トランプ大統領の肝いりプロジェクト「巨大で立派な壁」の現在

メキシコのティファナと米国側を隔てる国境のフェンス (Photo by Mario Tama/Getty Images)

トランプ政権が誕生してから今年で3年目を迎える。「巨大で立派な壁」の建設の現在はどうなっているのか?メキシコ政府が支払うのか、それとも米国の税金を使うのか?建設費用を巡り、クラウドファンディングでの資金集めが活性化しつつある。壁建設に投資したいと思う人たちもいれば、移民に壁を超えさせようと援助する人たちなど様々だ。

大統領選への出馬を表明したスピーチでドナルド・トランプが口にした公約は、その後の選挙戦中から就任後まで、うんざりするほど繰り返されることとなった。「大統領に就任した暁には、巨大な壁を築こうと思う。私こそが壁を築くのにふさわしい人間だ。私はほとんど費用を掛けずに作ってみせる。我が国の南側の国境に大きく立派な壁を作るが、建設費用はメキシコに負担させようと思う」

トランプ政権が誕生してからほぼ2年が経ったが、メキシコが壁建設の費用を1セントでも支払う話にはなっていない。そこでトランプは、肝いりのプロジェクトにかかる費用を、自国の納税者へ負担させようと方針転換した。野党民主党が下院の過半数を占めて米国議会が停滞し、政府がシャットダウンする事態となる中、トランプは“巨大で立派な壁”を建設するための別の財源を模索しなければならないだろう。

米国で高額医療費負担の寄付を募るためによく利用されているクラウドファンディングGoFundMeで今、壁建設のための募金活動が立ち上げられている。元米空軍の退役傷病軍人でパープルハート受章者のブライアン・コルフェージが、10億ドル(約1100億円)の寄付上限額を目標とした寄付集めを開始。2018年12月24日時点で1650万ドル(約18億円)が集まっている。

コルフェージが開設したGoFundMeのページは、ジ・オニオン(米国の風刺メディア)の記事のような雰囲気になっている。集まった募金をどのように政府へ受け渡すかという問題に対してコルフェージは、「募金完了時の連絡先についてトランプ政権に問い合わせ済みで、確定次第お知らせする。私たちはプロジェクトを支持してくれている複数のハイレベルの人々と連絡を取っている」と書いている。

しかし、事はそれほど簡単には進まないだろう。米国土安全保障省は、議会の承認なしに外部からの寄付は受けられない。「寄付金受け取りを実現するためには、議会が法改正を承認する必要があるだろう」と、自由主義を掲げるシンクタンクのケイトー・インスティテュートに所属する政治アナリスト、デヴィッド・ビアは、ニューヨーク・タイムズ紙に語っている。「現在の法律では、政府はこのような寄付金を受け取って使用することができない。また、用途を限定して政府の方針を縛るような寄付金の受領も法律違反になる」という。

コルフェージのプロジェクトに対抗し、トランプの政策を支持しない人々もまた、GoFundMe上で移民に壁を乗り越えさせるためのキャンペーンを開始している。フリーランスのライターであるルーク・オニールは、完成した壁の半マイル毎にエスカレーターを設置するための寄付活動を立ち上げた。正に、トランプが出馬表明のスピーチ会場へ向かう途中でエスカレーターに乗ったシーンのメタファーとなっている。2018年12月24日時点でオニールのキャンペーンには、およそ8000ドル(88万円)が集まっている。寄付金は全額、移民に対する法的サービスをサポートするNPO法人RAICESに渡されるという。さらに、壁に“はしご”を立てかけるという寄付活動も行われており、16万ドル(約1750万円)を集めている。

ところがトランプの支持者たちは、それらのジョークをわかっていない。ローリングストーン誌へのメールでオニールは言う。「どれほど多くのトランプ支持者たちが、エスカレーター設置のアイディアに対して、“実現するはずがない。ICE(移民税関執行局)が止めるだろう”と本気になって怒りの声を上げるのかが、最も楽しみな点だ。トランプ支持者は皮肉を全く理解していない。了見が狭いのだ」

Translated by Smokva Tokyo

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