ロン・ハワード監督のドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK − The Touring Years』からわかる10の真実

ロン・ハワード監督のドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK − The Touring Years』


9. 空前のシェイ・スタジアムでのコンサートに集まった5万5000人の観客の中に、若きウーピー・ゴールドバーグがいた


1965年8月15日、ビートルズはニューヨーク市のシェイ・スタジアムで夏の全米ツアーをスタートさせた。これは初のスタジアムでのロック・コンサートとなった。ニューヨーク・メッツの新しい本拠地には5万5000人を超えるビートルマニアが集結したが、これは当時の音楽イベントの最高記録だった。会場には、1981年にスターの妻となる女優のバーバラ・バックや、マッカートニーと結婚するリンダ・イーストマンもいた。バックは彼女の妹の付き添いとしてたまたまコンサートに来ていた。一方イーストマンは、音楽をかき消してしまうほどの絶叫にうんざりしていた。

さらに当時9歳だったケイリン・エレイン・ジョンソン、後のウーピー・ゴールドバーグも、母親からのサプライズ・プレゼントでその場にいた。「このコンサートが告知された時、ママからは“こんなコンサートへ行くお金はないわね”と言われたの」と、ゴールドバーグは映画の中で回想している。「どうやったかはわからないけど、ママは2枚のチケットを手に入れて、当日まで私には黙っていたのよ。その日ママが“さあ、出かけるわよ”と言うから私は“どこへ?”って聞いたの。“着いたらわかるわ”」。

母と娘は長い時間地下鉄に乗り、クイーンズへ向かった。娘はますます困惑した。「地下鉄を降りると“ここはどこ?”ってママに聞いたわ。ママは“ここはシェイ・スタジアムよ”と教えてくれた。“なんで?”と言うとママは2枚のチケットを見せてくれた。もう私の頭はこんなよ」と、ゴールドバーグは爆発の仕草をしてみせた。

10. ビートルズはコンサート中に何度か死にかけている



ビートルマニアの熱狂が絶頂の頃のツアーは、危険を伴うビジネスだった。観客数は増大し、会場の熱狂も度を超えていた。「楽屋口へ車をつけると、メンバーは待ち構えていた若者たちに壁に押し付けられて潰されそうになっていた」と、メンバーに同行していたDJのケインがラジオ番組で証言している。「彼らは石やジェリービーンズに、サンダルや下着まで投げつけたために、50枚もの窓が割れていた。警官が全力で静止しようとしていたが、大混乱は収まらなかった」。

これはただ1回の出来事ではない。1964年にバンクーバーで行われたコンサートでは、7000人の若者たちがバリケードを突破してステージへ押し寄せ、240名が病院へ搬送された。ビートルズの広報担当デレク・テイラーは、各地での警官隊のふがいなさを嘆いた。「地元の警官たちは口々に言うんだ。“地元の人間のことはよくわかっている。自分たちの力で事態は収拾できる”ってね。でも彼らはビートルズ目当てに集まる群衆の規模をわかっていなかった。彼らの地元で起きた最も大きなイベントだったろう。彼らにとっては前代未聞の事態だったに違いない。プレスリーやシナトラやケネディ元大統領なんて比ではないんだ。ビートルズなんだよ。」

1966年まで危険度は上がり続けた。コンサート会場が大規模になるにつれ、暴動が起きる可能性も増大した。ロサンゼルスのドジャー・スタジアムで行われたコンサートは、ステージに観客が殺到し、警棒を振り回す警官たちと衝突したために中断した。数十名が負傷し、当局による事態の収拾に2時間かかった。さらに、レノンによる宗教絡みの発言が発端となったと思われる脅迫も多く受けた。秘密結社クー・クラックス・クランのメンバーが多くのコンサート会場でピケを張り、メンバーへの襲撃を予告した。

天候までもが彼らの敵に回ったように思われた。屋外スタジアムの多くはどしゃ降りの雨に弱く、いくつかのコンサートは中断を余儀なくされた。エレキギターを抱え、アンプやマイクに囲まれたステージ上は、感電死の危険と隣り合わせだった。「飛行機でセントルイスへ着くと、そこは豪雨だった」とツアー・ローディーのエド・フリーマンは振り返る。彼はビートルズのサポートバンドを務めたザ・リメインズの知り合いだったという理由で、ローディーの仕事を得ていた。「俺の仕事は機材裏でプラグを握って、メンバーの誰かが感電して倒れたらプラグを引き抜き、コンサートを止めることだった。まあ冗談みたいな話だけどさ」。それから数日後、ビートルズはコンサート活動の終結を宣言した。

Translation by Smokva Tokyo

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