a子が語る、クリエイティブチームとともに音楽を作る理由、「SXSW」から受けた影響

a子

シンガーソングライターのa子がニューシングル『LAZY』を2024年4月17日(水)に配信リリースした。今年2月にシングル『惑星』でポニーキャニオン内「IRORI Records」からメジャーデビューした彼女の第2弾シングルとなる今作は、歪んだギターのカッティングとリフを核として疾走するバンドサウンドによるキャッチーな楽曲ながら、ウィスパーボイスで歌われる抽象的な歌詞の奥に隠された意味を読み取りたくなる。それはそのまま、a子という謎めいたアーティストに抱く興味へと繋がっている。クリエイティブチーム「londog」を率いて目指す音楽について語ってもらった。

―2020年からインディーズでの活動を続けてから今年メジャーデビューしたわけですが、創作する上でご自身の中の変化はありますか。

a子:メジャーに入ってすごく意識したのは、より多くの方に聴いてもらえるような音楽になるようにメロディーから作ってみるということです。今まではトラックから曲を作っていたんですけど、もっとメロディラインを際立たせる作り方を意識するようになりましたね。「LAZY」もそういう作り方をしているんですけど、トラック面に関してはギターの音とか全体的な音はちょっとヨーロッパっぽい感じ、ブロック・パーティーとか、トゥー・ドア・シネマ・クラブみたいなサウンドを目指して、ギターの音色、ドラムの音に気を付けてレコーディングしました。

―そういうリファレンスって、メジャーデビューするにあたって、今まで聴いていなかったものも取り入れてみようみたいなこともあったんですか?

a子:今回は自分がハマっていたヨーロッパっぽい感じにしたいなっていう感じでしたけど、普段から新しく出た曲があったら聴いてみたり、自分が知らない面白い音楽を教えてもらったりしたら、聴くようにしてます。今まで、レコーディングもMVも全部自分たちでお金を出してやってたんですけど、メジャーになって、人からお金をいただくということの重みがあって震えました。自分がやってるときの責任感とは違った、自分のチーム以外の人も携わってくれているという責任感が生まれたというか。「ちゃんとやるか!」みたいな感じで作るようになりました。



―チームというのは、自ら率いるクリエイティブチーム「londog」のことですよね。最初にa子さんの名前を知ったときに、なんとなく1人で全部音楽を作ってる人かなって勝手に思ってたんですけど、どうしてチームで活動するようになったのでしょうか。

a子:自分は兵庫県出身なんですけど、音楽は高校生のときからやろうと思っていて、高校を出て1年間ぐらいバイトをして資金を貯めてから上京したんです。ただ、自分が求めるクオリティの音楽を作るためには、1人で全部やるのはむずかしいなと思って。それで一緒にやってくれる人を探そうと思ったんですけど、何から始めたら良いのかわからなくて。曲を作ったりしつつ、活動っていう活動はしていなかったですが、ジャズバーとか音楽やってそうな人が集まる場所には行くようにしてました。そういった場所で出会った人がバンドのメンバーを連れてきてくれたりしたんです。トラックを作る人、歌うときに後ろで演奏してくれる人も欲しい、MVを自分たちで作れるように、カメラマン、ヘアメイク、スタイリストも欲しいなと思って、「一緒にやろうよ」ってポツポツ声をかけていったのが、今のlondogのメンバーになって行きました。曲は基本的に、私とバンドでキーボードを弾いている中村(エイジ)さんと2人で作っているんですけど、音楽は中村さんと私が密にコミュニケーションを取っていて、MVはビデオチームのYuki Yoshidaっていうスタイリストの子が結構向上心がある感じの性格の子で、私と密にコミュニケーションを取って、次のMVをどういうふうにするかとか、何をやるかとか、美術的にどうやるかみたいなことを一緒に考えたりするので、チームの中でも音楽面とビジュアル面の2つに分かれています。

―音楽面ではあくまでもソロでバンドじゃないっていうのは、どうしてなんですか。結構がっつりバンドサウンドでやってますよね。

a子:「a子1本で食べていけると思ったらアカンで」というか。外でもちゃんと仕事をもらってやっていけるようにせなアカン、あなたたちの職業はそういう職業やで、という感じですね。今12人のチームでずっと長いことやってきてる中で、私がソロだから、「a子がやりたいことが正解」ってみんな思ってくださっているんですけど、バンドだとそれも難しくなると思う。それに外でも活躍したいって言っている子たちばっかりやから、私と一緒に技術を磨いてもらって、「もしlondogで活動をやっていくのが違うと思ったらいつでも言うてな」って思ってます。今の自分たちが目指しているところがすごく高いところなので、その分クオリティや技術面に関しては一緒に考えて伸ばしていこうという感じです。

Rolling Stone Japan 編集部

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