TM NETWORKが語る、音の世界と人間の喜怒哀楽が現れたトリビュートアルバム

ELECTRIC PROPHET / 満島ひかり

田家:トリビュート・アルバム『40th CELEBRATION』の最後の曲「ELECTRIC PROPHET」。電気仕掛けの預言者。歌は満島ひかりさん。すごいですね、この曲。アレンジもすごいですけど、アレンジがクラムボンのミトさんだそうですね。

小室:はい、ミトくんですね。あと、チェロの方も参加してくれていますね。意図を全部汲み取ってくれていると思いますね。この曲の伝えたいことというか、空気感というか。秘話もちょっと聴いたんですけど、ミトくんがディレクションもしてくれたみたいで歌のときに。宇都宮さんだったらこうやるっていうのも全部知っているので、詳細にご存知でというか、ミトくんが。そういうのも含めていろいろ考え尽くしたみたいです。

田家:これは今のツアーの中でもわりと?

小室:そうですね。大事な曲ではありますね。一応潜伏者が地球に降りてきて、周年のときに降りてくるみたいな感じですから。もう1回ちょっと俯瞰に戻るみたいな感じのときにこの曲が必要なので、これはやってるかな(笑)。

田家:今度の5月18日、19日にKアリーナで行われるツアーはギターが北島健二さんですもんね。そこにもストーリーがある?

小室:もちろんありますけど、ある1曲が健ちゃんが弾いているところから始まっていて見に来ていただければすべてがわかると思います。

田家:歌詞の中にある22世紀の少年、I'm 22 Century Boy. 22世紀はどんなふうに?

小室:僕これ作詞の本当に初期の作品で、まだ作詞家と言えるような立場じゃないときに書いているんです。そもそもSurrenderって敗者、負けっていう意味だし、あとInferiorityも劣っているとか、自虐的なんですよね。なので、なんでこんなふうに自虐的にしているのかなっていうのが40年経って今の時勢を考えると、地球自体が勝ってないという気もしなくもないので、皮肉っぽく言っているのははまっているかなってちょっと思いますね。

田家:この間、東京公演を拝見して機材の進化というのが曲の世界とかやろうとしていることだとか、時を越えて大きくなって未来形になっていっているんだなと実感したんですよ。

小室:そうですね。ずっとSFが好きで、ドラマもすごい観てるんですけど。22世紀から来たってことでHello Again、またっていうそこがパラドックスな感じも今の時代に合っているかなと思いますね。

田家:予言していることがたくさんある、そういう40になったんだなと。このKアリーナが終わって、TM NETWORKはどういうフェーズに入るんですか?

小室:Kアリーナがまたサプライズがありますから。

田家:あ、またあるんだ。

小室:ちょっとあって(笑)。言えないですけれど。

田家:宇都宮さんがほーって。はい、それはぜひご自分の目と耳で。

小室:そうですね。本当に来ていただくのが一番ですね。

田家:ですよね。わかりました、2週間ありがとうございました。

TM NETWORK:ありがとうございました。

静かな伝説 / 竹内まりや

流れているのはこの番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説」です。

シンセサイザーを使ったグループのトリビュート・アルバムと言うと、すぐにYMOが出てくるわけですけど、TM NETWORKがデビューしたのはYMOを散開した翌年なんですよね。つまり、そんなに時代は変わらないときに一旦ピリオドを打ったグループとそこから始まったバンド。そんな時代は変わらないんですけども、その後の浸透度はかなり違うなとあらためて思いました。

小室哲哉さんがYMOはすごく遠い存在な気がすると言ってましたけども、これが時代なんでしょうね。80年代という時代、それ以降音楽がいかに急速に変わったかということの現れでしょう。シンセサイザー、そして打ち込みというのが当たり前になった。このトリビュート・アルバムに参加している人たちは、やっぱりTM NETWORK以降にそういう音楽に入っていった人たちで、いろいろなストーリーがそれぞれの人脈、顔ぶれ、曲の中に織り込まれているんだなということがよくわかりました。デジタルが可能にした音の世界と人間の喜怒哀楽がこういうトリビュート・アルバムに現れている。

YMOをTM NETWORKの違いであらためて思ったのが、ポップ・ミュージックに対しての意識でしょう。ポピュラーであることを目指した、それを引き受けようとした。YMOはもっと実験的な感じがありましたけど、そういうことも感じさせてくれる、そんなトリビュート・アルバムでもあります。謎解きのおもしろさ。これはTM NETWORKのストーリーの中ではそういう謎解きが随所に織り込まれているんですね。Kアリーナがツアー・ファイナル、39本目と40本目が5月18日と19日、これは東京ドームで最後のライブを一旦行った、あれから30年後と同じ日だということだけでも、おーなんかありそうだなっていうライブになるのではないでしょうか。

Rolling Stone Japan 編集部

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