横浜銀蝿オリジナルメンバーで完全復活、吉田豪と語る「再会」の舞台裏

ーそのJohnnyさんがキングレコードの社員になり、銀蝿が他のメンバーも入れて再結成し、そしていまようやく再び集まり、キングから新作を出すっていうのは、物語がちゃんと......。

Johnny つながってたんですね。

不思議だよな。実は、ディレクターの水橋(春夫)さんが昨年亡くなって。

ー元ジャックスの。

そうそう。俺たちが「2年間完全燃焼する」と言ってデビューしたとき、「そんなにオリジナル曲を作り続ける覚悟があるのか?」と言ってくれて。こっちも不良だから、あるに決まってるじゃん!みたいな。俺たちはメロディの宝庫だからボコボコできるしって。でも、いざ先に進んでいくとやっぱり悩んだ。そのなかで、いい音を出すために自分たちなりのやり方を見つけてこれたのは、本当に水橋さんのおかげだと思う。

ーまさに恩人なんですね。

そんな水橋さんが亡くなったと聞いて、お別れ会に行ったんですね。そこでJohnnyとも久々に会って。「来年は銀蝿40周年だし、一緒にできたら最高だよね」みたいな話をしたら、そのときは「全然ギター弾いてないし無理!」と断られたけど、しばらくしてからまた電話して、もう一度会ったときに「3カ月くらい練習させてよ」となって。その3カ月後にはもう、俺にしてみればJohnny完全復活でした。自分のなかで100%じゃないのもわかってるけど、一生懸命に練習してたから。じゃあ、やろっかって。

Johnny 去年の夏に心不全で水橋さんが亡くなり、11月の偲ぶ会で翔くんと20年ぶりに再会して。それも奇遇だったけど、水橋さんとは銀蝿のあと何年かに一度麻雀に誘われてたくらいで、すっかり疎遠だったんですよ。それが亡くなる3年前に「もう一回バンドやりたいからJohnnyちゃんのところでCD出してよ」って水橋さんに半ば強要されて、ここ1、2年は密に付き合ってたんです。それがなかったら、たぶん亡くなった連絡も来なかったと思いますね。だから、晩年に再びつながりができて、偲ぶ会で翔くんと会えたのは、水橋さんが「Johnnyちゃん、もう一回やりなよ」と言ってるんだと思う。それなら、20年くらい弾いてなかったけど、真剣にゴルフクラブをギターに持ち換えてやろうかって。

ハハハ!

Johnny タイミングや巡り合わせも、必然的につながってるのかもね。ドラマ『今日から俺は ! !』でまた80年代もフィーチャーされてるし、時代が俺たちを待ってたような感覚がありますね。

常に自分たち発信で申し訳ないけどね(笑)。誰が望んだわけでもないけど。

Johnny 待ってるでしょう!みたいな。

ーこの4人が揃うのは待ってましたよ!

ありがとう。当時、Johnnyのファンだった子が、Johnnyがいないのに「銀蝿の歌が好きだから」とライブにたくさん来てくれて。彼女たちにうれしい驚きをプレゼントしたいとずっと思ってたから。今やってること全てにウキウキしてる。

ーそう考えると、水橋さんは偉大でしたね。

そうだね。(銀蝿のあと)Winkを手掛けてた頃はまだ親交があったから、「絶対売れる、なぜかって声がいいんだよ」って話してたと聞いて。しばらくして本当に売れたから、そういうのがわかる人だったんだろうね。銀蝿が出てきたときも、その嗅覚で 見つけてくれたのかな。しかもあとから調べたら、ジャックスの......すごい人じゃんか。

ーすごい人ですよ!

俺たちはそれを知らずに、当たりが柔らかいからタメ口きいたり、「ふざけんなよ!」とか言ったりして。それなのに、心に刺さる言葉を言ってくれてたわけだから、今思うと本当にすごいよね。俺、偲ぶ会には絶対に行かなきゃと思ってたの。知らない ヤツばっかで居心地が悪そうだなと思ったけど、本当に行ってよかったな。

ー評論家が認めなくても、水橋さんが認めただけですごいことだと思いますよ。

たしかに。評論家の人に認めてほしいわけでもないけど......俺たちも認められたら喜ぶタイプだし(笑)。褒められたら木に登ってくからさ!


横浜銀蝿
1979年9月21日、嵐(Dr)、翔(Vo)、Johnny(Gt)、TAKU(Ba) により結成 。1年後にシングル「横須賀Baby」、アルバム『ぶっちぎり』でデビュー。1982年に日本武道館コンサートを成功 させるも、翌年の「It’s Only Rock’n Roll 集会ファイナルカ ウントダウン10」を最後に解散する。その後、1998年に活動 再開。デビュー40周年を迎える2020年にオリジナル・メン バー4人が再集結。2月にオリジナル・アルバムとベスト・アルバムをリリースし、3〜5月にかけて全国 Zeppツアーを行う。

Edited by Toshiya Oguma

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