Crossfaithの「これまで」と「これから」をロングセットで体現、激情の単独公演レポ

『Crossfaith Japan Tour 2024 – Departure - 』(Photo by Daiki Miura)

Crossfaithの2024年最初の国内ツアーファイナルとなる『Crossfaith Japan Tour 2024 – Departure - 』が2月18日、Zepp Hanedaにて幕を下ろした。1月20日のZepp Sapporoから全国5会場で実施された今回のツアーでは、各公演に凛として時雨、THE ORAL CIGARETTES、マキシマム ザ ホルモン、ハルカミライという強豪たちをゲストアクトに迎えて展開。ファイナルとなる東京公演も当初は海外からOf Mice & Menが参加予定だったが、アーティスト自身のビザ取得に問題が生じたため出演キャンセル。急遽、Crossfaithのロングセットとなるワンマン公演として実施されることとなった。

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2022年からサポートメンバーとしてライブに参加してきたDaiki(Gt/ex. HER NAME IN BLOOD)が正式加入したことが2月15日に発表され、この日は新生Crossfaithにとって初ライブ。空港を彷彿とさせるアナウンスがライブ開始間近を告げると、場内の熱気は徐々に高まり始める。オープニングSE「Departure」に乗せてメンバーが1人、また1人とステージに登場し、最後にKoie(Vo)が大きなフラッグを肩に掲げ姿を現し、「いこうぜ、Zepp Haneda!」を合図に新曲「ZERO」から勢いよくライブはスタートした。コロナ禍を経て数々の変革に直面したCrossfaithが、新たな仲間を迎えてゼロ(=ZERO)から新たな“旅立ち(=Departure)”を迎える……なんともドラマチックな幕開けに、フロアのオーディエンスはモッシュやヘッドバンギング、クラウドサーフなど思い思いのアクションでバンドの熱演に応えていく。



以降も「Freedom」「RX Overdrive」とエネルギッシュなナンバーが連発。Tatsuya(Dr)が繰り出すタイトなビートに乗せて、Kazuki(Gt)とDaikiはヘヴィながらも心地よく響くギターリフを刻み続け、Teru(Program, Vision)は所狭しと暴れまくりながら、バンドが放つ轟音にエレクトロニックサウンドで華やかに色付けしていく。その上で、Koieが時に鋭いスクリームで、時にメロウなクリーントーンで歌声を響かせていくのだが、そうしたメンバーの表現力/技術力が日々向上し続けていることもあり、過去にライブで何度も耳にしてきた楽曲たちがより鋭角さと深みを増していることにも気付かされる。特にこの日は通常よりも長尺のワンマン公演とあって、そうした変化や進化を再認識する場面が何度もあったことを力説しておきたい。





「Countdown To Hell」ではもはやお馴染みの光景となった“ウォール・オブ・デス”も発生し、会場は早くもクライマックスのような盛り上がりを見せる。そして、この曲では中盤からSABLE HILLSのフロントマン、Takuya(Vo)が飛び入り。Koieとともにヒリヒリするスクリームを響かせる。また、「Kill 'Em All」ではTeruが客席にダイブする一幕もあり、フロアは興奮のるつぼと化す。以降もストレートなノリの「Snake Code (Caribbean Death Roulette)」、不穏な空気を放ち数年ぶりにプレイされたミドルチューン「Madness」と、バンドはワンマン公演ならではの緩急に富んだ幅広い選曲で観客を楽しませた。



ライブ恒例となったKoieの乾杯コーナーを経て、ここで改めてDaiki本人から挨拶することに。彼はCrossfaithの面々と10数年来の付き合いであることを明しつつ、CrossfaithとHER NAME IN BLOODという別々の道を歩んでいた2組がここで交わり合うことに「人生って面白いなって思います」と口にする。そして、「メタルの時間です!」を合図に、Daikiのヘヴィなギターリフから「Jägerbomb」へ突入。フロアの熱気が再び急上昇したところで、今度はシークレットゲストのralphをステージに迎えて「Gimme Danger feat.ralph」をドロップ。さらに「Scarlett」を繰り出し、ライブはこの日何度目かのクライマックスを迎えた。



その後のMCではKoieが1月末に発表されたHiro(Ba)脱退に触れつつ、「人生って何が起こるかわからないけど、俺たちは今、前へ進む気持ちしかありません」とポジティブなコメントを寄せる。そんな彼の言葉に対し客席からは温かな拍手が送られると、ライブは「Monolith」から再開。よりアグレッシヴさの増した演奏を前に、フロアにはサークルモッシュが発生し、バンドの新たな“船出”を盛大に祝福する。そこから懐かしのSE「IF YOU WANT TO WAKE UP?」が流れ始めると、Koieは「1回原点に戻ってみようか?」と告げ、1stアルバム『The Artificial Theory For The Dramatic Beauty』(2009年)収録曲「Mirror」「Blue」を連発。この思いがけないプレゼントに、オーディエンスも大興奮の様子で、フロアは同作リリース当時の2009年を彷彿とさせる光景が再現されていく。そこから一気に時代を超え、アルバム『EX_MACHINA』(2018年)の冒頭を飾る「Deus Ex Machina」「Catastrophe」へ移行するとクラウドサーファーの数も急増。さらに、激しさとドラマチックさが混在する「Xeno」で盛り上がりは最高潮に達し、ライブ本編は幕を下ろした。




Photo by Daiki Miura

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