TikTokの急成長、一年で世界を夢中にさせた理由とは?

動画投稿アプリTikTokを使えば、BGM入りの15秒の動画が作成できる。 Chesnot/Getty Images


TikTokがここまで爆発的に引き合いに出されるようになった第一の理由は、運営元であるByteDance社がおよそ何十億ドルもの価値を持つ巨大企業だからだ。Musical.lyとの統合時、TikTokはすでに世界中で毎月5億人ものユーザーを獲得していたそうだ。結果として、Musical.lyは一夜にしていくつかの階級を飛び越えたわけだ。「買収によってユーザー数も増加しました」とドゥーララマニさんは言う。そして、マーケティング資金も増加した。「ByteDance社に買収された結果、TikTokはいままで以上に豊かな資源にアクセスできるようになったのです」とTikTokで1800万人以上のファンを持つメディアブランド、Flighthouseのジェイコブ・ペイスCEOは語った。

だが、予算が増えたとはいえ、Musical.lyが現状を維持していたのなら、ここまで急成長することはなかっただろう。成長の理由は、TikTokがMusical.lyよりもはるかにオープンエンドな前提の上に成り立っていることにある。「誰かが口パクしている動画をそんなに何回も観ますか?」とTikTokユーザーのThe Bentistは問いかける。The Bentistは、同アプリで100万人のファンを持つ開業歯科医だ。「すぐに廃れてしまいます」。それに対し、TikTokの可能性は幅広い。その好例が、The Bentistが最近投稿した動画だ。動画では、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』バージョンの「ネバーエンディング・ストーリー」をBGMに、The Bentist本人が矯正用の保定装置をつくっている。この動画は100万件の“いいね”を獲得した。

TikTokへのインプット方法だけがオープンエンドなのではない。そのオープンエンドさは、ユーザーにとっても有益なのだ。現在のTwitterやInstagram同様、Musical.lyを通じて新規ユーザーが本物の人気を獲得することはほぼ不可能だった。だが、TikTokを使えば「ほんとうに簡単に有名になれる」とTikTok動画に手書きのカンペを写し込むトレンドの生みの親として度々評価されているKevboyPerryは言う。「それに、簡単に有名になれる方法があるなら、試さないわけにはいかないよ」。

KevboyPerryの言葉は、TikTokユーザーのコミュニティの信仰告白のようなものであると同時に、アプリの影響力を物語るものだ。「Instagramでは、誰かが次のキム・カーダシアンになれる可能性はゼロです」とFlighthouseを所有している米音楽ディストリビューション・出版社のクリエイト・ミュージック・グループのジョナサン・シュトラウスCEOは語る。「誰だってもっともビッグな人たちと同じくらいビッグになるチャンスがほしいのです」。

TikTokは、こうしたユーザーの欲求を自慢のアルゴリズムで満たしている。TikTokのアルゴリズムは、すでに人気ユーザーの最新動画をプッシュするだけでなく、常に新しい動画を探しているのだ。アルゴリズムを引き寄せる上で「もっとも重要なのが視聴時間だ」とKevboyPerryは主張する(200万人というファン数がその発言に耳を傾けるべきだと教えてくれる)。「すぐにスワイプされるんじゃなくて、オーディエンスに動画をじっくり観てもらうことが重要だ。視聴時間が長ければ長いほどいい。オーディエンスがアプリを長時間使えば、TikTokからご褒美がもらえるんだ」。

ユーザーが一度見た動画をふたたび再生することも動画のランクアップに欠かせない、とドゥーララマニさんは信じている。「TikTokは、最後まで視聴した動画をまた再生すると、観た人の友達にも動画が表示されるようなアルゴリズムを採用しているのです」と解説した。

(その一方、TikTokの視聴回数は音楽グループへのロイヤルティの支払いには影響しない。「ロイヤルティは投稿数に応じて支払われます。新しい動画が生まれれば、その数だけ権利所有者にロイヤルティとして支払われます」とシュトラウス氏は指摘する。「その投稿が100万回視聴されたかどうかは関係ありません」。これは、フォロワー数の多いユーザーにフォーカスするのではなく、新規ユーザーに楽曲を広げる上で有効と思われる。)

Translated by Shoko Natori

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