清春が考える、はみ出し者の美学「フェスじゃなくワンマンで勝負する」

清春(Courtesy of PONY CANYON)



ヴィジュアル系のシーンについて

―平たく言えば、フェスに出れる柔軟性・協調性より、ワンマンで金が取れる個性が大事だと?

そう。でも、今は悪い方に行っている気がするんですよね。ビートたけしさんが「芸人とかミュージシャンって、普通じゃないからそれをやってるんだ!」って言ってたけど、時代が変わってはそうじゃなくなりつつあるでしょ。じゃあ何なの? つまんなくていいの? 変わってなくていいの?って思うんです。そんな普通なものの何が面白いの?って。やっぱり音楽も含めて尖った人が結局は面白いんです。その時代で尖った人が出てくる、変わった人が出てくる、いびつな人が目立って出てくるのが普通のことであって。聴いている人は普通でいいんだけど、提供する側は普通であってはいけないんだと思う。それはこんな時代になってきたからこそ、より強く感じていて。それでまたスゲーなって思うアーティストが出てきて欲しいなと思いますね。でも、今のこの時代で、コイツはヤバイなって思うやつって、特にいなくないですか?ジョー君が仲のいい(佐藤)タイジ君に、ギターでヤバイなって思う人いる?って聞いたとしたら、たぶんいないって言うと思うんだ。

―ぶっちゃけそうだと思います。

だから今でもタイジ君は弾いているんだと思う。こういう時代になってきて、「こいつスゲー売れてる!」ってあるけど、「ん? 大したことなくない?」って思っちゃったりもするのはおじさん臭いのかなぁもう、何て思うんですけどね。

―それで言うともうヴィジュアル系という概念も無くなっちゃんじゃないんですか? ヴィジュアル系って、それこそ唯一無二の存在・異端の塊みたいなバンドが切磋琢磨してたのに、ヴィジュアル系というシーンができてるからその中で胡坐をかいているような気がしていて。

例えばホストで人気のある子がいるじゃないですか。今だとローランドとか。彼の方が、ヴィジュアル系の子達よりもすごく見えちゃうんだよね。昔はさ、新宿を歩いてるとバンドマンみたいな子がいっぱいいたわけです。今もいっぱいいるんだけど、それってホストの子達がヴィジュアル系のバンドを真似しているわけじゃないの。有名なホストの真似してるだけなの。昔のホストの人達は、ロックミュージシャンの真似をしていたんだけど、今はバンドの子達がホストの真似をしてるんですよ。

―昔は影響する立場だったけど……。

今は逆ですよ。僕らの世代で言うと、まずD’ERLANGERが衝撃的だったわけ。メタルの格好をしてるんだけどメタルじゃないと。僕らの中ではD’ERLANGERは発明家でした。当時はBUCK-TICK、BOØWYが流行っていて、ジャパメタとビートロックの融合したのがD’ERLANGERだった。それが進化していって、ポジパンと融合したのがZI:KILLで、次はLUNA SEAで。僕らの世代にはどうにかこの人達と違うことしなきゃダメだっていうのがあったわけです。それが僕らで言えば「黒夢」という日本語のバンド名だったり、ステージで首吊ってみたり、血まみれになってみたりとか。そうやって、人がやっていないことをやったので革命的に見えたかもしれない。まぁ自分達のことは分からないけど。そういう風にいろんな人が敷いてくれた道があって、真似しやすいところの真似をしてるんだよね、今のヴィジュアル系は。LUNA SEAとかラルクとかGLAYとかの、ヒットした部分、チャートに残った部分を真似してる。その逆のヤバイところから影響を受けたのがDIR EN GREYとかなのかもしれない。影響を受けたというか、いい意味で消化していたというか。でもそれ以降の人達って、それ以前のアーティストのチャートに残っていた、市民権を得た部分を真似してるんで、ただただ丸いんですよ。

―なるほど。

原型があってそのコピー、それはコピーだから薄まっていく。それだったらどのジャンルでもあることなのでまだいいわけですよ。でも、部分的に女の子にモテる部分だけ切り取ってたり、気持ち悪い部分は気持ち悪い部分でエッセンスとしてだけは残していて、それが良くない。だからヴィジュアル系が無くなるっていうのは、すごく的を射てると思う。美学がないんですよ。ヴィジュアル系だったら美学が大切なのにまともに美学と言うと失笑してしまうぐらいのシーンになってしまっているんじゃない?

―確かに仰る通りです……。

薄まってしまったわかりやすい例が、今のヴィジュアル系バンドって武道館には行けない。Zeppも行くのが精一杯で、TSUTAYA O-EASTぐらいで止まってしまう。だから続かない。全盛期のLUNA SEAや黒夢とかの動員と比べなきゃダメなの。せめて俺のソロとかに負けないでって思ったりする。あと、ファンの人にすり寄りすぎですね。

―ハハハ(笑)。

もっとカッコよくいて欲しいと思うんです。それこそ便利な時代なのでTwitterとかで自分でプロモーション出来るじゃないですか。でも、ロックやってんだから、ステージにバーッと出た時にさ、「うわ、コイツにはなれねぇ」とか、「うわ、スゲエ」っていう、本当の意味でのカリスマであって欲しい。作ったカリスマじゃなくてさ。別にインタビューとか答えないとか、MCしないとか、そんなんじゃなくて。「今日当日券あるんで来てください」みたいな、そんなツイートする?って思うんですよ。それって世界の頂点に立てた人が、ギャグで皮肉でやっているのが面白いのであって。日本の狭い国で、我々みたいな人が、特に若い子達がやっちゃダメだと思う。そういう点で言うと、女の子の方がそういうのを上手く使っているし、パワーもある。大森靖子ちゃんとか、すごい。パワーあるし、そんなようなことをいくらやったところで、全部自分のものにしてる。それができないんですよ、特にヴィジュアル系は。読み違えちゃうんですよね。若い子から見てそれがいいと思っても、俺から見てダメなんじゃない?って思うことは、それは老害じゃなくて、どの世代からもいいと思われてないということだと思う。

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