ボブ・ディラン『ナッシュヴィル・スカイライン』知られざる10の事実

8. アルバムはわずか4日間でレコーディングされた

『ナッシュヴィル・スカイライン』の大部分は、2月中旬の4日間のうちにレコーディングされている。これはディランにとって典型的なケースであり、1964年作『アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン』に至っては一夜のうちに録り終えている。彼のアルバムの大半は、バックバンドをスタジオに迎えてから1週間以内にレコーディングされている。同作のセッションに起用されたスタジオミュージシャンたちは、高額なスタジオ代を少しでも抑えるためスピーディーな作業に慣れており、まさに電光石火のディランのペースに対応してみせた。

9. 「ナッシュヴィル・スカイライン・ラグ」はディランのアルバムにおける初のインスト曲

ジョニー・キャッシュを迎えた「北国の少女」のセルフカバーに困惑したリスナーも、「ナッシュヴィル・スカイライン・ラグ」を聴いて、アルバムが予想外の内容になることを確信したに違いない。わずか3分強のこの快活なラグタイムトラックは、スコット・ジョプリンのアルバムに収録されていてもおかしくない。

また同曲では、ナッシュヴィル屈指のセッションミュージシャンたちのテクニックが存分に発揮されている。『ブロンド・オン・ブロンド』期からのメンバーを含むミュージシャンたちが、ここではディランの目を気にせず思い切り羽根を伸ばしている。

10. 収録曲のうち2曲は一度もライブで披露されていない

ディランは『ナッシュヴィル・スカイライン』のツアーを行わなかった。1974年に再びタッグを組んだザ・バンドとのツアーにおいても、セットリストに加わった『ナッシュヴィル・スカイライン』からの曲は「レイ・レディ・レイ」のみだった。以降数十年間で、ディランは「今宵は君と」「カントリー・パイ」「トゥ・ビー・アローン・ウィズ・ユー」「嘘だと言っておくれ」を生演奏しているが、「ナッシュヴィル・スカイライン・ラグ」と「ペギー・デイ」は一度もステージで披露されていない。

Translated by Masaaki Yoshida

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