ザ・チェッカーズとザ・タイガースの解散ライブアルバムから考えるアイドル性と音楽性

今月2020年6月の特集はライブ盤ですね。2月以降行われる予定だったツアーやライブがことごとく中止、延期になっております。音楽史上初のライブが行われない日本列島、日本のコンサート文化は大丈夫なのだろうか? 早くライブが再開される日が来てほしい、そんな心からの願いを込めてライブ盤特集をお送りしております。レジェンドたちが残したライブ盤を聴いていこうという1ヶ月、今週はPart4です。武道館で行われた解散ライブを収めたライブ盤を2枚ご紹介しようと思います。

1枚がこのチェッカーズの『FINAL』。もう1枚はさらに20年以上遡って行われたザ・タイガースの『ザ・タイガース・フィナーレ』。解散コンサート、この2枚のライブには客席が圧倒的に女子だったという共通点があります。そして涙涙だったことも共通していますね。1960年代後半のグループサウンドの中で最も女の子に人気があったのが、ザ・タイガースですね。そして1980年代にそういう存在だったのがザ・チェッカーズ。ビートルズの例を待つまでもなく、黄色い歓声が音楽の歴史を作ってきました。日本のそういうコンサートを、解散コンサートを舞台に聴き比べてみようというのが今日の趣旨ですね。ザ・タイガースの解散公演は1971年1月24日でした。ビートルズの武道館公演からわずか5年です。日本のバンドで初めて武道館のステージに立った。そして日本のロック史上で最初の武道館ライブアルバムがこれです。ザ・タイガー解散公演フィナーレから「僕のマリー」。

僕のマリー / ザ・タイガース

1967年2月のデビュー曲「僕のマリー」。1967年2月というのは、ビートルズ来日から1年も経ってないわけで、メンバーは、あのビートルズの武道館公演の客席にいたわけですね。喋っているのはリーダーの岸部修三さんですね。このタイガースのフィナーレのライブアルバムは、ライブのオープニングから入っているんですけど、英語のアナウンスから始まってるんです。「Ladies and Gentlemen, Boys and Girls」そして客席に向かって「Say after me, TIGERS」と言っているんですけど、客席がキョトンとしている。これがとっても初々しかったですね。MCに英語で呼びかけられたことのないお客さんがたくさんいたんだなと思ったりしました。そして1曲目がローリング・ストーンズの「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」なんですね。この辺が彼らの意地だったんだなと思いますね。解散公演の1曲目は彼らがずっと好きだったストーンズで始めるというライブだったんですが、このライブアルバムは代表曲のオンパレード。その皮切りがこれでした。1971年7月に発売になった『ザ・タイガース・フィナーレ』から、「僕のマリー」でした。

Rolling Stone Japan 編集部

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