YouTubeによる音楽生成AIの取り組み「YouTube Music AI インキュベーター」が日本でも始動

鼻歌のメロディが、サックスのソロのメロディに

YouTube Music AI インキュベーターの参加者には、GoogleのAIの研究部門であるGoogle DeepMindが開発した音楽生成モデル「Lyria」の早期アクセスを提供する。Lyriaの活用については、GoogleのYouTube日本音楽パートナーシップ ディレクターの鬼頭武也氏がこう語る。

「楽器とボーカルを備えた質の高い調和のとれた音楽の生成、生成された音楽のアレンジ、また出力された音楽、楽曲のスタイルや演奏方法、ニュアンス、そういったものを設定しながら様々な音楽が生成できるモデルとなっております。さらにアーティスト、ソングライター、音楽プロデューサーのみなさまが、これまでにない方法で新しく音楽を創作することを支援するために、一連の音楽AIツール、音楽AIクリエイティブ・ツールの開発実験も合わせて行っています。例えば、たった数プロンプトで様々なジャンルを融合させた音楽を作ったり、ビートから新しいメロディを作っていったり、またサウンドトラック、BGMだけを用意して、そこに一番フィットするボーカルを入れるようなことが可能であったり。まさに音楽を制作する方にとっての壁打ち相手として、様々なインスピレーションを得るためのツールとしての音楽生成AIツールの実験の開始をしております」。

そこで紹介されたYouTubeの公式チャンネルのビデオには、ユーザーが口ずさんだ鼻歌のメロディから、AIがサックスのソロのメロディを作り出す「Music AI Tools」というAI機能が紹介されていた。これを見ると、生成AIによって音楽制作のハードルが下がっていくのがよくわかる。



現在様々な会社が音楽生成AIを発表する中、YouTubeの強みはどこにあるのだろう? リオ・コーエンはこう語る。

「Google DeepMindが抱えているエンジニアほど優秀なエンジニアは世の中にいないと断言できると思います。この優秀なエンジニアたちが今どうやってこのモデルが使えるのか、その力をどうやってもたらしていいのかということに取り組んでいるわけですが、それと同時に私たちは、ユーザー、クリエイター、アーティストの方々にとってのメリットは一体どこにあるのかを明確にしていきたいと思っています。そしてもう一つ、一番大きなのは、YouTubeがこれだけの大規模な配信をしているという事実です。音楽業界の方々とのこれだけの強い関係があるのは我々だけということで、ここに強さを感じています。音楽業界の方々と協力をして未来を作っていきたいと思ってますけれども、その中で三つの鍵となるのが、収益化の方法、コントロール、アトリビューション。この三つが揃って、きちっと定義されて、初めてプロダクトが実現すると考えています」。

音楽生成AIが持つ力をどのように上手く活用できるのか、それによって人間のクリエイティビティがどのように強化されるのか。なお、YouTube Music AIインキュベーターのYouTubeでの実装については、この時点では未定となっている。

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