「偽アーティスト」ストリーミング、年間320億円相当の被害の可能性

Olly Curtis/Future Publishing/Getty Images


第三者プレイリスト、あるいはもっと複雑な手段を使ってストリーミング回数を増加させるため、魔法のようなプログラムに金を払うアーティストの話はそれほど珍しくない。「曲を広めようとしているだけなんです」と匿名希望の2人目のマネージャーは言った。「ストリーミングに金を払って成功するなら、それはブースターのようなものです」デジタルデストリビューションの専門家は「曲に勢いと何らかの推進力を与えるのが目的です」と付け加えた。

こうした技術がうまくいくかどうか、そしてコストに見合ったものかどうかについては、音楽業界内でも疑問が持たれている。「ほとんどは、若いマネージャーやアーティストから金をだまし取るためです」と3人目のマネージャーが言った。詐欺に近い複雑なストリーミングブースト技術の場合、「アーティストと、多くの場合はマネージャーが手っ取り早い成功を求めています」とカシャーニ氏は言った。「しかし、アーティストが5万件の閲覧件数を得るため、極めて重要な機密情報を明けわたすことになります。」とはいっても、一部の人々は成功への近道に魅力を感じずにはいられない。

もっとも廃止しやすいストリーミング操作は、偽アルバムというもっともわかりやすいものかもしれない。Orchard、CD Baby、Distrokidなどのディストリビューションプラットフォームはここ最近Audible Magic(「オーディオ&ビジュアルコンテンツにおける自動認証のリーダー」を掲げる)と手を組み、正規のストリーミングサービスに確実に音楽を提供しようとしている。「システムを愚弄しようとする、ごく少数の悪い奴らがいます」とAudible Magicのヴァンス・アイキゾイCEOは述べた。

しかし、ストリーミング強化手段を見極めるのはますます困難になっている。そこで結局は、「やらないに越したことはない」というIndie Weekでガンビーノ氏が述べた結論に行き着くのだ。

「ストリーミングサービスは大きくなり過ぎたあまり、ストリーミングプラットフォームを悪用させないための手段を持っていないのです。」

音楽業界がますますストリーミングに頼らざるを得ない状況になるなか、一部のストリーミングサービスが実際の市場のニーズを反映していないかもしれない事実は、危惧するべき状況である。SpotifyやYouTubeのストリーミングはチャートパフォーマンスを考慮している。同様に、ストリーミングは市場のシェアを計算する際に使われ、レコード会社の戦略を左右するものだ。

それに加えて、出所の怪しいストリーミングは正規ストリーミングサービスの権威を損なう。Indie Weekのパネルディスカッションでトビアセン氏は偽ストリーミングの「最大の問題」は、それが「音楽業界の信頼」を損なうおそれがあること、と指摘した。ストリーミングサービスを運営する人々は、自分たちのプラットフォームは人々が何を聴きたいかを反映している、と考えたがるものの、ストリーミング操作がこうしたものを歪めている。

「人々に理解してもらうには、まだまだ先は長いのです」とポーゼン氏はローリングストーン誌に言った。「レコード会社やアーティストに教えないといけません。ポケットからどれほどの大金が盗まれているか、彼らはまったく理解していないのですから。」

Translated by Shoko Natori

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