ユニバーサルの火災による原盤焼失問題、2パックやトム・ペティ等訴訟

UMGの関係者はコメントを拒否した。

原告の主張には、UMGの親会社である仏通信・娯楽大手ビベンディと、UMGの貴重品保管室があったユニバーサル・スタジオ・ハリウッドの倉庫の所有者である米テレビネットワークNBCとユニバーサル・シティ・スタジオに対して火災後に作成されたUMGの法律関係書類にまで及ぶUMG側の文書が使われた。1990年に別の火災が発生した際も実施されなかったスプリンクラーシステムの最新化など、対策措置を求めるUMG側の書類内容を逆手に取る形となったのだ。今回の訴訟は、ビベンディ、NBC、ユニバーサル・スタジオ同様、グループ会社であるUMGもこうした問題を把握していた、として同社の責任を追求している。

さらに、UMGが火災後に「偽りと誤った指図に基づく組織的な不正計画」に着手した、とも原告は主張している。火災の被害を軽んじたUMGがメディアに対して述べた「ごく少数のマスターテープと、1940年代と1950年代の無名アーティストによるその他の音源しか失わずに済んだ」というUMG側の発言を取り上げている。

UMGは、ニューヨーク・タイムズ・マガジンの記事が公開されてからも火災被害状況に異議を唱えたものの、焼失の可能性を心配するアーティストからの問い合わせに対して可能な限りの透明性を保証したことが報じられた。6月半ば、同社のルシアン・グレンジCEOは従業員に「私たちは、アーティストたちの質問に答えなければならない。私を筆頭に、この会社のシニア・マネジメントにも徹底させる」と記したメモを送った。

現時点では、2008年の火災で具体的にどのマスターテープが焼失したかは未だに不明である。新たな訴訟を起こしたアーティストのグループも、焼失が疑われる自身の作品の詳細については明かしていない。

Translated by Shoko Natori

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