようにしたいのです。私の音楽は進化も変化もするし、その変化に共感できない人たちは、私が以前と同じアーティストではないと感じるのですが、私はそういうのも好きなんです。私はアーティストとしても、人としても、成長して新しいことをトライするのが好きだからです。



ー『PORTALS』では自らプロデュースも手がけていますよね。どの曲にも様々な感情が込められていて、心地良いアンビエント感もあれば、ポップなアプローチ、シンプルに削ぎ落とされたサウンド、90年代のグランジを彷彿とさせるサウンドなど、実験的な要素が感じられます。今回、サウンド的にはどのように考え、どのようにアプローチして制作に臨みましたか?

私は今まで作ってきたものすべてにプロデュースの指揮をしていますが、自分で直接プロデュースしたものには非常に満足しているのです。それは私がミュージシャンとしてどこまでできるのかを示してくれるからです。自分で曲をプロデュースする時、私はまず頭の中で聴こえるメロディを基にトラックを作ることが多いです。今回、アルバム全体をCJ・バランと一緒に仕事をできたのは、とても楽しい経験でした。彼は私がプロデューサーとしての道を歩み始めるのを大いに励ましてくれました。彼は私にとって大きなインスピレーションであり、彼と一緒に制作できたことは感謝の気持ちです。

ーアルバムは1曲目の「DEATH」で始まり、ラストの「WOMB」で終わり、13曲に渡って、映画や旅のようなストーリーに感じられます。アルバム全体の曲順、流れ、コンセプトについてはどのように考えましたか?

前世療法の本、特に催眠療法セッションに関する本を多く読みました。死から生まれ変わりまでのストーリーラインを組み立て、そこに分析と二重の意味を反映させたタイトルをつけていきました。

Melanie Martinez - DEATH (Official Music Video)


Melanie Martinez - WOMB (Official Audio)


ーPORTALS Tourのライブ映像を観ると、オーディエンスがどの曲でもシンガロングしていますよね。新しい曲に対する反応はどうですか?

どの曲でもワクワクさせてくれるので、そのおかげで私は大きな笑顔になります。アルバムをリリースするたびに、みんなが曲を知らないのではないかと心配になりますが、すぐに曲を覚えてくれるので、いつも驚かされます。こんなに情熱的なオーディエンスがいると思うと、私の心は満たされますね。

ーあるライブのセットリストを見ましたが、『PORTALS』の曲だけで構成されていました。PORTALS Tourでは昔の曲はプレイしないのですか?

このツアーに関しては、サプライズを用意しているかもしれませんよ……。

ーPORTALS Tourのステージセット、衣装、振り付けはどのようなものですか?

まだライブを観ていない人には何も言いたくないのですが……。ただ言えることは、すべてが非常に魔法のようなものだということです。

ー『PORTALS』は三部作の最終章になるのですか?

『PORTALS』はCRY BABYの三部作の最終章です。未来のアルバムに向けて新しいアイデアを考えるのが今から楽しみです。

ー次は完全に新しいチャプターになるということでしょうか?

次に何をやるのかはまだ決めていません。私は時間をかけて人生を充分に楽しみたいので、曲作りに向けて新しい話題、新しい視点を持ちたいのです。未来がどうなるのか。確実に言えるのは、これ以降はCRY BABYの物語を続けるつもりはないということです。

ー最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

ずっと行きたかった場所に行けるので、とてもワクワクしています。早くみなさんに会いたいし、会場でエネルギーを感じたいです。みなさんのサポートとクリエイティヴィティにとても感謝しています。どうもありがとう。すぐにお会いしましょう!!

<INFORMATION>



Melanie Martinez: PORTALS Tour

2024年1月19日(金)東京・豊洲PIT
開場18:00 開演19:00
お問い合わせ:ライブネーション・ジャパン
LIVENATION.CO.JP

▼チケット料金(税込)
スタンディング:9,000円(整理番号付き)
※要別途1ドリンク代
※未就学児(6歳未満)入場不可

https://www.livenation.co.jp/artist-melanie-martinez-814472

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