FIVE NEW OLDの多様性とアイデンティティを構成するもの

『Emulsification』を制作するにあたってHIROSHIが影響を受けた6曲

The 1975 - Give Yourself A Try

「ロックが死んでる」と言われている今、彼らにはバンドであることは何かということをもう一度気づかせてもらった部分があります。自分たちのルーツに立ち返るきっかけを与えてくれた曲ですね。この曲の歌詞は、「何歳の頃はダメなことをして」とか「こんな大人になるなよ」ってことを歌ってるんですけど、そういう歌詞も自分自身を振り返るきっかけになりました。




Queens of the Stone Age - The Vampyre of Time and Memory

『Emulsification』の「Set Me Free」という曲で、今までになかったセンチメンタルな部分を出していて。それは別に最近この曲を聴いていたからというわけではなくて、若い頃に聴いてたことを自然と思い出して。それで、デモ出しのときにみんなに聴かせたら、「めっちゃ『The Vampyre of Time and Memory』っぽい!」ってなって。今まで、こういう枯れたサウンドは出してこなかったけど、自分の中から自然に出てきたものをそのまま形にしたら、メンバーみんなが反応してくれて、「やろうよやろうよ」って後押ししてくれたことからいい学びをもらいました。FIVE NEW OLDとしては表現してこなかったけど、個人的に書いてる曲にはこういうものもあったりするので、もっと積極的にやってもいいんだなって思わせてくれました。




Lizzo - Juice

この曲が入ってるアルバム『Cuz I Love You』はメンバーみんな聴いてて。今回、是永さんと一緒にやった「Pinball」が今の形になったのも彼女からの影響がすごく大きいんですよ。すごく80’sっぽいビートなんだけど、フロウは今のトラップっぽかったり、そういう乳化具合がうまい。あと、これまでの風潮だったらネガティブに捉えられてしまったかもしれないルックスを、彼女はポジティブな武器として世界に向けて発信していて、そうやって自分の全てをさらけ出すマインドっていうのも今、アーティストが発信していく上で重要なポイントなのかなって。そういう部分で影響を受けた気がしますね。ビリー(・アイリッシュ)とかもそうですけど。




松田優作- YOKOHAMA HONKY TONK BLUES

これはすごく学ばされた曲です。この時代の人たちって、欧米の楽曲に対する憧れがすごく感じられるんだけど、これは乳化の大事な部分でもあるんですけど、ちゃんと自分の文化にローカライズしているっていう、その加減がすごいんですよ。70年代の日本人にあった欧米に対する憧れと、それをどうやって自分のものにしていくかっていうこととひたむきに向き合ってやった結果なんですよね。自分たちもこういう、時代を超えるものを作りたいって思わせてくれた曲です。音楽ってやればやるほど、音楽的な部分と同時にその人自身がどうであるのかっていうところが重要になってくるじゃないですか。そこで、人間そのまま、素材そのままをぶん投げられる松田優作さんはカッコいいですね。




Panic! At The Disco - High Hopes

彼らの音楽は2000年代後半の高校生の頃によく聴いてたんですけど、今も常に時代にフィットさせながら第一線に立ち続けてる姿を見て、自分たちのルーツをもう一回見つめるという意味で改めて刺激をもらってます。彼らのスタイルは変わってるけど、マインドは何も変わってないんですよ。今回、それをすごく感じたし、「こういう曲が書けたらいいな」と思って「Keep On Marching」を書きました。The 1975の新曲「People」もそうで、みんなが「まさか!」と思うようなことをやるんですよね。自分たちの感覚が凝り固まってしまうことに対して警鐘を鳴らしてくれてるような。だから、今回のアルバムがうまくまとまったからこそ、次にそれをどう壊していくかっていうところに目を向けられるようになった部分はありますね。




Relient K - Must Have Done Something Right

今回、『Emulsification』のCDにポップパンクの曲が1曲入ってるんですけど、ある日、メンバーと一緒に帰ってるときに、こういう昔の音楽を聴いてたんですよ、「懐かしいわー」とか言って。それで、「今、こういうのやったらどうなるんだろうね。試しに1曲作ってみてよ」って言われたので、家に帰ってから1分ぐらいでパーッと作って聞かせたら、「オッケー! アルバムに入れよう」って(笑)。こういうパンクっぽい曲を入れることで、自分たちのルーツは忘れてないっていうことを示したかったし、あとは単純にお遊びができたらなって。距離と時間を置いて聴いてみたことで、この時代のバンドのよさを改めて感じました。




<INFORMATION>


『Emulsification』
FIVE NEW OLD
トイズファクトリー
発売中

FIVE NEW OLD "Emulsification" Tour
2019年10月24日 広島Cave-Be
2019年10月26日 高松DIME
2019年10月27日 名古屋BOTTOMLINE
2019年11月9日 大阪・味園ユニバース
2019年11月22日 福岡 DRUM Be-1
2019年11月23日 熊本 Be.9 V2
2019年11月24日 周南 LIVE rise
2019年11月29日 東京・EX THEATER ROPPONGI
※東京・大阪公演はホーンセクションを迎えてスペシャル編成でお届けします。
https://fivenewold.com/

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