困難の果てに見つけた「新たな視点」─前作はブラジルの熱帯雨林にあるスタジオで録音され、アマゾンでの先住民との体験や、ネイの乳がんの克服など様々な経験が反映されていましたが、今作はいかがでしょう?ネイ:このアルバムの根底にあるテーマは、自分の人生においてトラウマに傾倒するのではなく、よりピースフルな部分にフォーカスするということだった。そうすることによってトラウマが消えるということはないんだけど、ものすごく強烈な体験をした後というのは、とにかく平穏でいたいと思うようになる。だから今は私にとっての「ピースフルな時期」ってこと。今の私は人々が喜び(Joy)を感じられるようなアートを作っていきたい。喜びは誰もが必要としている、とても大切なものだと思うから。乳がんやパンデミックを乗り越えたといっても、その影響や後遺症が一切なくなったわけではない。どちらも大変な出来事で、「はい終了!」とボックスをチェックして、何事もなかったかのように先に進めるわけじゃない。でも、この先の人生がどんな展開になったとしても、私は喜びという感情に傾倒していくことが自分にとって大切だと思っている。
これはバンドが昔から掲げている姿勢だと思うけど、バンドとして一緒に活動する経験を積み重ねてきた今の方が、互いのコラボレーションもやりやすくなったし、作業もスムーズになった。ちっぽけな、どうでもいいことにはあまりこだわりを持たなくなった。「Make Friends」という曲ができたのもまさにそういうことで、お互いの間に音楽的な信頼関係があると、何もないところから曲が生まれるし、それはとてもシンプルで美しいものになる。人生のダークで強烈な側面にばかりフォーカスしていると……それらの要素は確かに存在するんだけど、結局のところ、最終的には「何を選択するの?」という話になる。「How to Meet Yourself」はそんなテーマに触れている曲。自分の人生のために「何を選択するの?」と聞かれた時に、私たちはいつだって「喜び」という側面に戻るべきだと思う。この世界は、人々から喜びを奪う仕組みになっているから。アーティストとして私たちは少しでもそのバランスを保つ必要があると思う。ペリンはどう思う?
ペリン:今のを上回る発言はないよ。
ネイ:ありがとう。私は喜びでいっぱいのアルバムにしたかった。
─秋に来日公演が控えています。ネイ&ぺリン:イエーイ!
─ニューアルバムを携えて、どんなライブが期待できそうでしょうか。ネイ:アートを体験しに行く時には、一切の期待をしない方がいいと思う。そんなことをしても意味がない。何の期待もしないで! ただ体験してもらいたい。
ぺリン:いい答えだね。それに俺たちもどうなるのか分かっていないから。どんなサウンドでどんなライブになるかというのはまだ分かっていない。俺たちがライヴをするとき、根底にあるのは毎回同じ気持ち・姿勢であり、そのことについては期待してもらっていいと思う。それくらいかな(笑)。
ネイ:美しさ、喜び、馬鹿げた感じ、フォーカス、そして調和(harmony)を期待して! でも火を使った芸はできないから、それは期待しないで(笑)。
ぺリン:火は使いません!
ネイ:日本に行くのがとにかく楽しみ。日本でライブをやるのが大好きなの! それに大阪でライブするのは初めて。以前、コロナの影響で中止になったから。大阪に行くのがすごく楽しみ!
(※ペリンの飼い犬がZoom画面越しに登場)ネイ:この子はパブロ。今回のアルバムには、パブロの吠えている声も入っているから!
ぺリン:面白い子なんだよ。
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