FIVE NEW OLDの多様性とアイデンティティを構成するもの

「歌って踊るアーティストに対するリスペクトが変わった」

―FIVE NEW OLDはライブも進化していますよね。5月にあったマイナビBLITZ赤坂でのアジアツアーファイナル公演のエンディングはびっくりしました。大量のスモークでステージが包まれて、その間にメンバーがいなくなるという。

煙に巻いて逃げるっていう(笑)。まあ、まだ続きがあることを感じてもらえたらいいなって。あのツアーは国内だと3本しか回ってなかったので、このツアーの先にアルバムがあるし、日本のファンの人たちとも会える機会はちゃんとあるから、そこにつなげたいなっていう思いがあって。でもそれ以上に、何かサプライズをして、「え⁉︎」って思わせたかったんです。でもあれ、大変だったんですよね。前が見えなくて(笑)。

―あの演出は本番一発勝負?

一応、リハーサルはやりましたけど、最初はステージ袖に帰れなかったです。「ここ、どこ⁉︎」って(笑)。

―進化つながりで話を続けると、「Keep On Marching」のMVでは本格的にダンスをしていて。

そうですよ!  前に、「踊ったほうがいいよ」って(筆者から)アドバイスをもらったんで(笑)。



―え、マジで⁉︎ あれがきっかけだったんですか(笑)。実際に踊ってみてどうでした?

いろんな部分で見え方が変わったし、パフォーマンスの緩急の付け方もだいぶ意識するようになりました。あと、歌って踊るアーティストに対するリスペクトが以前と随分変わりましたね。

―「これは半端ねえぞ」っていう。

楽器を演奏するのと全然違う難しさがあるし、自分の動きのひとつひとつが変わりましたね。曲作りにも影響してきそうです。体でどうリズムを取るかとか、仕草ひとつでフレーズが生まれたり、よりフィジカルにメロディや曲を生み出せそうな感じがします。あのMVの一回で終わらず、定期的に習ってみたいなって。

―絶対いいと思う! 今回のMVはいかにも踊ってますって感じで、それはスタートとしてはバッチリなんですけど、僕の理想としては、ライブも含めて普通に歌って踊る人になってほしいですね。

次のアドバイスが(笑)。

―それだけでもバンドとして新しい見せ方ができそうな気がして。そうでなくても、FIVE NEW OLDのライブはもっとショーの要素が強くなっていきそうな予感がします。音源とライブで別の景色を見せてくれるようになったらより楽しくなりそうですよね。

僕たちもそこを目指していきたいっていう気持ちがあって。乳化していくというか、バンドでありながらエンターテイメントをしていて、エンターテイメントなんだけどバンド感があるっていう。そこは大事にしていきたいです……乳化ってめっちゃ便利な言葉なんですよ(笑)。

―今作は乳化というコンセプトが最初にあったんですよね。

そうですね。作ってから考えるんじゃなくて、考えてから作るっていう。

―それがあったから作りやすかったというのもあるんですか。

めちゃめちゃありますね。冷蔵庫を開けて、何を作るかわからないまま野菜を炒めるより、何を作るか決めてから作るほうがいいっていう、ごくごく当たり前のことをやったっていう感じです。スケッチのように作っていくよさもありますけど、今回はこれまでやらなかったことをやってみたって感じですね。


Photo by Kana Tarumi

―それにしても、なんだかFIVE NEW OLD周りに仲間が増えてる感じがしませんか?

今年はそんな年だなって気がしますね。

―自然と人が集まりだしているような印象を受けます。それをきっかけにまたポジティヴな科学変化が起こるのかなと。

音楽に限らず、交流する人が増えた気はしてて。単純に音楽仲間が増えたっていうよりも、この先の人生でいろんなことを語り合っていくだろうなと思える仲間が増え始めた感じはしますね。それはすごい財産だと思います。

―作品に参加してもらうとか、一緒にライブをする以上の。

もちろん、今回アルバムに参加してくれたホーンズのみんなも、(高橋)海くん(LUCKY TAPES)も、是永(巧一)さんもそうなんですけど、音楽がどうだからここに来てくれたっていうだけじゃなくて、一緒にツアーを回ったり、家に遊びに行ったり、そういうパーソナルな交流があったからこそこのアルバムに入ってくれたし、より意味があるのかなと。

―今のFIVE NEW OLDは、また次の作品でポジティヴに変わっていくんだろうなっていうのが伝わる活動をしていますよね。歩みはゆっくりかもしれないけど、しっかりと結果を残しているというのは、ファンも応援していて楽しいでしょうね。

誠実に僕らの音楽と向き合ってくれる方がすごく多いので、そういう人たちのことは改めて大切にしていきたいと思うし、応援してくれている人たちのことを信じているからこそ、自分たちもより積極的に進んでいきたいと思います。

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